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[特集]ウェブ電話のすべて――ネットマーケティング最前線
“よし、買おう”への最後のひと押し!
SEO/SEM/LPOでは勝負がつかない! ネット営業の最終兵器「ウェブ電話」を活用しよう
ウェブ電話の内線番号を活用して、ウェブサイトで行うビジネスを最大限効率化するためのキーワードが「アクセス解析」だ。
アクセス解析の最前線で活躍するコンサルタントの前野有美氏に、ウェブ電話について聞いた。
ウェブ電話から得た情報をビジネスに活かす
ウェブ電話の特長の1つとして、問い合わせページごとに別々の内線番号を設定できる点がある。この機能により、ECサイトなどで、かかってきた電話が商品の情報を詳細に紹介するページからなのか、それともトップページからなのかを電話番号により識別でき、電話を受けるオペレーターは、通話を始める前から利用者の問い合わせ内容をある程度まで予測することが可能となる。
また、リアルタイムな活用だけでなく、通話履歴から、問い合わせ件数を商品やサービス毎に管理することが可能となるため、マーケティングデータとしてもかなり便利に使えるのではないだろうか。
ウェブでのアクセス解析と併せて使用することにより、サイト内でのユーザー行動の詳細な把握に加え、これまではトラッキングが難しかった電話による問い合わせを詳細に把握できるようになる。また、ウェブを起点とした問い合わせに限らず、雑誌や新聞など他媒体からの電話による問い合わせについても統合的に管理・分析することが可能だ。
そこで本節では、アクセス解析やウェブコンサルティング、自社開発のウェブマーケティングツール「Visionalist」で知られる、株式会社デジタルフォレストのコンサルタント、前野有美氏に、現代におけるアクセス解析の重要性や、ウェブ電話のログデータの活用法について伺った。
アクセス解析とは何なのか、それを行うことにどんなメリットがあるのか。まずは、アクセス解析の基本を、前野氏への質問を通じてまとめよう。
そもそも、アクセスログとは何ですか?
利用者がウェブサイトを訪れると、訪問したサイトにはその利用者の足跡になるデータが残ります。これを一般にアクセスログと呼んでいます。そのしくみは次のとおりです。
- リンクや検索エンジンなどから、指定したサイトにアクセスする
- アクセスを受けたウェブサーバは、指定されたページ(トップページやECサイトなら商品紹介のページなど)のデータを利用者に送り出す
- 上の1と同時に、アクセス日時や利用者のIPアドレス(パソコンの住所にあたるもの)などが、ウェブサーバにあるアクセスログのファイルに記録される
アクセスログにもとづいた分析から、何がわかるのでしょうか?
私がアクセス解析を始めたのは2001年頃ですが、当時は今ほどアクセス解析の重要性が問われていなくて、使われていたソフトも、ウェブサイトへのアクセスやページビューがわかるくらいでした。もちろん当時は、アクセスの概要がわかりやすく可視化できるだけでも、十分に画期的ではありました。
その後2003年、当社の解析ツール「Visionalist」がリリース。このツールでは、訪問者の行動履歴がより明確にわかるようになりました。たとえば、訪問者がどこからアクセスしてきたのか(広告を経由したのか、検索エンジンから来たのか)、コンバージョン(商品やサービスの利用・購入)までのウェブサイト内での経路はどうなっているのか、ウェブサイトから離脱しやすいポイントはどこか、何度目のアクセスでコンバージョンにいたったのか……あらゆる動きが把握できます。また、特定の日にアクセスをしてコンバージョンした利用者をグルーピングして、次回リピートしたときの動きなども探れます。
詳細なアクセスログを残して分析することで、運営者は、ウェブサイトの良い点や悪い点、なぜ離脱したのかといったことについて、改善や検証のベースとなる仮説が立てられるようになります。つまり、アクセスログの記録は、
- ウェブサイトへのアクセス動向や各ページの人気の実態
- ウェブサイトの品質を高めるための改善のきっかけ
といった情報を与えてくれるのです。アクセス解析とは、情報をこのように活かすために、アクセスログのデータをもとに、サイトについての分析を行うことを指します。ここ数年で、日本でもこれを重視する企業は増えています。
企業の担当者が「ウェブサイトへのアクセスが少ない」など何らかの問題意識を抱えていたとしても、それが明確に数値化できない限り、解決への仮説が多くなりすぎて混乱を招いてしまいがちです。状況把握がきちんとできていないと、たとえばの話、上司にうまく伝えることもできません。
ところがここで専用のツールを使いアクセス解析を行うことで、サイトへの流入経路や商品の人気などがわかり、問題をハッキリとさせ、ウェブサイトの改善につなげることができます。これがアクセス解析の醍醐味です。
こんな例もあります。B to Bで商品を販売しているあるウェブサイトの話ですが、アクセスログを調べてみると、法人だけではなくかなりの数の個人がアクセスしていることがわかりました。そして、個人ユーザーには「商品ページは閲覧しているが、その後、商品は買わずに離脱している」という傾向があると判明しました。ウェブサイトを精査して原因を探ってみると、法人向けの営業を主体としていたため、商品の購入フォームもいかにも「企業向け」なので、個人の訪問者が「売ってもらえない」と判断して去っているのではないか……このような仮説が立てられました。こういった分析の結果、この企業は、法人向けと個人向けの2種類の商品ページを用意するなどの対処を行い、新たな顧客の獲得に成功しています。このように、ウェブサイトの行動履歴の分析からボトルネックが解消できるのです。
ほかにも、たとえばニュースなどのメディアサイトなら、どの時間帯にどんな属性からのアクセスが多いかを分析することで、効果的な時間帯に記事をアップロードでき、さらなるアクセスが見込めます。個人のアクセスがお昼過ぎに増えるとしたら、それは家事がひと段落した主婦層かもしれないとの仮説が立てられるので、主婦向けの記事をお昼過ぎにアップロードしてみてアクセスが増えるかどうかを確かめる……というように、仮説と検証を繰り返すのです。
アクセスの実態把握やマーケティングに役立つアクセス解析ですが、具体的にはどのようなサイトで使われているのでしょうか。ECサイトで使われることが多い印象を受けますが?
