[Google開発者インタビュー] 100MBを10秒で処理する高速アクセス解析ツールUrchin 6登場
100MBを10秒で処理する
スタンダード高速アクセス解析ツールUrchin 6登場
インタビュー:
Google Inc. Urchinプログラムマネージャー スコット・クロスビー氏
Google Inc. アナリティックサポートマネージャー ジャレッド・ジョンソン氏
米Google Inc.が開発するアクセス解析ツールUrchin(アーチン)のニューバージョン「Urchin 6」が6月26日に発表された。さらに強力な解析エンジンを搭載し、高速性を維持しながら、多様な新機能を追加した。GoogleAnalytics開発時にテストした多くの機能も盛り込み、またコストパフォーマンスの面でも大変優れた製品に仕上がっている。効率的なサイト運営のサポートに、なくてはならないソフトウェアだ。
2つのアクセス解析ツール
Urchin 6とGoogle Analytics
― 高速アクセス解析ツールとして人気のUrchinのニューバージョン、Urchin 6が日本でも6月26日に発表されました。同ソフトの開発元であるGoogleのお2人にUrchin 6についてお話をおうかがいしますが、Googleはアクセス解析ツールとしてはUrchinの他に、Google Analytics(以下GA)も提供されていますね。両ツールのポジショニングの違いは、ユーザーも気になるところだと思うのですが。
ジョンソン● GAはUrchinのテクノロジーをベースに開発されました。そして、GA開発時にテストしてきた機能の多くが今回のUrchin 6に盛り込まれています。現在Google社内では、GAとUrchinは開発的には別のプロダクトラインになっています。インターフェイス的には共通させている部分はありますが、バックエンドはGoogleは専用のデータベースを使っていますし、プログラム的にはずいぶん異なっています。
クロスビー● Urchin 6とGAはどちらを選ぶかという、競合するプロダクツではありません。ターゲットユーザーとしてはGAはブロガーなどのカジュアルユーザーが中心ですが、Urchin 6は企業ユーザーがメインです。また、両者を特徴に合わせて使い分けるといった利用法も可能です。
― Urchin 6とGAの違いはどんなところにあるのですか?
クロスビー● Urchinの場合は、社内のサーバーで解析できるという点に最大の特徴があります。GAはGoogleが提供するさまざまなサービスと同様、SaaS形式でGoogleのサーバーにデータが送信されて処理されるわけですが、Urchinならば社内に設置したサーバーにインストールして読み込ませるので、データが社外に出ることはありません。そのため、セキュリティを重視する企業、ポリシー的にデータを社外に出したくない企業でも安心してアクセス解析を利用できます。また、GAはタグを張り付けた以降のデータしか解析できませんが、Urchin 6なら、過去ログを解析することも可能です。一方、Googleアドワーズ広告との連携については現在はGAのほうにアドバンテージがあるといえます。
レポートのグラフィック表現力が大幅に向上
― Urchin 6の新機能については、従来バージョンの5に比べ、どういった改良がなされたのですか? ユーザーに向けてどんな魅力をアピールしていきたいのか、セールスポイントを教えてください。
クロスビー● 多くの特徴的な新しい機能があります。Urchin5にはなかった訪問者のアクセス元を地図上に表示するマップレポート、統合されたEC機能の使いやすさ、Flashの採用でさらにグラフィックが見やすくなった点、よりパワフルになった新解析エンジン、そしてJavaScriptを利用した多機能なUrchin Traffic Monitor(以下UTM)、ユーザーの業務に合わせたダッシュボードなどです。
― 盛りだくさんですね。各機能を個別にご説明いただけますか。
ジョンソン● まずGAではポピュラーなマップ解析の採用により、訪問者のアクセス元を表示できるようになりました。IPアドレスベースで地域別に訪問者数を市町村単位まで判定し、アクセスの集中度合いを地図上の円の大きさで表現することができます。地域性が重要なキャンペーンなどの効果を、グラフィカルに分析するのに役立ちます。
― レポートのグラフィックは全体的に改善されていますね。
ジョンソン● 従来グラフ表示はSVG(Scalable Vector Graphics)を利用していたため、表示のためにプラグインのインストールが必要でしたが、Urchin 6ではFlashを採用したため、グラフィック表現の自由度があがり、見やすく理解しやすい多彩なグラフ表示が特別なプラグインなしで実現できるようになりました。
コストパフォーマンスが向上し、
解析能力がアップ
― EC機能についてですが、従来のバージョンではEコマース・モジュールはオプションで別売でしたね?
