高度な解析 - キャンペーン、チャンネル、メディアをまたぐ効果追跡(前編)
ディスプレイ広告は興味深い。出来の良い作品(下のソニーの広告みたいな)には心を刺激する力があるが、その成否を測るのは時に難しい。
今年の夏に出向いたSMX Advancedで、いくつか参加した中でも特によかったセッションの1つに、最先端の分析手法に関するパネルディスカッションがあった(行ってみるといいよと勧めてくれたランドに感謝!)。そのセッションでは、検索分析の高度な手法や測定指標について、すばらしいヒントをいくつか聞くことができた。それに感化されてこの記事を書いているんだけど、ちょっと違う分野を扱ってみようと思う。僕らが基本的に扱うのは、SEOと検索広告なのだけど、オンラインのディスプレイ広告も少しばかり手がけていて、最近はPRとオフライン広告の測定指標について考えるようになったんだ。
- バイラルマーケティング、クチコミ、オンラインのPRキャンペーンにおける広がりと効果の追跡
- オフライン広告やディスプレイ広告の効果をオンラインで測定する指標
- オーガニック検索と検索広告、そしてオンラインとオフラインのディスプレイ広告やPRにおける、相乗効果の測定
それで、僕らがどうやって上記のようなことを行っているか(または行おうとしているのか)を少し紹介しよう。後でみんなの考えや経験も聞いてみたいが...
オンラインPR効果の追跡
SEOmozに記事を投稿してはいるが、僕の本職はDistilledという会社に勤めるディレクターの1人だ。Distilledが手がけている製品の1つにReputation Monitorというのがある。これは、自分や自分の会社、そして自分のブランドについて、オンラインで何が書かれているかを監視するツールだ。
DistilledのスタッフがSEOmozで自分たちの製品を売り込むことなんてあんまりないけど、ちょっとした自己宣伝くらいは大目に見てほしい。これを作ったのは、Google Alertを使ったワークフローの構築が不可能だったからだ。いろいろな発信元の多様なRSSフィードを監視していると、重複する部分も多くなる。それに、それぞれの情報が監視対象のことに言及したものであると、どれだけ確信を持って判断できるかによって、もっと情報を絞り込みたかったんだ(これがどれだけ悩ましいか、わかるだろ。インターネットで「distilled」という言葉が出てきても、ほとんどはうちの会社に言及したものではないんだ!)。現在、僕らは山ほどの改良に取り組んでいるけど、自分たちの宣伝はこの段落だけにして、試しに使ってみてほしいという言葉で締めくくることにしよう(無料の試用版もあるよ)。
このツールを作ってみて、評判監視という分野以外にも応用できることがわかった。たとえばトムがちょっと前に書いたリンク構築のヒント(distilledの英語記事)とか、バイラル/口コミ/オンラインのPRキャンペーンに関する成果の追跡などだ。このツールの仕組みは、バイラルコンテンツや特定ページへの追跡リンクの中にある固有のフレーズを追跡するのに特に向いているんだ。
トラフィックを増やすためにキャンペーンを実施している場合、きっと解析を通じて効果を測るはずだ。SEO目的でリンクベイトを設置している場合は、主に集まったリンクに注目するだろう。しかし、それがブランド構築やPRのためならば、リンクが集まらなくても(結果的にトラフィックやSEOの面で得るものがなくても)、こちらの考え方が広まることで効果が得られる場合もある。
自分たちのことに言及している生の声を集めるのは、明らかに要領の悪いやり方だ。だから僕らは、次の2つの追加要素を取り入れようとしている。
- 認知度――そのページを何人くらい見る可能性があるか、あるいは見たか。
- 影響力――基本的には、どんな人がページを閲覧したかの尺度。
まず1つ目の「認知度」についてだが、僕らは公開されている複数のデータポイントを集約して導き出そうとしている。多変量回帰をうまくやれば、適正値にそこそこ近い概算が可能だろうと思っている。ランドが数年前に発見した指標は、最も優秀なものでもピアソンの相関係数が0.74だった。いくつかの情報源から得るデータを組み合わせれば(おそらくmozRankもその中に入ることになるだろう)、もっとよくなると思う。乞うご期待!
2つ目の「影響力」はずっと難しい。自動化が簡単なものから、とても難しいものまで、多様な測定基準を検討している。候補にあがっている入力項目をいくつか挙げてみよう。
- ページへのリンク(特に有力なサイト由来のもの)。多少時間がかかることに注意しよう。リンクはすぐに集まらない。
- 主に影響力のあるところから、サイトに対して張られるリンク(これを適切に使うには、LinkscapeのmozTrustに仕組みがよく似た、PageRankならぬ「InfluenceRank(影響力ランク)」のようなものが必要だろう)
- 定期的に口コミの発信源になること(すなわち一時的リンク解析)
- 該当のコンテンツとサイト内の別ページに投稿されたコメント数
- RSSフィードの登録者(データが利用可能なら)
オフラインPRを扱う会社は「広告費換算値」といった基準を口にする。つまり、報道機関などで取り上げられた場合、どれだけの広告費を使ったのに等しい宣伝効果が得られたかということだ。認知度や影響力を表す指標を標準的な広告費用に換算できれば、制作コンテンツの到達範囲のデータを併用して、オンラインPRキャンペーン比較する、金額ベースの評価基準を作ることができる。いい考えだとは思わないか?
この記事は2回に分けてお届けする。次回は今回に引き続き、「ディスプレイ広告効果を測定するオンライン指標」と「オーガニック検索と検索広告、あるいはオンラインとオフラインのディスプレイ広告やPRにおける相乗効果の測定」についてお伝えする。→後編を読む
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