SEO戦略:年間のサイトトラフィックを予測する方法
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、SEOmozの見解を反映しているとは限らない。
私はコンサルタントとして、多数の企業のSEO担当部署と協力し、年間を通じて持ち上がる課題や戦略に取り組んでいる。そこでよく目にするのは、企業内SEO担当部署が、トラフィックに重点を置いた目標を正確に設定するのに苦労しているという傾向だ。トラフィックは多くのメトリクス測定の基礎となるので、この先1年間のトラフィックをある程度正確に予測することことは、あらゆる企業にとって重要だ。
ここまで書くと、「グーグルアドワーズのキーワードツールがあるのだから、それを使えばいい
」という読者の大合唱が聞こえてきそうだ。大まかなところ、私の答えもその通りだが、ウェブマスターやマーケティング担当者、検索エンジン最適化のチームが利用できるグーグルのキーワードツールなどは、正確性に大きな問題がある。
(私が挙げるもの以外でお気に入りのキーワードツールをコメント欄に書いてもらえれば、ぜひテストしてこのページに追加したい!)
グーグルアドワーズのキーワードツールズ(そう、複数形だ)
グーグルアドワーズ広告の広告主向けのサービスであるキーワードツールは、2010年に新バージョンが公開され、旧バージョンやAPIと新バージョンで表示される数値が異なることなどが話題になっていた。現在は新バージョンのキーワードツールが正式版となり、旧バージョンにはアクセスできなくなっているが、こうしたできごとを振り返るだけでも、「グーグルアドワーズのキーワードツールがあるのだから、それを使えばいいじゃないか
」という意見には完全には同意しかねる。新バージョンの数値がおかしいのであればその数字を100%信頼するわけにはいかないし、旧バージョンの数値が(新バージョンの数値と比べて相対的に)正しくなかったのであれば、それをずっと参考にしてきた我々の過去は何だったのだろうか。
さらに!まだほかにもありますよ!(インフォマーシャル風に)
また、検索ベースのキーワードツール(キーワード最適化ツール)もある。これは検索行動と指定されたWebサイトに基づいて、関連キーワードを選ぶのを支援するアドワーズの広告主用のツールだ。このツールについてはグーグルがこちらで説明していて、アカウントの構成とコストについての情報を一層掘り下げて調べられる。
しかし、インプレッション数については、このツールはキーワードツールにはかなわない。キーワード最適化ツールでランダムなクエリを実行したところ、「maragogi」というキーワードを返してきた。キーワード最適化ツールによれば、このキーワードで毎月1万2000件の検索があるはずらしい。一方、レガシーツールで調べると、マッチタイプを完全一致にした場合、ローカル月間検索ボリューム110件、グローバル月間検索ボリュームが3万3100件となり、部分一致の場合はグローバル月間検索ボリュームが20万1000件となった。新ツールはグローバル設定(すべての国、すべての言語)の情報しか返さないが、部分一致とフレーズ一致で7万4000件、完全一致で1万2100件となっている。この一例だけを見ると、キーワード最適化ツールは新ツールによるグローバルの完全一致により近いようだ。それで、これらの数字を企業はどう扱うべきなのだろう?
(ヒント:常に完全一致を利用する)。
戦略に立ち返る
これらのツールが不正確である可能性があるとすると、私たちの顧客は年間の戦略目標をどのように設定すればいいのだろう?
簡単に言えば、検索においては、1通りの結果や1つのランキングレポートに頼るべきではないということだ。多くの情報源から、長期にわたり調査したデータを得るのがベストだ。しかし、すぐ利用できるツールがなくて、たいていのサイトにとってオーガニックなトラフィックの65%以上がグーグルからもたらされるという状況で、最良の数値をどうやって手に入れたらいいのだろう?
