なるほど!アクセス解析ケーススタディ

現場担当者が使いやすくサポート体制も充実/イマージュ・ネット+Visionalist

IMAGEnet(株式会社イマージュ・ネット)
Powered by Visionalist(株式会社デジタルフォレスト)

イマージュ・ネットは、衣料品・雑貨・化粧品などの通販カタログ「IMAGE」を発行するイマージュや、化粧品・医薬部外品「ライスフォース」を扱うアイムなどの関連会社を持つイマージュホールディングスのEC事業を行っている会社だ。ECサイト「IMAGEnet」をはじめとするこれらのグループ会社のサイト運営を行っているイマージュ・ネットのアクセス解析に対する考え方を、マーケティンググループ・ディレクターの山本夏樹氏に伺った。

IMAGEnetのサイト概要や今回導入したアクセス解析ツールの概要は記事末尾を参照

取材・文:野本 幹彦(フリーライター)

わかりやすいインターフェイスで必要な情報を分析
現場担当者が使いやすくサポート体制も充実

分析の充実を図るためツールの乗り換えを検討

株式会社イマージュ・ネット
マーケティンググループ
ディレクター
山本 夏樹氏

イマージュ・ネットは2004年12月に設立された会社で、グループ会社のECサイトを運営するほか、システムの受託開発、広告ビジネスなどの媒体業務も行っている。「将来的には、物流も含めたECソリューションをパッケージ化して、外部の会社に提供していくことも計画しています」と話す山本氏。伺ったところ、イマージュのECサイトを運営するようになったのは、設立から半年以上経った後だそうだ。

「イマージュ自体は2001年くらいからオンラインショップを始めています。イマージュのWeb事業部が運営していたのですが、2005年夏頃からイマージュ・ネットが運営を引き継ぐ形となっています」

ECサイトにとって、アクセス解析を行うことは今や常識と言っても過言ではない。イマージュ・ネットが設立された2004年後半は、アクセス解析の重要性が浸透し始めた頃だが、同社ではどのように考えていたのだろうか。

「イマージュ・ネットは、2004年に立ち上げた当初からアクセス解析ツールを利用しており、当時はパケットキャプチャ型のツールを使っていました。“IMAGE”を引き継いだのは2005年夏頃なんですが、それまではページビューとユニークユーザー数を確認する程度しかアクセス解析を行っていませんでした。そのため、イマージュ・ネットでは新たにマーケティング部門を設けて導線分析などを含めたアクセス解析を行う体制を整え、私も分析チームの一員として試行錯誤しながら分析をしていました。しかし、当時使っていたツールでは取りたいデータを取れないという問題があり、取れている数値についても疑問や不安がありましたね」

イマージュ・ネットが導入したツールは、非常に高機能で高価なものだ。このようなツールが基本的な数値をキチンと取れないというのは考えにくいが、そこにはイマージュ・ネットの特殊な事情があったようだ。

「ページビューやユニークユーザー数の数値を見ても、現場の感覚としてそんなに少ないのかという疑問があったのですが、ウェブ広告のクリック数もツールの数値と実際の数値に違いがありました。数値にかなりのブレもあるので、ウェブビーコンの代わりとして小さな画像をページに埋め込んで簡易的に計測してみると、ツールと大きな違いが出てきたのです。

よく調べると、そのツール自体が信用できないというものではなく、われわれのサイトがかなり特殊な作りこみを行っていることが原因だとわかりました。そのための設定がきちんと行われていないということが問題の一因だったわけですね。しかし、インターフェイスがわかりづらくて使い難いということ、導線分析をする際にあらかじめ測定対象ルートを1つひとつ設定しておかなくてはならないなど、運用上の不満点が多かった為、設定を見直して使い続けるよりは違うツールを探そうということになりました」

図1 イマージュは、「IMAGE」や「IMAGE ROUGE」などのカタログ通信販売事業を中心に行うイマージュホールディングスのグループ会社。ECサイトのIMAGEnetを利用すれば、同カタログブランド商品をオンラインでも購入できる。
http://www.i-image.jp/

