スポンサードサーチを利用するには、広告を表示させるキーワードを選定し、そのキーワードに対して「入札」という手続きを行う。入札には最低入札価格が設定されており、広告を表示させるためには最低でも9円(または35円)以上の価格で入札手続きを行う必要があった。この最低入札価格の基準が、2008年8月8日から廃止され、新たなシステムへと変更された。変更後の最低入札価格の仕組みや広告利用者にとってのメリット、運用上の注意点を解説していこう。
キーワード・広告ごとに最低入札価格を設定
従来、設定されていた一律9円(または35円)という最低入札価格が変更されたのは、PC版のスポンサードサーチだ。PC版コンテンツマッチ及びモバイル版スポンサードサーチの最低価格は従来どおり9円のままだ。
ではまず、新しい最低入札価格の概要から押さえておこう。結論から言えば、新しいシステムでは、最低入札価格は次のように変更される。
- キーワードごとに異なる最低入札価格が設定される。9円(または35円)という下限は撤廃
- 同一のキーワードでも広告ごとに最低入札価格は異なる
- 入札後(広告運用後)も、最低入札価格は変動する
最低入札価格は、(1)キーワードの価値や重要性、(2)キーワードの品質、の2つの要素によって決められる。前者は、そのキーワードに入札している広告主の数や入札価格が決定要素だ。つまり人気の高いキーワードや入札額の高いキーワードは最低入札価格が上昇する傾向にあり、そうでないキーワードは下落傾向に向かう。一方後者では、クリック率など、キーワードと訴求したい商品、サービスの関連性の高さがポイントになる。広告の品質が高ければ、同一のキーワードをライバル企業よりも低い最低入札価格で入札できる可能性が生じる(アカウント内に同一キーワードが複数存在する場合も同様に最低入札価格は異なる)。
注意しなければならないのは、入札を終えて広告の運用開始をスタートした後も、上記(1)及び(2)の要因によって最低入札価格が変動するという点だ。最低入札価格が変動し、今までの入札価格を上回ってしまうと広告掲載がオフになってしまう(下図)。最低入札価格が今までの入札価格を上回る場合は、管理画面にアラートが表示され、数日間の猶予期間が設けられる。広告は引き続き掲載するには、その間に新しい最低入札価格に変更しなければならない。広告の運用状況には、今まで以上に気を配る必要があるだろう。
「広告の品質」が従来以上にコストパフォーマンスに影響
この最低入札価格のシステム変更による最大のメリットは、キーワードに最も適した広告を用意することによって品質を高めれば、従来よりも低い価格で広告を掲載できる可能性が生じる点だ。そのために、広告主が管理画面上で手がかりにしやすいのはやはり「広告の品質」だろう。
広告の品質はクリック率など複数の要因で決められ、管理画面上では「品質インデックス」として5段階で表示されている。仮にあるキーワードに対する品質インデックスが「2」で、その広告が表示されるキーワードの最低入札価格が9円だったとしよう。このような場合、品質インデックスを高めれば8円以下で入札できるケースも生じる。さらに品質インデックスは最低入札価格だけでなく、掲載順位の決定にも影響するため、今までよりも低い価格で広告の上位表示を狙える可能性がある。品質インデックスが従来以上に、広告のコストパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことを頭に入れておいてほしい。
なお最低入札価格が上昇し、キーワード掲載停止のアラートが表示されたあとに品質インデックスを高める対策を行っても、数日間の猶予期間中には最低入札価格が低くなることはない。日頃から広告の品質を維持・改善していくことが大切だ。
広告の品質を維持・改善するには、キーワードと広告の関連性を強め、クリックされやすい広告=インターネットユーザーが有益だと感じる広告を作成することが基本になる。入札したキーワードを広告のタイトルや説明文にも用いる、広告表現に工夫を凝らす、クリック率が相対的に低いキーワードを掲載停止するといった対策に地道に取り組むことが大事だ。また複数の広告を登録しておくことも極めて有効な対策になる。スポンサードサーチでは、2種類以上の広告を登録しておいた場合、パフォーマンスの高い広告を優先表示する「広告最適化機能」が自動的に機能するようになっている。一定期間、複数の広告をローテーション表示してテストをし、最終的にはパフォーマンスの高い広告だけが表示される仕組みだ。パフォーマンスの高い広告=品質の高い広告と考えてよく、最低入札価格の変動にも有利に働くはずだ。
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