Webアナリストを名乗るならこれぐらいやろうよ――その3:行動へつなげよう
この記事は、3回連続の記事の1つです。3回全体は次のとおり:
さて、これからどうしよう? パンプキン・スパイス・ラテでも買ってきて、今日は終わりにする? とんでもない。
私たちWebアナリストの仕事は、アクセスデータを使って、Web担当者の努力がどれくらい報われているか(あるいは報われていないか)を数値化して示すことだ。私たちはデータに基づいて選択肢を設定し、顧客企業がより収益性の高い道を進んでいくのに役立つ選択肢を策定し始めることができる。データに価値を与えることで、誰にでも理解できる言葉で話せるようになる。そう、お金という言葉だ。
Webアナリストは、現在の状況を金額に換算して説明する必要がある。ミーティングにおいてしばしば見られるのが、とてもよいデータを提示しているにもかかわらず、話す内容は週単位の増減についてあれこれ言うだけといったことだ。だがこうした説明は、Webアナリスト以外の人にとっては何を言っているのか理解しにくいものだ。そうではなく、データを実際の金額に置き換えよう。アナリストが使える計算結果のうち、もっとも見落とされがちなものの1つに「サイト訪問あたりの価値(VPV)」という指標があると思う。ちょっと例を挙げてみよう。
たとえば、SEOmozのサイトの「Learn SEO」セクションに割り振るリソースを増やすべきかどうかを検討したいとする。この場合、1回の訪問で平均してどれくらいの売上が得られるかを知りたいと思うだろう。では、VPVはどうやって計算すればいいのだろうか? 先月このセクションを訪れた人の数を調べ、コンバージョンがどのくらいだったかを見る。それからコンバージョン数にSEOmoz PROの月額会費である99ドル(お望みなら顧客生涯価値でもいい)をかけ、このセクションが先月もたらした金額をはじき出す。この数字をLearn SEOへの訪問数で割れば、レポートのための実用的なデータポイントが手に入る。こんな感じだ。
先月、「Learn SEO」のコーナーにあった訪問数は:
4280セッション。
そのうち、PRO会員の登録につながったコンバージョン件数は:
53件。
まず、これらの訪問が生み出した総売上金額を計算する。
53(コンバージョン件数)×99ドル(PROの月額会費)
=5247ドル(全体で生み出された価値)
1訪問あたりの価値を求めたいのだから、全体の金額を訪問数で割ればいい。
5247ドル÷4280=1.22ドル
これがサイト訪問あたりの価値(VPV)」
データは魅力的に見せること
Webアナリストの仕事として、上司やクライアントに付加価値のある立派なデータを報告するのは重要だが、それはまだ戦い半ばにすぎない。残りの半分は、こうして得た数字をいかに魅力的に見せるかにかかっている。
たとえば、所属するマーケティング・チームで、サイトのどのセクションにコンバージョン率最適化(CRO)の取り組みを集中させるべきか決める必要があるとする。
ふつうは、各セクションがコンバージョンに対して与えている影響をExcelで一覧表にして提示したくなるだろう。
でも、これを少し工夫して円グラフにしてみたらどうだろう。データが際立って見えないかな?
データの値を説明するときには、棒グラフや円グラフ、成功範囲といったものを活用したほうがいい。ドラマティックに見せよう! カフェイン入りの飲み物を飲みながら何日も頑張ったのは、先方が見たがるデータを見つけるためだ。だったら、もっと分かりやすく見せてやろう。
最後にもう1つ大事なことを……行動を起こそう!
データから明確な「価値」が得られたら、ここからが私の大好きな作業工程になる。行動を起こすことだ。そう、そのとおり……会社の仲間たちに「次のステップ」を提案するのがアナリストの責任だ。さあ、全力を注ごう!
さて、正直に答えてほしいのだが、あなたたちの中で、「このページへのトラフィックを10%増加させることができれば、登録者が2%増え、収益が○○ドル増えると見込まれる」というような形の提案をしたことがある人はどれくらいいるだろう?
さあ、よく聞いて! あなたの手元にはデータがある。当該のページには、今どのようにしてトラフィックが流れ込んでいるが分かっている。どの参照元が増え、どれが減っているかも分かる。サイトのどのセクションがそのページにトラフィックを送り込んでいるか、そのページに訪問者をまったく誘い込んでいないのはどれかも把握している。データを提示するなら、実際に具体的な提案をしよう!
「このページへのトラフィックを増やすために、私が出す提案は……
」と切り出し、PRのために効果がありそうな参照元を数多くリストに挙げたり、SEO担当者がターゲットにすべきキーワード候補をいくつか示したりしよう。こうした事柄は数字に基づいて提案できる。会社にとって賢明な行動を提案しているのだと、自信を持って言える。
これこそ、この記事ですべてのアナリスト仲間に伝えたいことだ。アナリストには、すべてがうまく行っているように見せるだけではなく、改善に向けた方法を見つけることが求められる。データから目を離していいのは、すぐにでも始められるアクション・アイテムを手にしたときだけ。そうでないのなら、データに目を向けておくべきだ。
さて、これでこのシリーズを終えることにしよう。この記事が、現在の分析プロセスを見直す手助けになれば嬉しい。かなり骨の折れる仕事に思えることは承知しているが、分析作業に費やした時間は決して無駄にはならないということを信じてほしい。このシリーズが読者のみなさんにとってたどるべきロードマップになることを、少なくとも、ログインして色々チェックをし、分析を始めるきっかけになってくれることを願っている。
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