クロスビー● Urchin5ではオプションとして提供していたEコマース・モジュールやキャンペーン・トラッキング・モジュールが今回のバージョンで一体化されたことにより、ECやマーケティングでの利用しやすさが格段に向上しました。Eコマース・トラッキングのセッティングも大変簡単です。それとともに、ワンプライスですべての機能がオールインワンで手に入るようになり、コストパフォーマンスが大幅に向上しました。1ライセンスで1,000のプロファイルが作成可能で、多数のドメイン名の解析を実現できるため、他社製品と比較しても、非常に価格競争力のあるプロダクトだといえます。
― 解析能力についてはどんな改良がなされたのですか?
ジョンソン● Urchinは100MBのログを10秒で解析できる高速性※が最大の特徴ですが、6ではそれに加え訪問者解析が強化されました。地域データとの融合により、訪問者の地域情報や行動履歴の特徴を詳しく分析することが可能になりました。これはGAにはない機能です。
そして、シナリオ設定によるゴール解析が強化され、マーケティングツールとしての使用感が向上しました。10ステップ、4経路の目標経路ページが設定でき、そこでのコンバージョン率が測定できます。プロファイル設定も非常に簡単です。旧バージョンでは、特定の目標に対するコンバージョンや経路の分析は行うことができませんでした。しかしUrchin 6では、目標とするページを設定することで、そこに至る経路や想定したシナリオからの離脱ポイントなど、より詳しい訪問者の行動を分析できるようになったのです。
※このベンチマークテストの結果は別表「推奨スペック」に則ったシステム環境によるものです。またログサイズやプロファイルの設定などによっても計測結果は異なります。
― 今回のバージョンアップの中で、ユーザーのリクエストに応える形での機能強化はありますか?
ジョンソン● 設定などのデータベースにUrchin独自のものを使用するのではなく、PostgreSQL、MySQLといったオープンなツールを利用したいというユーザーの声は強く、今回対応しています。これによって、設定や操作の習得に手間がかからなくなるとともに、カスタマイズの設計も容易になり、新しくアカウントを作成する場合などにも、社内のユーザー管理システムとの連携が容易になりました。
クロスビー● マーケティング、セールス、マネージャーといったユーザーの職責に応じて、それぞれに最適な情報を一目で確認できるダッシュボードを標準装備し、簡単に選択設定できます。これもユーザーリクエストに応えたものです。
Urchin 6のターゲットユーザーと
ユーザーのアドバンテージ
― さまざまな機能が強化されたUrchin 6ですが、ターゲットユーザーも広がりましたか?
クロスビー● Urchin5から6へのバージョンアップでターゲットユーザーは変更になっていません。むしろ、従来のターゲットユーザーにとって、より利用しやすいツールになったといえます。米国では官庁や教育機関、軍、金融などセキュリティポリシー的にGAで外に出て行くのが難しい、セキュリティ要求の厳しいユーザーには特にご利用をお薦めしています。セキュリティに留意した利用が可能な点が重要です。GAはSaaS型で利用されるのに対し、Urchin 6はデータを内部のマシンで処理することが可能なので、企業や団体のポリシーに合わせた運用が可能です。その他には、これはコストパフォーマンスの問題もあると思いますが、レンタルサーバー会社がサービスに組み込むために採用している例も多いです。
― ユーザーにとって、Urchin 6のアドバンテージはどんなところにあるのでしょう?