高機能なツールであっても、設定方法がわかりづらくて使いこなせないのでは意味がない。山本氏によれば、以前使っていたツールは機能よりもその使い勝手に大きな問題があったようだ。

「以前使っていたパケットキャプチャ型のツールを最初に見た印象は“一目見ただけではわからない”というものでした。海外版のツールで、画面上の日本語も無理やり訳しているという印象も受けました。基本的な数値に疑いがあり、どうやって分析するのかがわかりづらいのでは、ツールを利用する価値がありません。本当は高機能なツールで、数値を取得する際にさまざまな条件を指定すれば、しっかりと分析できるようなのですが、現場の人間が触れることも考えると、われわれが今後使っていくツールではないなと判断したのです」


選択の一番の理由はサポートが充実していること

イマージュ・ネットでは、ECサイトをイマージュから引き継いだ2005年夏には新たなツールの導入を検討し始め、2006年5月にはデジタルフォレストの「Visionalist(ビジョナリスト)」を導入している。使い始めて1年も経たずに高価なツールに乗り換えるのに経営層からの反対は生まれなかったのだろうか。しかも、パケットキャプチャ型のツールは高価であり、初期投資にそれなりのコストがかかっているはずである。

「厳密に言えば、まだそのツールは設置されたままにしていますが、新たなツールを導入するためにはそれなりの理由が必要でした。見直しを検討し始めた時点では、以前のツールにかかった費用が償却されていない状態でしたから。

そこで、上司には現在取れる数値などを見せ、しっかりとしたデータが取りにくいことを理解してもらい、自分に有能なエンジニアを1人付けてもらわないと、マーケティングに必要な数値を取ることができないと説得しました。ECサイトを運営するには、アクセス解析をしっかりと行ってさまざまな角度からの検証が必要です。分析チームの人間だけでなく、サイトに関わる人がある程度簡単に解析結果を見られるようなツールにするべきだということも訴えました」

では、最終的にVisionalistに決めた理由はどこにあったのだろうか。

「当時はマイクロソフトの.NETフレームワークで構築されたECサイトは他にはあまりなかったので、サポートがしっかりしていて相談などにも乗っていただける体制が取られているサービスを選びたいと考えていました。

“ライスフォース”のサイトでは、2005年夏に以前“IMAGE”で利用していたパケットキャプチャ型とは別に、ASPのツールを選択していて、そのツールを“IMAGE”でも利用するという選択肢もありました。しかし、そのツールよりもVisionalistのほうが若干安かったこと、営業担当者の方が.NETで構築されたという特殊な環境に理解を示して相談に乗ってくれたこと、十分なサポート体制が取られていることがポイントとしてありました。さらにデモを見たときに使いやすそうだと感じたこと、国産のツールであることなどが、最終的にVisionalistを採用した理由になります。“ライスフォース”のサイトも近いうちにVisionalistに乗り換える予定にしています」

最も重要視したのは“サポート”であると山本氏は言う。販売体制から営業担当者の対応などを見てサポートの良さを判断し、導入後もサポート力を実感していると山本氏は説明してくれた。

「ライスフォースで利用しているASPのツールは、販売元と営業代理店が分かれている体制なので、直接窓口に立つ人がメンテナンスや開発を行っている人ではないというのが気になりました。技術的な質問をしても答えられなかったり、回答が遅れたりすることもありました。その点、デジタルフォレストは、技術者の方と直接話ができて、その場で答えられない質問でも持ち帰ってすぐに返事をくれるので安心です。導入準備期間と導入直後には3名の技術担当が頻繁に来てくれて、操作方法などを教えてくれたのも助かりました」