確かにウェブサイトからの売り上げを目標とするECサイトでは、アクセス解析が重要な要素を占めます。主に次のような手法で分析を行います。
- 流入分析
訪問者はどこからアクセスしてきたのか、広告からかそれとも検索エンジンを使った自然検索か、また、どんな検索キーワードなのか。新規顧客獲得キャンペーンの広告戦略などに役立つ
- カート分析・行動予測
人気商品や一緒に買われる商品を調べることで、仕入れの調整や予測に役立てる。訪問者がどのページで離脱したか、カートを捨てたのかを把握することで、ウェブサイトの弱点や改善点が浮き彫りになる。コンバージョン率の向上にも役立つ
- リピート化分析
顧客データとひもづけて、訪問経験のあるユーザーが再びアクセスしてきたときにどのような動きをするかなどを分析。顧客の一定の行動から、どのようなメールを送れば再びサイトを訪問しやすいかなど、リピート化のヒントを探る
ECサイトがとくに熱心なのは、流入分析とカート分析です。流入だけ見るのではなく「どの流入元(進入理由とも言います)がコンバージョンに最も貢献したか」の勝ちパターンを見ます。また、どこからお客が入ってきて、どこでお客を逃がしているのかといった「ファネル分析」も需要が高く、浮動層の動向は、ECサイトにとってはのどから手が出るほど欲しい情報です。こういった分析をもとに、買い物をしやすくするためのユーザビリティ向上に取り組むなど、ウェブサイトの改善を進めることができます。
一方、訪問者に問い合わせしてもらうことをコンバージョンとする業種でも、アクセス解析はさかんです。たとえば不動産の売買・紹介サイトは、アクセス解析に積極的です。地域ごとにサイトをカスタマイズするなど、それぞれの場所ごとのユーザーニーズや費用対効果を研究しています。
不動産サイトはECサイトと異なり、ウェブサイトでは販売プロセスが完結しません。訪問者は企業に問い合わせて初めて営業マンとつながり、その後の商談に進みます。よって、いかに問い合わせをしてもらうか、訪問者が問い合わせまでの流れのどの時点でウェブサイトから離脱しているのか、離脱している訪問者をどうすれば問い合わせまで結びつけられるか……アクセス解析を通じたサイト改善が可能です。とくに当社の「EFO(Entry Form Optimization)」では、問い合わせフォームのどの時点まで入力してどの時点で離脱したのかまでわかるので、そういった情報からフォームをもっと使いやすく変更するなど、さまざまな対策を講じることが可能になります。
アクセス解析とウェブ電話
それではここからは、ウェブ電話から得られるデータをアクセス解析に活用するためのヒントを聞いてみよう。
アクセス解析の重要性や活用例についてはだいぶわかってきました。集客はもちろん売り上げや問い合わせなど、ウェブサイト本来の目的を達成するのにアクセス解析は不可欠だということですね。ウェブ電話でも、ダイレクト通話やコールバック予約が使われると、どのサイトのどのページから電話をかけてきたかがわかります。このようなログデータを活かす方法はありますか?
