SEOでお金を稼ぐ方法は2つだけ? そんなバカな
セス・ゴディン氏は僕がとても尊敬している人だ。だから、広範なテーマを表面的にしか扱っていない彼の「SEOでお金を稼ぐ方法」という記事を読んで、最初は少々がっかりした。でも、何度かメールをやり取りして納得したよ。これは彼が明確な意図のもとに書いたもので、このテーマに対して多くの人が抱いている考えを、わかりやすい形で示したに過ぎないってことがわかったからね。
で、彼の書いたような記事も悪くはないけど、ご存知の通り、僕は愛するこの仕事を表面的に分析されるのが大嫌いだ。そこで今回は、ゴディン氏の分析を掘り下げて、このテーマをもう少し詳しく(でもわかりやすさを損なわないように)論じてみたいと思う。
ゴディン氏は、SEOを通じて達成できるビジネス戦略として、以下の2つを挙げている。
- 人気と競争率の高いキーワードで高い検索順位を獲得し、新規ビジターを自サイトに呼び込む。
- 自身がブランド化したキーワードで高い検索順位を獲得し、検索エンジンをブックマーク代わりに利用しているユーザーのトラフィックを呼び込む。
このリストをもう少し拡大したバージョンといえるのが、僕の記事「目的別に見る6つのSEO戦略——ビジネスに合わせて選ぶSEOの目的(前編・後編)」だ。でも、今回はあまり話を深く掘り下げたくない。あくまで大局的なレベルで、こんな風にイメージしてみよう。
ウェブでトラフィックを稼ぐ方法はたくさんあるけど、トラフィック=収入ってわけじゃない。ウェブでお金を稼ぐ方法もたくさんあるけど、こっちはほぼすべてトラフィックの獲得がものを言う。
で、この2つが出合うところには、必ずSEOの出番があるんだ。コンバージョンが見込めるビジターを直接呼び込むこともできるし、トラフィックを増やすことで先々の売上につなげることもできるからね。
SEOは、オンラインビジネスのあらゆる局面で役に立つと言ってもいい。たとえば購買サイクルではこうだ。
段階 | プロセス | クエリの例 |
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ニーズの認識 | ユーザーは自分のニーズを満たしてくれるコンテンツ/サービス/商品を探すため、一般的なキーワードや有名なブランド名を使って検索する。 |
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選択肢の拡大 | ユーザーはニーズの認識段階で見つけた候補以外にも選択肢がないか、さらに検索する。 |
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リスクの軽減 | ユーザーは選択に間違いがないことを確かめるため、暫定的に選んだブランド/商品の関連語句を使って検索する。 |
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決定 | ユーザーは選んだものを購入できるサイトや店舗を見つけるため、そこにつながりそうな語句を使って検索する。 |
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情報の補足 | ユーザーは追加情報、詳細、サポート情報などを探すため、商品やその購入に関連した語句を使って検索する。 |
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ブランド構築や広報の分野ではこうなる。
そして、僕らがウェブ上で行うソーシャル活動ではこんな感じだ。
インターネットは世の中の動きを変えた。そしてこの変化は、インターネットの普及と利用が急拡大を続けるのに伴って、ますます加速している。マクロとミクロ、両レベルの経済活動で行われている営利行為で、ウェブ検索の影響を間接的にも直接的にも受けていないものは減る一方だ。
ここからわかるのは、人々が意思決定の材料に検索エンジンを活用しているのなら、企業が人々の行動を自分たちの望む方向に変えるためのマーケティング戦略として、SEOは有効だってことだ。
検索エンジン最適化は、今のところ一般的に広く受け入れられているものではないかもしれない。だけど、そうなるのも時間の問題だ。あるいは、何かほかの新技術が検索に取って代わる可能性もあるけど、僕が思うに、まだそこまでの段階には達していない。だから、SEOを利用してお金を稼ぐ方法が2つしかないなんてことはない――可能性としては、オンラインでお金を稼ぐ方法と同じ数だけ存在するはずだ。
追伸:アーロン・ウォール氏によるゴディン氏の記事の検証(ほとんどのSEO戦略はホームランを狙っていない)も読んでみてほしい。ゴディン氏がいいコメントを残してるから、それもね。
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