ソーシャルメディアポリシー/ガイドラインの国内実例まとめ+策定者向け情報
今日は、企業のソーシャルメディアへのかかわり方に関する話題を。国内でも、ソーシャルメディアポリシーやソーシャルメディアガイドラインの策定例が増えてきました。具体例を示しながら、ソーシャルメディアポリシーについて考えてみましょう。
ソーシャルメディアガイドラインの具体例
Twitterの流行を受け、本格的にソーシャルメディアポリシーを策定する例が増えてきています。ここでいう「ソーシャルメディア」はTwitterに限ったものではなく、ブログやSNSなども含めた幅広いものです。
現在、国内で公開されているソーシャルメディアポリシー/ガイドラインには、次のようなものがあります。
ADKインタラクティブ ソーシャルメディアポリシー
→ https://www.adk-i.jp/resources/adki_socialmediapolicy.htmlIBM ソーシャル・コンピューティングのガイドライン
→ http://www-06.ibm.com/jp/ibm/partner/scg.htmlインテル・ソーシャルメディア・ガイドライン
→ http://www.intel.com/sites/sitewide/ja_JP/social-media.htmNEC(日本電気) ソーシャルメディアポリシー
→ http://www.nec.co.jp/site/ja/socialpolicy.htmlアイレップ ソーシャルメディアポリシー(ガイドライン)
→ http://www.sem-irep.jp/info/20100511.htmlループス・コミュニケーションズ コミュニケーション・ガイドライン
→ http://www.looops.net/aboutus/communication.htmlシックス・アパート ソーシャルメディア利用ガイドライン
→ http://www.sixapart.jp/social/guideline_for_employee.html
※第三者が営利目的で二次利用できるフリーのライセンスで提供
完全版ではない社外公開用の概略バージョンもありますが、いずれも意外とシンプルですね。そもそも、こういったガイドラインは何のために策定するのでしょうか?
するべきこと/するべきでないことを明確にし、何が問題なのかのルールを明らかにすることもあるでしょう。それに加えて現時点では、「ソーシャルメディアというもの」に慣れていない大部分の人たちに対して、意識するべき点を明らかにしたうえで、怖がらずに進める道筋を示すことも重要です。
これまでは、企業から対外的に情報を発信するのは広報や宣伝といった一部の部署の人だけでした。しかし、ソーシャルメディアの隆盛により、企業名を明かした状態で個人として情報を発信したり第三者とコミュニケーションしたりするケースが増えてきました。つまり、ウェブに明るくない人が企業名を背負ってソーシャルメディアに飛び込む状況が増えてきているのです(自社社員だけでなく、契約スタッフ、協力会社のスタッフなど、ブランドに関係するあらゆる人がいますから)。
そういう人に対して、その行動がどういった意味をもち、どういった結果をもたらす可能性があるかを、わかりやすく示す意味合いが強いようです。そのため、現時点でのソーシャルメディアガイドラインなどは、ソーシャルメディアに慣れているWeb担当者にとっては自明のことが多いのです。
ソーシャルメディアガイドライン策定に役立つ情報
これからソーシャルメディアガイドラインを作ろうという人は、上記のガイドライン例に加えて、すでにオンラインで公開されている、次のような情報をうまく利用するといいでしょう。
WOMマーケティング協議会 WOMマーケティングに関するガイドライン
→ http://womj.jp/news/2010/03/wom-2.htmlソーシャルメディアポリシーに入れるべき10項目(和訳紹介)
→ http://www.socialmediamarketing.jp/2009/06/10-must-haves.html
インテルでは、社内関係者向けだけでなく、外部のライターやジャーナリスト向けのガイドラインも併せて策定しています。こちらは、どちらかというと口コミマーケティングのガイドライン的な側面ですね。
インテルと契約関係にあるか、配置されている、またはインテルから報酬を受けているソーシャル・メディア専門家向けのガイドライン
→ http://www.intel.com/sites/sitewide/ja_jp/social-media-practitioner.htm
また、英語の情報になりますが、次のようなツールも便利です。
ソーシャルメディアポリシー生成ツール「Social Media Policy Generator」
→ http://socialpolicygenerator.com/
社名を入れるとテンプレートに当てはめたソーシャルメディアポリシーを生成してくれます。ソーシャルメディアポリシーデータベース「Social Media Governance」
→ http://socialmediagovernance.com/policies.php
BBC、コカコーラ、シスコ・システムズ、デル、FedEx、HP、IOC、コダック、マイクロソフト、ロイター、米国の空軍、陸軍、海兵隊、海軍、ウォルマート、ヤフーなど、数多くのソーシャルメディアポリシーを収集しているサイト。
また、ソーシャルメディアのガイドラインやポリシーを策定するサービスも、何社からか提供されています。
トライバルメディアハウスのソーシャルメディアガイドライン策定コンサルティング
→ http://www.tribalmedia.co.jp/service/detail.html?id=22
(マイクロソフトの全社的ガイドライン作成事例)
→ http://www.tribalmedia.co.jp/works/detail.html?id=3みずほ情報総研のソーシャルメディアポリシー策定コンサルティング
→ http://www.mizuho-ir.co.jp/solution/improvement/manage/construction/smp/ループス・コミュニケーションズのソーシャルメディアポリシー策定コンサルティングサービス
→ http://www.looops.net/service/service04.html
ただガイドラインを作ればいいわけじゃない
ここまで情報があれば、テンプレートをベースにしたり、他社のガイドラインを参考にしたりして、自社向けのソーシャルメディアガイドラインをすぐに作れそうなものですが、もう少し考えてみましょう。3点ほど、意識しておくべき要素があります。
1点目として、ソーシャルメディアガイドラインは、あくまでも企業全体としての(ネットに関係のない全般的な)行動規範がベースにあるものです。そうした規範がまだ明確に作られていないのであれば、そちらをまず明確にするべきですし、策定するソーシャルメディアガイドラインは、全体規範を反映したものとなっている必要があります。
2点目は、ガイドラインを有効に活用するには、具体例が必須であることです。公開されているガイドラインでは省略されていますが、多くの企業では、具体的な発言例を示した想定事例や、ソーシャルメディアの理解を深めるための参考情報などが盛り込んでいます。ガイドラインの目的として「ソーシャルメディアというものに慣れていない人が安心して適切に行動できるようにする」ことを含めるのであれば、そうした具体例は必須となります。それに加えて、ガイドライン策定後に社内でセミナーやトレーニングを行うことも重要になるでしょう。
3点目は、具体的な対応ルールのアクションまで検討する必要があること。ガイドラインから外れた行動への対応を、どのタイミングでだれが判断するのか、罰則はあるのかといった点や、そのためのモニタリングなどの仕組みも考えておく必要があります。
この辺りの話をもう少し知りたい人は、日本のマイクロソフトでソーシャルメディアマーケティングに関するバイブル(ハンドブック)を全社向けに策定したクマムラゴウスケ氏のブログを読み込んでみるといいでしょう。もちろんマイクロソフトの公式な情報としてではなく、クマムラ氏の個人としてのブログですが、非常に示唆的で参考になります。
ソーシャル メディア マーケティングなハナシ(life is so...)
→ http://channel5.cc/?cat=9
この分野に関しては、私もまだまだ勉強中ですので、ツッコミや追加情報などございましたら、ぜひコメントしていただければ参考になります。
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