Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

ソーシャルメディアマーケティングでスパム扱いされないために――オーディエンスを知れ

みんなもよく知ってるとおり、SEOmozの「2008 Web 2.0 Awards」が発表されたわ。昨年と一昨年同様、この発表は賞賛と拍手で迎えられ、結果発表のページは、トップページに載ることを願ってDiggに投稿されたのよ(ジェーンとスタッフの皆さん、お疲れさま)。

ジェーンとランドは、この賞とDiggへの投稿についてあちこちで話をし、SEOmozブログにも記事やコメントを書いて、同僚やユーザーに投票してもらったの。昨日、Diggに投稿した記事がたったの3時間で100ポイントも獲得してたわ。だから、この記事はあっという間に話題になるなって、ずいぶん期待したのよ。それなのに、今朝目を覚ましてDiggをチェックしてみたら、投稿から20時間経ったというのに、記事には200ポイントしか付いてないじゃない。いったいどういうこと?

えっと、私はDiggの専門家じゃないけど、どうやら「これかな」と言えそうな原因に思い至ったわ。ちょっとコメントに注目。

SEOmozコメントSEOmozコメント

17件のコメントのうち7件が、ジェーンかSEOmoz、あるいはその両方に対するコメントになっているわね。たとえば「ジェーン、それにSEOmoz読者、よくやった!」とか「ジェーンはすばらしい!」とか、あるいは「SEOmozにとってはすばらしいリンクベイト」とか「ジェーン、ご苦労さま!」なんて、そんな感じのコメントが並んでるわ。私がこれで何を言いたいのかわかるでしょ……

SEOmozのブログ(やその他のSEO関連のブログ)を読んでいて、Diggにアカウントを持っている人ならわかると思うんだけど、私たちみたいなSEO屋なんて、Diggユーザーとしては本当にごくごくちっぽけな少数派なのよね。Diggの一般的なユーザーは、ジェーン・コープランドが誰なのか、SEOmozって何なのかなんて知りもしないわ。それを、こんなふうに「よくやったぞ、ジェーン!」とか「SEOmoz読者、いいぞ!」なんて書いてあっても、私たちが誰なのか何も知らなかったり、SEOって何なのかほとんどわかっていなかったりする大多数のDiggユーザーにとっては、意味不明なだけなの。

ちょっと前に、ジェーンが偽のグーグル「ワンボックス検索」の結果をネタにした記事を書いて、それをDiggに投稿したんだけど、それに対して下のようなコメントが付いたの(みんなも覚えていると思うけれど、この投稿はDiggのトップページに登場したのよね)。

SEOmozコメント

私たちを「moz'ers」と呼んでいるところを見ると、上の方のコメントは明らかに、SEOmozをよく知っている人が残したものね。それに対するレスはDiggの平均的な読者が書いたもので、上のコメントの意味がわからなくて戸惑ってるでしょ。

他にも同じような状況を見たことがあるわ。

SEOに標準規格は必要?――米国で起きている論争からわかること

これを投稿した人は、タイトルにまず「SEOmoz」と入れていて、説明には「ランド・フィッシュキン」まで入れている。95%のDiggユーザーはランドが誰なのか知らないし、知りたいとも思わないはずよ(ごめんね、ランド)。

私の記事でも同じようなことがあったわ。

SES London珍道中

Diggユーザーは、私が誰かなんて知らないし、気にしてもいないわ。みんな、Sphinnとは違うのよ。Diggは、カテゴリもユーザー層もすごく幅広いの。Sphinnの大規模版ぐらいに考えて、何百万人というユーザーが「mozzer」って何のことか知っていると思ったら大間違い。だから、こんな投稿、あんまり意味ないのよ。

※Web担編注 「Sphinn」は、検索マーケティングに特化したソーシャルニュースサイト。
検索スパムを笑いの種にできるのはSEOmozだけ

ちょっと読みづらいかもしれないけど、PubConでSEOmozが開いた「人狼/スパムを探せ」パーティーについて私が書いた記事を、誰かが投稿したのね。私たちSEO業界の人間以外に、いったい誰がこんなのニュースになるネタだと思う? これは、Diggに投稿して宣伝しようとするのにふさわしい記事じゃないわ。

SEO関連の記事や話は、絶対Diggのトップページに載らないって言ってるんじゃないのよ。実際、載った記事もあるしね。でも、コミュニティ全体から見たその記事の価値を考えなくちゃ。自分の業界以外でも多くの人たちが読んでおもしろいと思うような一般的な記事なら、Diggに投稿してみるといい。でも、そうでなければ、Sphinn(またはSEO/SEM関連の記事でない場合は、自分の業界に特化したフォーラムやソーシャルメディアサイト)に投稿は限定すべきね。

◇◇◇

Web 2.0 Awardsの投稿コメントに話を戻しましょう。この賞そのものは大したものよ。それは、あなたも知ってるし、私も知ってる。そしてこの記事を読んでる人の多くが知ってる。でも、平均的なDiggユーザーがこの投稿をクリックしてコメントを読んでも、いったい何がわかるっていうのかしら?