これまで多くのウェブサイトでは、経費削減などの目的で、すべての流れをサイト内部で完結させようという流れがありました。「よくある質問」などのQ&Aを積極的に公開するのも、顧客からの問い合わせを減らすためです。
ところが最近は、企業の姿勢に変化があらわれています。ウェブサイトですべてを完結させようとしたときに「こぼれてしまう」ような客層をしっかりつかむことも大事だろう、というムードが高まっているのです。電話による問い合わせ窓口やコールセンターの設置も増えているようです。ネット人口の拡大もあり、これまでの「ウェブ完結」の仕様では、パソコンの扱いに不慣れな高齢者などの離脱を防ぐのは難しいでしょう。そういった観点からは、ウェブサイトから簡単に電話ができるしくみは、広く受け入れられる可能性が高いと思います。
また、コールバック機能は利便性の高いサービスだという印象を受けます。旅行サイトなどは電話をかけたときにつながらないことも多いので、コールバック予約をして自分が希望する時間に相手から電話がかかってくるというのは、とても便利なのではないでしょうか。
ウェブ電話のログデータですが、これは、既存のアクセス解析ツールやデータマイニング(販売データや通話履歴など企業に蓄積されたデータから、データ間にある相関関係や特定のパターンなど、有効な知識や情報を探し出す技術)、テキストマイニング(大量のテキストデータから、特定の単語の出現頻度やデータ間の共通性や相関関係など、有効な知識や情報を探し出す技術)と組み合わせて使えるとおもしろいと思います。
たとえばあらかじめ「Aというページから問い合わせをしてくる顧客グループにはこれこれの傾向がある」という考察を過去のデータからマイニングしておけば、実際に問い合わせがあったときの対応の精度が向上します。あるページからの問い合わせが、商品についてのものと支払い方法についてのものとどちらが多いのかがわかっているだけでも、電話での応答はずいぶん楽になるのではないでしょうか。
また「このページで紹介している商品Aを買ったお客さまは同時に商品Bを買う確率が高い」とわかっていれば、問い合わせの電話をクロスセル(ある商品の購入者に対して関連性の高い商品も同時に勧めること。顧客単価を上げる販売手法)につなげることも考えられます。
デジタルフォレストでは「Visionalist」と顧客が持つCRMのデータを統合して見られるサービス「Visionalist Web Service」も提供しています。アクセス解析とデータマイニングの相乗効果を狙ったウェブマーケティングは、米国でも盛り上がり始めている、まさに最先端のテーマです。
また、問い合わせフォームに来てからの離脱が多いとアクセス解析でわかったら、そのページにウェブ電話のバナーを貼って離脱を防止するなど、問題解消のために使うのも一案です。
ウェブ電話を利用した顧客がその後、どんな行動をしたかを分析するのも有効かもしれません。ウェブ電話で問題を解決した顧客が、次回は自己解決するのか、それともウェブ電話のリピーターになるのかといったことから、ウェブ電話をより効果的に配置するための方策がわかるかもしれません。このサービスがサイトにどのような影響を及ぼしているかも見えてくるのではないでしょうか。
大切なのは、より申し込みがしやすいスムーズな導線を築くため、ユーザビリティの高いサイトにするためにウェブ電話を活用するということです。
取材協力
前野 有美(まえの ゆみ)
株式会社デジタルフォレスト プロフェッショナルサービスグループ コンサルティング部 部長。
さまざまなお客さまにコンサルティングサービスを提供している。定性評価・定量評価をバランスよく取り入れたハイブリッドエバリュエーションで「WebマーケティングROI」を向上へと導く。
顧客の足跡や潜在的なニーズをあぶりだそう
アクセスログとはつまり、訪問者の足跡にほかならない。そこからは、ウェブサイトの使いやすさや不満、商品やサービスに対する評価が浮き彫りになってくる。ウェブ電話に関連するデータも同じだ。そこからは、電話というツールを使ってくる顧客のニーズや、抱える問題点を探り出すことができる。そうやって蓄えたアイデアを活かして、より利便性の高い、効率のよいウェブサイトを作り上げよう。そうすれば、企業と訪問者の両者にとって有益なコミュニケーションが実現するはずだ。
この記事は、書籍『ウェブ電話のすべて ~ネットマーケティング最前線』の内容をWeb担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
ウェブ電話のすべて ~ネットマーケティング最前線
ウェブサイトからボタンをクリックするだけで電話がつながる
ネット営業の最終兵器を活用しよう
ウェブ電話は、企業や店舗とサイト閲覧者をダイレクトにつなぐ「ネット営業の最終兵器」となり得る技術として関心が高まりつつある新しいコミュニケーションツールだ。ウェブ電話のサービスを使えば、お客様はウェブサイトに設置したボタンをクリックするだけであなたの会社に電話をかけられる。ユーザ側には通話料がかからない無料ダイヤルなので、サイト運営者側には、お客様からの問い合わせが増える、直接話せることにより成約率がアップするなどのメリットがある。
本書は、すぐにでも応用できる導入事例を満載しつつ、ウェブコミュニケーションの仕上げとなるであろう最新ツールとその利用の実際を解説する。ネットでより多くの顧客を獲得したいすべての人たちにとって、ネット戦国時代を生き抜くための具体的な指南書となるだろう。
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