ジョンソン● GAと比較すると、ITサイクルの中で、データソースが異なる点に注目する必要があります。Urchin 6はサーバーのログファイルからソースを取ってきます。一方、GAはJavaScriptによってセッションを記録するのみなので、ロボットのアクセスやダウンロードについての解析はUrchin 6のほうが優れています。ただし、Googleアドワーズ広告との連携ではGAのほうが便利に利用できるでしょう。また、Urchin 6は過去のログの分析ができるということで、非常に柔軟性に富んだ利用が可能であるというメリットがあります。先ほども言いましたがGAはブロガーなどのカジュアルコンシューマー向けであるのに対し、Urchin 6は企業のITプロフェッショナルやマーケッター向けで、さまざまなキャンペーンへの利用が可能です。Urchin 6では、GAにはない訪問者のセッション別の解析が可能になりました。また、企業ユーザーにとっては、Urchinの100種にものぼるITレポートの種類の豊富さもアドバンテージだといえるでしょう。
認定コンサルタントによる
サポート販売体制と今後の展開
― Google Inc.はUrchinの認定コンサルタントを選定していますね。ラネクシー社は日本で1社だけの認定コンサルタントですが?
クロスビー● 認定コンサルタントはライセンスを販売する権利を持っています。その他にもトレーニング、インフォメーション、マーケティングシステム、トラブルシューティングといったさまざまな役割を担います。そうした技術力や体制を持っていることを確認できたビジネスパートナーが認定コンサルタントなのです。Urchinのスムースな導入、運用をサポートしてくれるパートナーとして、日本では唯一ラネクシーがそのポジションにあります。
― まだUrchin 6が出たばかりで気が早いかも知れませんが、これからUrchinはどのように進化していくのでしょうか?
ジョンソン● 機能の開発ではUrchinとGAのチームは相互のやりとりがあります。ロードマップとして、今後はUrchinのGoogleアドワーズ広告への対応もAPIによってGAのようなスタイルになっていくでしょう。さらに今後はより改善された各種APIアクセスで、さまざまな機能が追加されていくことになると思います。
― 日本ではアクセス解析ツールを入れても有効に使えていないユーザーが多いといわれています。彼らに何かアドバイスはありますか?
クロスビー● もっとたくさんのデータを処理することです。企業のそれぞれのセクションの担当者が、自分に必要な解析を行う必要があるでしょう。解析とその結果の確認を習慣化することで、より効率的なサイト運営が可能になってきます。一般的なコツをあげるなら、UrchinをGAと組み合わせて使うのが、効率を上げるために一番有効かつ簡単な方法です。Urchinの自在な解析と、GAのアドワーズ広告対応をうまく連携させるのが効果的です。また、アクセス解析においては現在コンバージョンに注目が集まり、直帰率のデータが軽視されがちな傾向がありますが、この部分はもっと気にかけたほうがいいと思います。
― ありがとうございました。
Urchin 6製品概要
対応言語 | 英語、日本語、韓国語、スペイン語他11言語に対応 | |
---|---|---|
解析可能ログ | Apache、IIS、その他サーバーログ(カスタムログフォーマットで対応) | |
対応プラットフォーム | Windows2003 Server、Windows XP、Windows 2000、Red Hat Enterprise Linux 3(2.4系)Red Hat Enterprise Linuxe 4/5(2.6系/32bitのみ)、FreeBSD 5/6、MySQL4/5、PostgreSQL 8.2.5以降 | |
推奨スペック | CPU | Pentium Dual Core 2.5GHz以上 |
メモリ | 3GB以上を推奨 | |
HDD | 250GB以上を推奨 | |
ネットワーク | 100Base-T Ethernet | |
ライセンス料 | 390,000円 | |
年間保守(初年度必須) | 78,000円 |
※年間保守契約期間内のUrchin5ライセンス保有者はUrchin 6へ無償アップグレード可能。詳しくは製品のホームページをご確認下さい。→http://www.runexy.co.jp/products/urchin/
株式会社ラネクシー(国内総代理店)
営業本部営業企画室
電話:03-5337-6435 E-mail:bpo@runexy.co.jp
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