SEOのためのキーワード分析&データを基に行動を起こす方法(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。今回も前編に続いてキーワードメトリクスについて説明しよう。→ まず前編を読む
キーワード分析
キーワード分布も、やはり判断するのが難しいデータだ。もしも判断する必要がある場合は、自サイトの検索順位を組み合わて使うことをお薦めしたい。
だから、もしSEOmozのツールで検索順位を追跡しているか、SEO Book Rank Trackerを使っている、またはConductor、BrightEdge、Covario、Rank Above、Search Metricsといった専門企業レベルのものを使っている場合は、これらのツールで検索順位を、次に訪問数を調べよう。
基本的に、これらの数字の組み合わせからは、たとえばこんなことが判断できる。
このキーワードはトラフィックをかなり呼び込んでくれたが、検索順位はさほど高くなかったので、これはヘッドターム(検索ボリュームの多い検索語)だろう。
検索順位はかなり高いが、訪問数はさほど多くないから、これはテールターム(検索ボリュームの少ない検索語)だろう。
将来、こういう作業をやってくれる気の利いたソフトウェアを誰かが作ってくれるとありがたいのだが。僕も考えてみるよ。
さて、こういった分布の様子がわかれば、次のことがわかることになる。
- キーワード区分の1つひとつに入っているキーワードの数
- それらが送り込んだ訪問数
- それらのキーワードの平均検索順位
平均検索順位も、SEOmozのウェブアプリケーションをはじめとする多くのアプリケーションで計算できる。そして、そういったアプリケーションからは、コンバージョンアクションも引っ張り出せる。
行動につながる思考を
これのどこがすばらしいかと言うと、たとえばこんな感じだ。
ふむ、僕はこの45個のキーワードについて、自分のサイトの検索順位をいつもいつも気にかけている。ヘッドに属し、トラフィックの大半を呼び込んでいるキーワードだ。
45個の平均検索順位は8位だから、まだ行動を起こす余地は十分にある。
でも、キーワード全体にわたってコンバージョンアクションを見てみると、最大の機会が実際に存在するのは、もしかするとテールの中、あるいはロングテールの中かもしれないぞ。
それから、僕はこう考えるだろう。
どうがんばってもほとんど順位向上に貢献しないこうした少数のキーワードについて、あれこれ悩んで時間を浪費するのは止めないといけない。
それよりも、テールの価値についてもっとよく考える必要がある。だって、ロングテールに分類されている各キーワードは、獲得できるコンバージョンアクション数がとんでもなく多いんだから。
分析によってこういうことがわかってくると、きっと新しいタイプのマーケターとして生まれ変われる。こんな風に考えるはずだ。
よし。ユーザー生成コンテンツを増やすにはどうすればいいだろう?
より多くの編集コンテンツを制作する方法は?
どこかからコンテンツをライセンス供与してもらえるだろうか?
自分のコンテンツを外部に配信して、訪問者の呼び水にできるかな?
コンテンツが膨大な価値をもたらしているのは明らかなので、コンテンツマーケティングを強化する必要がある。
ブランドキーワードは分けて考える
同じように、これはSEOmozのウェブアプリケーションとして近日中に提供できると思うけど、サイト名・企業名・商品名などのブランド名を含むキーワードと含まないキーワードの切り分けを強く推奨したい。
これは驚くほど重要だ。というのも、ブランド名を含むキーワードだけがサイトに価値をもたらしている場合、SEOは別の方法でもほぼ確実に取り込めるようなキーワードを取り込むこと以外には役立っていないからだ。ブランド名を含まないキーワードが多くの価値をもたらしている場合、それこそ、みんながブランドを知る前に、発見の過程で早期に人々を「じょうご」に取り込むというSEOの仕事ができていると言える。
だから、ブランド名を含むキーワードを含まないキーワードから分離することによって、自分が管理するSEOの取り組みがどの程度うまくいっているかがわかるわけだ。
同様に、ブランド名を含むキーワードによって、さまざまな取り組みがどの程度うまくいいっているかが分かる。次のようなものだ。
- ブランディング
- 市場シェア
- 消費者のマインドシェア
- 企業のマインドシェア(B2Bの場合)
- などなど
これらのメトリクスが上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかがわかれば、特にブランド名を含むキーワードが下降傾向にある場合、次のように考えるだろう。
ああ、もっと外に出なくてはいけない。もっと露出を増やす必要がある。
人々はうちのブランドに対する興奮や関心を失いつつある。
一方、ブランド名を含まないキーワードが下降している場合は、たとえば、次のように考えるだろう。
検索順位争いの激しい部分で負けているのか、ロングテールで負けているのか、そのどちらかだろう。
そして、キーワードの分布曲線を見てみる。すると、どこでそれが発生しているのか、なぜ負けているのか、なぜ勝っているのかを突き止められる。
こうした思考は、分析的な観点から非常に重要だ。また、行動の喚起という観点からも大切だ。これによって、何をすべきか、何に集中すべきか、何を心配すべきで何を心配しなくていいのか、キャンペーンがどこで成功していてどこでうまくいっていないのかを把握できるからだ。ブランディングが成果を上げていない場合、ブランド広告の担当者に相談する必要があるだろうからね。
トップキーワードに注目
