真偽が問われるロングテール理論、でも検索クエリのトラフィック分布には依然有効
クリス・アンダーソン氏が提唱し新古典となった需要分布理論に、異議を唱える研究がここ数年現れている。英国のThe Times紙は、「ロングテール理論に異論」という記事で次のように報じている。
インターネットは、注目を浴びないまま忘れられた商品にアクセスする広範な選択肢を消費者にもたらし、ニッチ市場に特化した販売業者には富をもたらしてくれるはずだった。
しかし、デジタル音楽販売の研究から、この「ロングテール」理論に対して最初の異議申し立てが提起された。去年インターネット上で購入可能だった1300万曲のうち、実に1000万曲以上が一度も売れなかったというのだ。
個人的には、これがひどくショッキングな話だとは思わない。「ロングテール」需要理論を人気のある文化であるポップカルチャー関連の商品に適用することについては、繰り返し、繰り返し、異議が唱えられていた。しかし、ロングテールがほぼ完璧に当てはまる領域が1つある。それは検索クエリだ。その証拠をこれから示そう。
グーグルのエンジニアリング部門バイスプレジデント、ウディ・マンバー氏の次の発言はどうかな?
今日われわれが目にする検索クエリの20~25%は、以前には見たことのないものだ
それにグーグル自身もこう説明している。
いわゆる「ロングテールの広告主」が当社の売り上げの半分を占めている。
それから、検索クエリの需要分布についてダスティン・ウッダード氏が行った調査にはこう記されている。
少なくとも、調査を行ったこの3か月分のデータからは、上位100位までの検索語句が生み出したトラフィックは全トラフィックのたった5.7%にしか当たらないことがわかる。トップ500位、1000位、1万位と拡げても、それぞれ全検索トラフィックのわずか8.9%、10.6%、18.5%だった。
つまり、たとえ検索エンジンすべてにおいてトップ1000位までの検索語句を独占しても(そんなことは不可能だが)、検索トラフィックの89.4%は取りこぼす、ということだ。
尻尾の部分のトラフィックはあまりに大きく、把握することすらできない。検索を1匹のトカゲにたとえるなら、頭が2.5センチで、尻尾が355キロメートルもあるようなものだ。
SEOmozが協力している大手クライアントについてもほぼ例外なく、検索トラフィックのグラフはまったく同じ形になっている。以前の記事で紹介したように、Enquisiteのツールで分析したSEOmoz.org自体のトラフィックも同じ形だ。大規模なサイトの場合、検索トラフィック全体に占めるロングテールの割合は50~75%以上にもなる。だから、「ロングテールは存在しない」というニュースに惑わされないように。ただ単に、映画や音楽といった「ポップカルチャー」の分野では、ロングテールがそれほど大きいわけでも価値があるわけでもないのかも、という程度の話だ。
君はどう思う? ロングテール理論はもう死んだのだろうか? それとも、ロングテールのクエリは君のサイトのトラフィックの大部分を占めている? 価値はどうだろうか……ロングテールのクエリをコンバージョンにつなげることは不可能なのだろうか、それとも他の部分と等しく価値があるのだろうか?
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