単にツールの機能だけで比較するのではなく、コミュニケーションも大きな要素となっているようだ。

「インターネットが一般的になってまだ10年しか経っていないのに、この10年でさまざまな状況が変化し続けています。これから先も、どのような技術改革や製品が生まれてくるかは予測が付きません。極端な例を挙げれば、現在サイトにアクセスしてくるツールはPCか携帯電話となっていますが、第3のツールが生まれて爆発的に普及することだってあり得るわけです。きちんとコミュニケーションを取れる会社とお付き合いしていなければ、そのような変化が生まれたときに対応することはできません。やはり、営業担当者や技術者とコミュニケーションが取れ、サポート体制がしっかりしている会社でないと安心できませんよね」

要望した機能がバージョンアップによって実現される

実際にVisionalistを使い始めて1年以上が経つが、同社では製品の使いやすさやサポートに満足しているようだ。

「使いやすさについては、導線分析も直感的に行え、まさに期待どおりの導入効果が得られたと思っています。コンテンツを制作するチームが解析結果をすぐに閲覧できるので、制作効率も大きくアップしたと思います。自分が作った結果がすぐに実感できることも、大きな効果ですね。メールマガジンの反応なども担当者がすぐに確認できますし。ツールの基本的な使い方さえ教えれば、各担当者が見たいデータをすぐに取り出せるし、画面もわかりやすいので助かっています。

意外だったのはバージョンアップの早さですね。こんな機能がほしいといった要求を出し、それが簡単に実装できるものであれば、2か月程度でツールに反映されているのには驚きました」

図2 Visionalistが有する行動分析機能の1つ「ページ遷移割合表示」機能を使えば、訪問者がウェブサイトでどのような行動しているか、起点となるページや誘導したいページまでの導線をビジュアル化して簡単に把握することが可能だ。

また、導入にあたって、個別な対応を受けることもできたと山本氏は語る。

「実は、Visionalistを導入する際にワガママを言ってカスタマイズしてもらった部分があります。Visionalistの画面には、数値を調べる期間や比較する期間を選択するカレンダーが表示されているのですが、デフォルトで日曜始まりだったものを月曜始まりにしてもらったのです。われわれの週次の締めが日曜なので、週単位のデータを見るときに月曜始まりのほうが選択しやすいというのが理由です」

では、使いやすいツールを手に入れたイマージュ・ネットでは、どのような数値に着目して分析を行っているのだろうか。

「やはり、次ページへの遷移率は非常に重要だと感じていますね。われわれが運営しているのはECサイトですので、コンバージョン率なども見て、受注に達したユーザーの遷移を逆引きした分析なども行っています。われわれのサイトではさまざまな切り口で特集を行っていますが、各特集からの遷移率やコンバージョン率を分析し、同様な特集を行う際のプロモーションの参考にしています。また、純広告よりもアフィリエイトやリスティング広告に力を入れているので、これらに関する数値にも注目していますね」

携帯版のVisionalistを導入してさらなる売り上げアップを期待

同社では、携帯版の「Visionalistモバイル解析」を導入済みで、現在はカタログ通販ならではの悩みを解決するための改善策を模索しているという。

「2007年の夏から携帯対応のVisionalistを導入しました。われわれのサイトの半分近くはモバイルのお客様なのですが、実はその多くがカタログを見て携帯から申し込み番号を入力されるお客様となっています。年に4回、季節ごとに出るカタログによってECサイトの売上も大きく左右されるという状態を何とかしたいと考え、新たな売り場作りや販促手法を模索しています。そのためには、携帯ユーザーの動向や遷移を把握しなければならないので、Visionalistモバイル解析を導入しました」

携帯版も導入したほか、ライスフォースなどの他のサイトや社外のサイトでもVisionalistの導入を考えているようだが、Visionalistに対して何か要望はないのだろうか。「われわれが重要視しているのはお客様の遷移なのですが、たとえば“特集ページ”→“商品ページ”→“コンバージョン”の3つのページを最短経路で通ったお客様だけを見たくても、これらの3つのページを通ったすべてのお客様が抽出されるのを改善してほしいですね。特定の経路だけを抽出できたり、あるページからあるページに移るまでに通ったページ数を指定できたりするような抽出方法があれば、われわれの手間も省けて非常に便利になると思います。これに関してはすでにデジタルフォレストに要望を出しているので、早く実現するのを楽しみにしています」

