新聞や雑誌でTinyURLの短縮URLを使うべきではない理由と解決策
この週末、ソファに寝そべって『Guardian』紙を読んでいたとき、今回のブログ記事のアイデアをふと思いついた。自宅でくつろいでいたので、以下のものは手元に一切ない状態だった。
- iPhone
- ペン
- 固定電話
- インターネット
さて、こんなものは新聞を読む際に必要不可欠なツールってわけじゃないと思う人がいるかもしれないけど、それは間違いだ。僕は新聞を読んでいる間、長いリンクをTinyURLで短縮して紙面に掲載している部分に何度も出くわし、そのたびに気になった。もちろん、上記のツールは一切使えないので、そのURLを訪問することも、後で訪問するためにメモしておくこともできない。
僕はそれほど仕事中毒の人間じゃないから(日曜の午後くらい、少し休ませてよ!)、その短縮URLをオンラインでチェックしたり、あとで調べるためにメモしたりすることもせず、ただちょっと肩をすくめただけで、別にそのリンクにそれほど興味があるわけじゃないと割り切って、次の記事に進んだ。
僕の意見では、これは新聞にとって途方もない機会の損失だし、読者にとってもいい気持ちのしない体験だ。では、どうやって解決したらいいんだろう? 解決策に入る前に、まず、問題点をわかりやすく説明しておこう。
新聞が現在TinyURLを使っているのはなぜか?
僕の見るかぎり、新聞が現在TinyURLを使っている最も大きな理由は、短いからだ。URLを短縮せずに印刷するのに比べて、短縮URLを使えば貴重な紙面を節約できる。紙面に印刷された短縮URLはこんな感じだ。
次のように印刷するより、はるかにスペースを節約できる。
以下のようなURLだったら、短縮URLで節約できるスペースはさらに増える。
短縮URLの人気については、それを示す本当に多くの例を実世界で見てきたし、媒体もGuardianからWorld Poker Tour Magazine、New Scientistまで多岐にわたっている。つまり、印刷媒体のほぼすべてが短縮URLを使っていると言っていい。
でも、それはやめてしまうべきだ。
新聞がTinyURLを使うと何が問題なのか?
僕は冒頭で、ソファから動こうとしない怠惰なインターネットマーケターの哀れな話をして、短縮URLが役に立たない理由に軽く触れたけど、TinyURLを使う問題点をすべて列挙してみよう。
URLが覚えられない
「おおすごい、量子物理学に関する記事、これは実におもしろそうだ。今度コンピュータを使うとき、忘れずにTinyURL、スラッシュ、x、x、2、3、5、h、j、をチェックしよう」なんてことになるから、新聞をコンピュータの前までわざわざ持って行くか、たまたま君が並外れた記憶力の持ち主でない限り、短縮URLは使いづらい(最近はTinyURLのカスタムエイリアス機能で覚えやすい文字列を指定できるようになったけど、どの新聞もこの機能を使っていない)。
ブランド化ができない
短縮URLを見てクリックするのは、目をつぶってクリックするようなもので、自分がどんなサイトに連れていかれるのかわからない。また、訪問者がどこから来たかというリファラーもわからない。
追跡ができない!
追跡、追跡、追跡。呪文のように唱えてきた、オンラインのあらゆる活動で重要な要素が、TinyURLを使うことで失われている。何人がリンクをクリックしたのかわからず、何らかの理由で、自分のTinyURLの1つがコピー&ペーストされて1000人にメールで送信されていても、それを知ることはできない。とにかく、何もわからないんだ(一部のURL短縮サービスがかなりしっかりした追跡機能を提供しているのは知っている。特にbit.lyの追跡機能はすぐれている。だけど、それはここに挙げた他の欠点を打ち消すものではない)。
自分ではURL短縮サービスをコントロールできない
君はTinyURLを信頼できるかな? この先どのくらい長く存続するだろう? 明日になって大量のデータが消失し、自分のURLがすべて404エラーになったらどうする? 話が極端だって思うかい? それならzi.maを見てみるといい。これもURL短縮サービスの1つだったけど、今はすべてのURLが404エラーになっている。zi.maドメインへのリンクの数は6万7000件を超えるというのに!
では、代わりにどうしたらいい?
自社のジャーナリストだけが使える独自のURL短縮サービスを構築すること! 僕みたいなハイテク恐怖症の人間にとって、これは大変な仕事のように思える。でも、この手のサービスを構築するのは割と簡単なことなんだっていうのがわかった。というのも、ロブが週末にURL短縮サービスTwadlをあっさり作っちゃったから(君の成果を安く見てるわけじゃないよ、ロブ!)。
独自のサービスを持つ利点は何かって?
そうだな、GuardianがTinyURLの代わりに次のようなURLを使うと想像してみよう。
あるいは、こんなURLだ。
これなら、上に挙げた欠点をほぼすべて回避できるはず。自分たちでコントロールできる短縮URLなら、追跡もできるし、Guardianのブランドも目に見える。ただし、1つだけ解決していない問題があるんだ……。
短縮URLは覚えにくいという問題を解決するには?
さて、上では2種類のURL(1つは月と数字を使い、もう1つはエイリアスを使っている)を例に挙げたけど、まだ覚えやすいとは言えない。ではどう解決したらいい?
新聞のサイトにリンクページを作って、そこに最近使われた短縮URLリンクをすべて載せ、簡潔な説明を付けるのはどうだろう? これなら、短縮URLを忘れてしまったときに、どこを見ればいいかがわかるだけでなく、そのページが編集者の手によるDiggやRedditのような役目を果たして、それだけで大量のトラフィックを喚起できる。
何といっても、紙面に日々掲載される外部リンクは、やはり貴重な代物だ。人はいつでも、何かクリックする価値のあるおもしろいものはないかと目を光らせているし、そうしたリンクページこそが、まさにそれを提供できるのだから。
巷にある実例
英国の新聞媒体に掲載された実例から2つ。1つは良い例で、1つは悪い例を示そう。
良い例英国の無料日刊紙『Metro』は、短いリダイレクトURLを使って日常的にトラフィックを誘導している。たとえば、「www.metro.co.uk/cats」というURLは、Metroのブログ記事に301リダイレクトされる。
悪い例Guardianのこのページを見てごらん。この記事にはTinyURLのリンクが13か所もある。Guardianが印刷版でTinyURLを使うことを選んだ理由が何であれ、オンライン版でこれを使う理由はまったくない!
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