次に、キーワードメトリクスの観点から見たトップキーワードに注目してみたい。ここでは仮に「KW1」「KW2」「KW3」という3つのトップキーワードがあるとする(実際には、もっとたくさんのキーワードがあるだろう)。
僕はSEOmozのウェブアプリケーションで75個から80個のキーワードを常時追跡している(最大300個まで追跡できるはずだ)。実際に検索してもいる。もちろん、同じことをGoogleアナリティクスを使ってやってもいい。そっちは無料だしね。
それらのキーワードを使って行われた検索数(検索ボリューム)を調べよう。これは、キーワードツールを使わないとわからないのが残念だけれど、自分が管理するキーワードについて、調べられるならその数を知っておくことはとても役に立つ。
次に各キーワードについて、訪問数、コンバージョン数、平均検索順位を調べよう。さらに必要ならば、項目をもう1つ増やそう。「キーワード難易度」という項目だ。これは、どのキーワードが自分にとって使いやすいのかという感覚をきちんとつかめるからだ。
キーワードのコンバージョン数を順に見ていくと、KW1は4件、KW2は2件、KW3は1件となっている。だがKW3はわずか15回しか検索されておらず、しかも検索順位は1位だ。このキーワードは、これ以上の改善の余地は少ないようだ。しかし、KW2のコンバージョン率を見てみると、1%だ。このコンバージョン率を何とかするとして、キーワードの難易度を見てみよう。ここではKW3が55、KW2が48、KW1が72としておく。
検索ボリューム | 訪問数 | コンバージョン数 | 平均検索順位 | キーワード難易度 | |
---|---|---|---|---|---|
KW1 | 210 | 33 | 4 | 3 | 72 |
KW2 | 1745 | 216 | 2 | 4 | 48 |
KW3 | 15 | 10 | 1 | 1 | 55 |
KW1の72という数字は非常に難易度が高い。このキーワードでコンバージョンを増やすのは非常に難しい。検索ボリュームもそれほど多いわけではないし、その一部はもう自分が取り込んでいる。というわけで、KW2が最適に思える。1つのキーワードに絞って取り組みを強化するのならここがよさそうだし、このリストは、そうしてもらうためにこそ存在する。
コンバージョンの数を訪問数、検索ボリューム、難易度と比較して、こんな風に言えるといいだろうね。
おや、このキーワードにはチャンスがあるぞ。もしこの平均検索順位を3位まで、いやせめて3.5位まで上げられれば、もうちょっといい結果が得られるはずだ。そうなれば僕の仕事にとって大きな役に立つし、もっと多くの顧客を獲得できるだろう。
トップコンテンツにも注目
キーワードメトリクスで最後に目を向けるのは、トップコンテンツだ。厳密に言えばキーワードメトリクスではないが、キーワードを含んでキーワードメトリクスと同じような働きをするので極めて重要だと僕が考えているものだ。
ここでは、トップページをURL1、製品AのランディングページをURL2、製品BのランディングページをURL3としよう。
検索からの訪問数 | 検索から得られたコンバージョン数 | 来訪キーワード数 | |
---|---|---|---|
URL1 | 1650 | 19 | 83 |
URL2 | 812 | 6 | 19 |
URL3 | 355 | 16 | 7 |
まず、最初の列の数字は、それぞれのページが検索経由で獲得した訪問数だ。その隣はそれぞれのコンバージョン数で、いちばん右は、これらのページにビジターを送り込んでいるキーワードの数だ。
この表は、過去に作成したコンテンツがどの程度成功したか、今後はどのコンテンツの作成を継続すべきかを知りたいときにとても有用だ。製品ページについて役に立つのはもちろんだが、コンテンツマーケティングを行う際に行うさまざまなアクション(たとえば、ブログを運営したり、ビデオを掲載したり、記事を作成したり、コンテンツの配信やライセンシングを行ったり、ゲストライターに記事を寄稿してもらったり、ユーザー作成コンテンツを用意したりなど)の価値がわかるのは素晴らしい。たとえば、次のようなことを把握できるのだ。
- 適切な行動を引き出したのはどのコンテンツか
- 多くの種類のキーワードを含むのはどのコンテンツか(ロングテールキーワードであれヘッドタームであれ)
- コンバージョンや検索結果経由の訪問をたくさん稼いでいるコンテンツはどれか
さらに、コンバージョン数。この数をはっきりさせることで、他のソースからこれらのページにたどり着いてコンバージョンに至った数を除外した数字が得られる。本当に知りたいのは、「検索結果からの訪問者について、これらのページでどれだけのコンバージョンが獲得できたか」ということだから。こうした情報を得ることは、過去のコンテンツを分析する場合や、どういうタイプのコンテンツを作成するかを判断する際に、大いに役立つだろう。
こうした分析プロセスの優れた点は、SEO担当者がそれまで以上にデータに基づいてマーケティングを行うようになるという点だ。
世の中を見てみると、実にさまざまなマーケティングが行われている。広告チームがあり、有料マーケティングチームがあり、イベントの後援をしているところもあれば、ブランドの構築に励んでいるところもある。また、テレビ広告、ラジオ広告、雑誌や新聞といった紙媒体による広告を使っているところもある。そういう人たちは、ここで説明したような厳密な尺度を持っていない。そういう方法の多くは計測できないからだ。
SEOが優れているのは、このプロセスがはっきりと測定可能であり、それを向上させるためにいろんなことができるという点だ。
これらのメトリクスを導入し始めたなら、この解析プロセスに着手したなら、それはもう、とてつもなく大きな勝利、本当にすばらしい勝利になるだろう。
ソーシャルもやってます!