今日は、SEOの話題を。「ロングテール」という言葉が一般的になって久しいですが、あいかわらずSEO業界では「1位表示させる」とか「○○というキーワードで1位の実績」とかいう話が多いですね。SEOってそれだけじゃないよね、という話です。
SEOの目的は1位になること? じゃない
みなさん、SEOというと、何を目的に行うものだと考えますか?
- 検索結果で1位をとる
- サイトのテーマに合った特定キーワードで上位をとる
- 検索される回数の多いキーワードで上位をとる
- ユーザーが興味をもって検索するキーワードで上位をとる
- 潜在顧客がコンバージョンに至る際によく使うキーワードで上位をとる
- 検索エンジンから多くのユーザーを集める
- サイトの目的に合うユーザーを検索エンジンから多く誘導する
上記に挙げた例は、上のほうから順に、初心者が考えがちなSEOの目的で、下にいけば行くほど、私が適切だと考えるSEOの目的になっています。
Web担では、これまで「ビジネス目的別企業Webサイト成功の法則」の連載などの記事を通して、「サイトの目的を明確にすることが大切」という話をしています。また、私もセミナーなどで講演させていただく際には、よく「あなたのサイトのビジネス目的は?」というテーマにします。
そう。大切なのはサイトの目的(販売、資料請求、申し込みなどのコンバージョン)であって、SEOはその目的を達成するための手段の1つであり、検索結果での順位というのはSEOの1つの側面に過ぎないのです。
ロングテールSEOを再確認
たしかに、検索数の多いキーワードで上位表示されれば、多くのユーザーをサイトに誘導できます。しかし、幅広い検索キーワードでサイトに誘導できれば、1つひとつのキーワードの検索数が多くなくても、全体では結構な数の集客になります。
これが「ロングテールのSEO」なのです。
もっと具体的に言うと、サイトのテーマから外れない範囲で、さまざまな内容のコンテンツを作り、各ページがそれぞれ異なる検索キーワードで検索エンジンからの受け皿となるようにするのです。
ロングテールというと、Amazonのように大量の商品を販売しているサイトだけの話だと思うかもしれませんが、だれでもできるやり方なのです。
- 「ヘッド」のSEO ―― 競合の多い1キーワードで上位表示させる
- 利点:成功するとリターンが大きい
- 利点:ユーザーの動線が安定しているためサイトの作り込みが楽
- 欠点:現状ではリンク構築が重要な要素であるため、不自然なリンク獲得手法を使わなければ競合に勝てずリンク合戦になる場合もある
- 欠点:そのキーワードでしか集客できないため、隠れたニーズや新しいニーズを探りにくい
- 「ロングテール」のSEO ―― 多数のキーワードで幅広く誘導できるようにする
- 利点:検索エンジンのアルゴリズムが変わっても大きな影響を受けにくい
- 利点:競合の少ない「ブルーオーシャン」なキーワードや、予想しなかったキーワードでの集客が可能
- 欠点:コンテンツの数を増やす工数が必要である
- 欠点:ユーザーの動線が多様なため、サイト内での誘導を工夫する必要がある
たとえばWeb担では、検索エンジンの検索結果からのアクセスに絞ってある一定期間でみると、次のような状態です。
- 検索キーフレーズのバリエーション:16万5,000キーワード
- 閲覧開始ページのバリエーション:1万2000ページ
つまり、1キーフレーズあたりのセッション数が(かなり少なく見積もって)平均で2セッションだったとしても、全体で33万セッションを検索エンジンから誘導できるのです。
もちろんWeb担はメディアサイトであり、検索エンジンにインデックスされているページも数万ページありますから、特殊な例ではあります。でも、幅広いコンテンツを受け皿にして幅広いキーワードで集客するロングテールSEOのパワーがわかるでしょうか。
ロングテールSEOのためのコンテンツ作成指南
競合の多いキーワードで上位表示させようとするヘッドSEOでは、現時点では自ずと「リンクを増やす」必要が出てきます。そうすると、有料リンクを買ったり、中国語サイトに日本語のワードサラダでページを作って文中からキーワードリンクするスパムSEOに手を染めたりする人も出てきます。また、KPIも順位やリンク数が中心になるでしょう。
そういう方向に向かうのではなく、週に1本でもいいので継続的にコンテンツを作っていくロングテールSEOをしていくのはどうでしょうか。ブログ、コラム、メルマガバックナンバー、Q&A、事例、お客さまの声……コンテンツは作ろうと思えばいくらでも作れます。まずは商材から大きく外れすぎない範囲で、さまざまな方向のコンテンツを作っていくほうが、キーワードの幅が広がるでしょう。
ただし、ロングテールSEOをする場合には、次の点に注意しましょう。
- 各記事のtitle要素だけは、キーワードをちゃんと調べて付ける
- 全コンテンツがインデックスされるようにサイトマップなどで対応する
- 必ずアクセス解析をしてキーワード分析を行い、以後のコンテンツ作成に反映する
- 訪問数は多いがコンバージョンへの誘導が少ないページを見つけて、「資料請求」などの誘導ボタンを適宜追加・調整する
この「ロングテールSEO」は、昔から言われているものですし、Web担でも「真偽が問われるロングテール理論、でも検索クエリのトラフィック分布には依然有効」や「グラフで見るロングテール - トップ1万キーワードでもトラフィックの18.5%に過ぎない」などの記事で解説しています。しかし、このコラムでちゃんと扱った記憶がなかったので、今さらな話題ではありますが、まとめてみました。
もちろん、私はヘッドのSEOを否定しているわけではありません。ヘッドSEOが成功すれば成果は大きくなりますし、そこにロングテールSEOを組み合わせられれば最強になります。
本当にあなたが「検索エンジンからの効果的な集客」を実現したいのであれば、ただ「キーワード○○で1位」を強調してリンクの話ばかりするSEO事業者ではなく、もっと広い視点から検索エンジンとの付き合い方を提案してくれるSEO事業者を選ぶようにしましょう。
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