クリックした平均的Diggユーザーが目にするのは、サイトの制作者とSEOmozを称賛し、これがいかにすばらしい「リンクベイト」になるかを話している内輪うけの世界だけ。読者の皆さんならたいていは、SEOに対するあまり好意的でない評判はよく知ってるでしょ。特にDiggではね。SEOとかSEMが中心の話題や、露骨にマーケティングを目的としてるような記事はスパムと見なされて、あっという間にマイナス評価されちゃうのよね。

この投稿についたコメントはすべて、お互い知り合いの人たちが書いていて、Web 2.0 Awardsのすばらしい「リンクベイト」効果(確かにスパムっぽくて響きのよくない言葉だわ。リンクベイトが必ずしもスパムとは限らないことを知っててもね)を誉めちぎっているように見える。さて、そこでDiggユーザーはどう思うかしら? 賭けてもいいけど、きっと「これはスパムだ」と言って、「マイナス評価する」のボタンを押すはずだわ。そして他の投稿を見にいくでしょうね。「マイナス評価する」のボタンを押されると、その記事がトップページに載る可能性が小さくなるだけじゃなく、その記事を投稿した人にとっても、スパム的なコンテンツに関わったと見なされてよくないの。投稿者は成功率と評判が傷つけられて、アル中とヤク中の泥沼に追い込まれることになる(まぁ、そんなことはないだろうけど、でもよくないことに変わりはない)。

実際問題として、Diggは非常に大規模なソーシャルニュースサイトだから、あなたが誰なのか、あるいは、あなたのサイトがどんなサイトなのかを知っている人なんてごくわずかな割合でしかないわ(もちろん、そうね、あなたが有名人だとか、すごく有名なサイトを運営しているとかであれば、例外だけど)。とにかく、DiggはSphinnとは違うの。だから、ダニー・サリバン氏が企画している次のSMXカンファレンスの話なんかを投稿して、それがSphinnと同じように、たちまちトップページを飾るなんて期待できないのよ。

◇◇◇

ひょっとしたらいつか、Web 2.0 Awardsに関する投稿がトップページに載るようなこともあるかもしれないわね(現時点ではその可能性はかなり低そうだけど)。だけど、いずれにしろ、今回の投稿とそれに対するコメントは、「ソーシャルメディアでは自分のオーディエンスをよく見極めておけ」っていう良い例だと思うわ。

あなたのオーディエンスはジェーンじゃない。ランドでもないし私でもない。それからSEOmozのメンバーでもない。Diggユーザーがあなたのオーディエンスなんだから、あなたはDiggユーザーの好きなもの、好きじゃないもの、どんなユーモアのセンスを持っていて、どんなポップカルチャーについて語れば受け入れてもらえるか、どんな業界がお気に入りなのか、などを把握していなければならないのよ。これがソーシャルメディアマーケティングを行うときに気をつけなきゃいけないところね。

どういうユーザー層がそのサイトを頻繁に利用しているかによって、その人たちにアピールできるように、自分の投稿も口調も、何から何まで変えなくちゃいけないの。この点について、最初に目を通すべきリソースとして最適なのは、クリス・ウィンフィールド氏がSearch Engine Landに書いた、ソーシャルニュースサイトにおけるコメントの書き方に関する記事ね。もし、ソーシャルニュースサイトにもっと参加して、自分のプロフィールの露出を増やしたいと思っているのなら、これは間違いなく一読の価値があるわ。

私のこの記事は、ジェーンやランドに対する不平じゃないことだけは断っておきたい。彼らは2人とも、Web 2.0 Awardsですばらしい仕事をしたもの。それから、Diggにコメントを書いてくれたSEO業界の人やマーケターに対する個人攻撃でもないわ。みんな厚意はよくわかっているし、私たちを盛り立ててくれようとしたのよね。でも、ソーシャルメディアマーケティングを行うときには、どうすればスパムだと思われずにさまざまなサイトを適切に利用できるかを知るために、多少なりと調査をするのは避けて通れないわ。

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