ソーシャルメディア対応とSEOはどちらが価値があるのか? マーケチャネルとして比較分析してみた
読者の中には、「SEO対ソーシャルメディア」の議論を耳にしたことがある人もいるだろう。たとえば、昨年にはProblogger.netの記事(論争のネタ投下としては有効だったが、主張自体はお粗末だった)をきっかけに、これを エリシア・ブルッカー氏 と ヒューゴ・グスマン氏 が激しく非難し、続いて ダレン・ロウズ氏 がもうちょっと穏やかな見解を披露した流れなどもあった。こういう人たちの主張を繰り返したり論じたりすることに格別興味があるわけではない(それに、大して価値があるとも思えない)が、この話題は注目に値すると考えたのも確かだ。
というのも、「SEOとソーシャルメディア対応はどちらが意味があるのか」という論点は、マーケターが自分の業務にリソースを投じる際に、慎重に考慮するべき重要な問題を提起しているからだ。
「検索」の目的は、欲しいものや必要なものを探すこと
情報や答えを探し求めることは、太古の昔から人間の本質だ。その現代版としてのウェブ検索も、ソーシャルメディア隆盛の現在でも、決して勢いを失っている兆しはない。
ブロードバンドの普及とネット人口の増加はすでに成熟期を迎えたものの、検索は増加中だ。月を追って検索する回数が減るようなことはなく、実際は増えている。
検索というものは、何らかの意図から引き起こされる行為だ。何の気なしに検索するなどということは(あまり)なく、僕たちは答えや情報、消費する商品やサービスを求めて検索する。検索広告であれオーガニック検索であれ、検索マーケティングの働きはシンプルだ。消費者が何かを購入しようと思い立ったときにそれが目の前にあることほど、何かを紹介するのに効果的なタイミングはないし、求められているものを知るのにこれほど効果的な方法もない。
世界中のソーシャルグラフ分析をどれだけ眺めたとしても、日曜日の夕方に、僕が今履いている靴にうんざりして、しばらく検索した後Zappos.comで数百ドルを使ったことなど、絶対に分からない。でも、僕がプーマの男性向けシューズを検索した際に、まさに目の前に現れたことで、Zapposはそこそこの売上を得られたというわけだ。
「ソーシャルメディア」の目的は、発見と共有
TwitterであれFacebookであれ、Flickr、Reddit、StumbleUpon、そのほか何であれ、ソーシャルメディアというものは、繋がり、相互交流、発見、気晴らしといったものに縁がある。答えを探すためにソーシャルメディアを使うことは(現在は)ほとんどない(とはいうものの、直接問いかけてられはいない質問に多くの返信が寄せられているのも確かだが)。
ソーシャルメディアマーケティング推進派はしばしば、「ソーシャルとはウェブ上で新製品に関する情報を調べる手段だ」と主張する。しかし、少なくともこれまでのところ、データはそうした主張を裏付けていない。
とはいうものの、「ソーシャルメディアとは、“特に何かを調べているというわけではないときに”新しいコンテンツを見つけることのできる方法のことだ」という主張は、かなり信憑性が高いのではないかと思う。ブログ、画像、動画、リサーチといったものに、ソーシャルメディアからの訪問の割合が増えているのは確かで、こうしたブランド露出には確かに価値がある。
GroupM Researchが先ごろ発表した調査結果では、この仮説に関するデータに光を当てている。そこで述べられているのは、次のような点だ。
オーガニック検索の場合、ブランドのソーシャルマーケティングキャンペーンを目にしたユーザー群は、目にしていない群よりもクリックスルー率(CTR)が2.4倍高くなる。
リスティング広告の場合だと、ソーシャルマーケティングキャンペーンを目にすることで、CTRが4.5%から11.8%に増加した(ともにブランド名をキーワードとした検索クエリの場合)。
購入を検討しようとしてブランドや製品をリストアップするために検索を行う消費者は、ソーシャルメディアを利用している人の方が、利用していない人よりも1.7倍多い。
Ben Yoskovitz氏は、ソーシャルメディアが持つ次のような価値について論じている。
このレポートから得られる情報に基づけば、ソーシャルメディアマーケティングが見込み客の(量だけでなく)質を向上させられるという主張は妥当だろう。検索を通じた意図や、ソーシャルメディアへの露出がそうした意図にどう影響を及ぼすかについて、焦点を当てて理解することは可能だ。
そして、人々がソーシャルメディアを目にするとき、彼らの意図はより絞り込まれ、見込み客へと変化する。
ちなみに、私ならばソーシャルメディアに関するユーザーの行動は「目にする」ではなく「関わる」と表現したいところだ。「目にする」だと一方的な放送のような響きがあるが、ソーシャルメディアはそうしたものではない。
ソーシャルメディアマーケティングのこうした価値なら、僕も支持できる。潜在的顧客が買おうという意志を固め、検索して購入するその時、ソーシャルメディアを通じて見てもらえれば競争で一歩先んじることができる、ということだ。
ソーシャルもやってます!