全体を把握した分析がWeb担当者の仕事

山本氏は、インターネットの黎明期から当時いた会社のサイト構築に興味をもって取り組み、その後はウェブ制作やマーケティングの世界で仕事をこなしてきた経歴をもっている。そんな山本氏に新たにWeb担当者となる人へのメッセージをお願いした。

「どのような事業をやっていて、何の目的でサイトを開いているのかをしっかりと見極めなければウェブマーケティングはできないと思います。お金をかけて高いツールを用意するのがよいのではなく、サイトの目的のために何が知りたくてツールを使うのかといった全体を把握しなければWeb担当者は務まらないですよね。

また、会社の中でウェブサイトに関するさまざまな数値を見ることができるのはWeb担当者だけだと思うので、そこから何を発信できるかということが重要です。他の部署や上司から頼まれてレポートを出すことも必要な仕事ですが、それだけではまだ半分の仕事しかしていないのではないでしょうか。その数値が出た後に、どういったアクションを提案できるのかということも重要な仕事だと私は考えています」

山本氏は、今後もVisionalistを使い続けることによって、新たな事業展開も考えているようだ。

「われわれはグループ会社以外のサイトも手がけているのですが、これらのサイトにも順次Visionalistを導入する予定にしています。同じツールで複数のサイトを運営することによって使い方のノウハウも蓄積され、分析の精度を上げ、手間やコストを下げることができると考えています。システムを構築するだけでなく、付加価値としてECサイトの分析力の高いサービスをグループ会社だけでなく、社外のお客様にも提供していきたいですね」

IMAGEnet サイト概要

http://www.st-image.com/

カタログ通販の「IMAGE」や「IMAGE ROUGE」をベースにした通販サイト。20代~30代の女性をターゲットに衣料やファッショングッズを取り扱っており、季節ごとの商品入れ替えや特集などに力を入れている。イマージュ・ネットでは、通販化粧品の「ライスフォース」のサイトも運営している。


▲ページ先頭に戻る


株式会社イマージュ・ネットの選んだアクセス解析

Webマーケティングツールとしての
わかりやすいインターフェイスが特徴

Visionalist(株式会社デジタルフォレスト)
http://www.visionalist.com/

Visionalistは、キャッチコピーとして「ROI向上のためのWeb解析ツール」という言葉が使われているように、アクセスを解析するだけでなく、分析やマーケティング戦略立案を支援する機能が提供されているツールだ。サイトの規模や目的に合わせた多くの製品ラインナップをもっていることも特徴の1つとして挙げられる。ユーザーの経路分析、広告分析、検索ワード分析などの柔軟かつ詳細なドリルダウン分析が可能なASPサービスである標準的な「Visionalist」をはじめ、大規模サイト向けの「Visionalistエンタープライズ」、メール配信システムやCMS/CRMの解析が行える「Visionalist Web Service」、携帯電話のアクセスを解析する「Visionalistモバイル解析」、リスティング広告のROI(費用対効果)を分析/改善する「Visionalist Listing Manager」、セールスフォース・ドットコムの見込み客情報にウェブ行動分析機能を付加するアドオンサービス「Visionalist for Salesforce」などが用意され、必要に応じて組み合わせることが可能だ。

シンプルで見やすいインターフェイスも大きな特徴となっており、クリック中心の操作でビジュアル化された“1ページ離脱率”や“ページ遷移パターン”を見ることが可能。随時実施される機能追加や機能拡張をすぐに利用でき、常に最新のツールと機能を利用できるのもASPサービスならではの利点だ。

▲ページ先頭に戻る

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材時点または記事初出時点のものです。

用語集
ASP / EC / Visionalist / アクセス解析 / アフィリエイト / カタログ通販 / コンバージョン / コンバージョン率 / ページビュー / ユニークユーザー / リスティング広告 / 導線分析 / 訪問者 / 通信販売
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

D2C
「D2C」(Direct to Consumer)は、商品販売のビジネスモデルの ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]