インプレッション数
まず、キーワードまたはキーワードの組み合わせが呼び込める月間平均インプレッション数を知ることから始める必要がある。市況産業(業績が景気循環に左右される産業)に関わっている場合は、暦年の各月について行う必要があるだろう。
1. グーグルと他社のキーワードツールから情報を得る
下の表は、前述の各ツールを使い、キーフレーズを「curtain fabric(カーテン布地)」として収集した情報の一例だ。ローカル完全一致 | 部分一致 | |
---|---|---|
旧版のキーワードツール | 8,100 | 301,000 |
新しいキーワードツール | 5,400 | 60,500 |
Word Tracker | 不明 | 20,040 |
Keyword Spy | 不明 | 246,000 |
こうして得た数字をすべて考慮することで、将来のトラフィックを予想するのに使えるようなトレンドを見いだせるかもしれない。トレンドがまったくない場合は、数値の中央値が指標として使えるかもしれない。
グーグル以外のツールとしては、Word TrackerやKeywordSpyを調べてみるといいだろう。数値がバラバラなのは見ての通りだが、私はこれらの数字から、このキーワードのインプレッション数は英国で月間6500回あたりだろうと推測する。
欠点は、WordTrackerとKeywordSpyでは部分一致と完全一致を比較して調べられない点だ。キーワードの調査を行う場合は、ローカルの(自国をターゲットにした)完全一致の情報が必ず必要だ。キーワードの情報を取得するのに部分一致を利用する人が多すぎるため、そのキーフレーズに関連する全フレーズの数は膨れあがっているのだ。
2.可能ならPPCキャンペーンを実施する
長期のトラフィックに関して正確な数字を得るのに間違いなく最良の方法は、PPCキャンペーンを実施することだ。新たなキーワードツールが2010年8月の実際のトラフィックを正確に反映しているのかどうかを判断するため、私はいくつかのキャンペーンから数字を引き出した(クライアントに配慮して、実際のキーフレーズは伏せている)。キャンペーンのキーワードはどれも完全一致であり、キーワードツールからの情報はローカルの完全一致で、キャンペーンが対象とした国に設定してある。
キーワード | 8月のPPCでの インプレッション数 | ローカル 完全一致 | 地域 |
---|---|---|---|
キーワード1 | 1,300 | 3,600 | 米国 |
キーワード2 | 1,193 | 590 | 英国 |
キーワード3 | 2,976 | 1,600 | 英国 |
キーワード4 | 2,377 | 2,400 | 英国 |
キーワード5 | 49 | 110 | フランス |
curtain fabric | 11,389 | 5,400 | 英国 |
見てわかるように、PPCのインプレッション数よりもキーワードツールの数字が大きくなっているところもあるし、逆にキーワードツールの数字のほうが小さくなっているところもある。これでわかったのは、グーグルのキーワードツールが正確なのかどうかに関して、決定的な答えはないということだ。
先に挙げた「curtain fabric」を見てみよう。キャンペーンでは1万1389インプレッションだった。新ツールの数値よりはるかに大きいが、ほかのキーワードツールで調べた数字よりは小さい。だからこそ、インプレッション数をより正確に知りたい場合には巧みなPPCキャンペーンが重要なのだ。
ちなみに、これらの数値を調べるのに使ったアドワーズアカウントは、どれも適切にジオターゲティングされており、平均して最初のページの上位に表示されていた。
検索順位に基づくトラフィックを探る
インプレッション数について十分把握できたら、次はそのキーワードを使ったオーガニック検索で、平均してどの位置にくるか(つまり順位)を考慮する必要がある。
ウェブ上で行われるすべての検索についてクリックスルー数を知ることはできないが、オーガニック検索のトップ、2位、それ以下のインプレッション数がそれぞれどのくらいなのかについては若干の調査がある。私がいちばん利用したのはChitikaのものだ。トラフィックのパーセンテージとインプレッション数に関する、以下に示した表の情報を利用すると、そのキーフレーズでのオーガニック検索により獲得できる月ごとのビジター数をおおよそ推測できるはずだ。
「curtain fabric」を例にとり、取り組んでいるサイトが過去数か月、オーガニック検索の結果で平均して3位を維持しているとしよう。このキーワードについては、グーグルから月に約1300件の訪問があると予測できそうだ(1万1389インプレッションの11.42%)。
過去のメトリクス
すべての数字を出したら、次に留意しておくべきことがある。それは、過去のメトリクスもまた、おおむね正しいトラフィック量をどれだけ正確に把握できているかを知るのに良い方法だということだ。
(前年のメトリクスデータがなかったり大規模にサイトを改修したなどの)大きな変化がなければ、過去を振り返ることが、サイトのトラフィックやトレンドの移り変わりを理解する上で最も正確な方法となる。前年の月ごとのユニークビジター数を引き出し、月ごとに何%増加しているかを分析しよう。たいていの分析プログラムで、トラフィック全般のトレンドからキーワードまで、多様なレベルの分析が可能だ。
グーグルのオーガニック検索からのトラフィック全体を、月ごとにGoogle Analyticsで表示する。
特定のキーワードについて、グーグルのオーガニック検索からのトラフィックを、前年の月ごとに表示する
経験に基づく推測
最後になるが、予測とはつまり、経験に基づいた推測にすぎない。利用できるすべての情報源からデータを引き出し、手元にある過去のデータを活用すれば、経験に基づいて次の年を推測できる。
ただし留意すべきは、同じ状況がずっと続きはしないということだ。ここ最近見てきた中で最大の変化をもたらしたGoogle Instantがそのことを実証している。
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