コンバージョン率改善に必要なこと――基本的な考えの重要性を知る
最近私は、SEOmozのキーワード広告キャンペーンを担当していて、プレミアム会員のコンバージョン率を上げるべく、ジェフと一緒にランディングページの改良に取り組んでいるの。
今回私は検索マーケティング関連のイベントであるPubConに出席し、何かヒントになることや、取り込める戦術がないかと思って、「コンバージョン率」「キーワード広告」「ランディングページ」などのセッションにできるだけ多く参加してきたわ。
私は、キーワード広告やコンバージョン率については基礎以上のことを知っているけれど、専門家と言える域には達していない(もしその域に達していたら、パネリストの一員に加わっているはずだし)。だから、私のように初歩的なことは必要ないけれど、自分たちの何が間違っていて、コンバージョン率を上げるにはどうすればいいかというヒントのようなものを探している人たちにとって、私が出席したセッションが何か役立てばいいなと思って、この記事を書くことにしたの。
前置きはこの辺にして、私が出席してきたセッションは4つ。いずれも、マーケティング担当者やウェブマスターのキーワード広告キャンペーンに役立つよう組まれたもの。
キーワード広告の基礎
これが、初心者向けのセッションだということはわかっていたけど、何かちょっとしたヒントでも見出せないかと思って、とにかく参加してみたの。
最初に演壇に立ったのは、私の友人で、キーレレバンスの社長を務める魅力的なクリスティーン・チャーチル(Christine Churchill)氏。
セッションはまず、効果的なキーワード広告を作成する15のヒントという話題から始まった。その中の1つで、とても印象的だったのは、「急がなければ」という気にさせる、というもの。たとえば、こんなフレーズ。
期間限定
残りわずか
本日限り
先着50名様まで
けれども、ふと疑問に思ったことがあるわ。それは、この種の広告だと、状況は刻一刻と変化するから、しょっちゅう差し替えたり、変更しなくちゃいけないのか、それとも広告を見る人は常に変わるはずだから、ずっと同じ広告を掲載していても、「残りわずか」が本当は「いつまででも提供できます――とにかく広告をクリックしてください」の意味だとはバレないのか、ということ。
2人目の講演者は、私の友人でページゼロメディアのモナ・エレセイリ(Mona Elesseily)氏。Yahoo! Search Marketing(オーバーチュア)に関する本を書いたステキな女性で、Googleのアドワーズ広告とYahoo!(オーバーチュア)のパナマの違いについて話してくれた。
今はまだGoogleでしかキャンペーンを実施していないけれど、キーワード広告の扱い方がわかって、今のキャンペーンで成功できそうな見通しがついたら、Yahoo!とMSNにもキャンペーンを拡大するつもり。
見出しの文字数がGoogleだと25文字までなのに、Yahoo! Search Marketingだとどうして40文字まで入れられるのか、という話が興味深かったわ。ただ、それでもわからないのが、ヘッダーの文字数が多いとそれだけクリック率の点で有利なのか、それとも、文字数の制限がかえってクリックへの最適化を担当者に強いて、文字数の多寡による違いはさほど大きくないのか、ということだ。私自身はと言えば、文字数が多ければそれだけ創造性も発揮できるんじゃないかと思う。私だって、どんなにコレだと思うヘッドラインを思いついたところで、結局「12 SEO Tools That Kick As」と尻切れトンボになってしまったことか。私たちのツールは半端じゃないのに(Kick Ass)これじゃあね。
最後に登場したのがサーチアドネットワークの社長、アンドリュー・ベックマン(Andrew Beckman)氏。
アンドリューの話は、綴り間違いの語句に対する入札、および綴り間違いの語句を含む広告作成のススメだった。これは、自分がその綴り間違いの語句に対し、唯一の入札者になる可能性が高いから有効なんだって。つまり、ユーザーが入力ミスをしたときに、自分の広告だけが表示されるということ。私は、この戦術がどの程度効果的なのか、彼に質問してみた。というのも、自分が検索語をタイプミスした際に検索エンジンが「もしかして***?」と表示し、「ああ、そうだったわ」と思ってすぐにその正しい検索語をクリックしたことがあるからよ。もう全然間をおかずにクリックしたから、間違った語句に連動した広告があったかどうかなんて、気付く暇すらなかったわ。ベックマン氏が言うには、同じことをする競合がいない場合にかぎり、このスペル間違いからクリックとコンバージョンを得られるという。そうね、私もそう思う。
品質スコア管理
次に出席したキーワード広告のセッションは、品質スコア管理のセッション。
最初の講演者はMSNのメアリー・バーク(Mary Berk)氏。一般的な品質スコア(QS)の話だったけど、その中で非常に興味深かったのは、MSNのQS算定方式について、どれくらいユーザーと情報を共有すべきか、彼女が会場の出席者からフィードバックを求めたことだったわ。MSNは現在、広告品質、数値化した総合品質、最低入札額などの情報を表示している。しかしメアリーによると、MSNは以下の情報を提供するもっと掘り下げたメニューのオプションを検討中だという。
- 広告テキスト
- ランディングページ
- 広告パフォーマンス
- 消費者の成約率
- キーワードの選択および入札
- アグリゲート情報
ただメアリーは、こうした情報の入手手段を用意することで、仕掛け屋とかスパム屋が悪用しかねないと語り、どの種類のQS測定基準を追加したり詳細にしたりすれば良いのか、意見を求めている。私個人としては、開示されるQSの測定基準が増えれば、マーケティング担当者にとっては本当に有益だと思う。だって、手探りでキャンペーンを行わずに済むし、キャンペーンをより適切に調整して、迅速により良い結果を得るのに役立つでしょ。
次はエフィシャントフロンティアのジェフ・プライス(Geoff Price)氏。プライス氏の話は、以下のようなQSに関する通説とその間違いについてだった。
- ×QSは1つしか存在しない
ジェフによると、QSの算定式は複数あって、以下の各項目の評価について1つずつ存在するという。- 検索における広告の表示場所
- 最低入札額
- コンテンツサイトにおける表示の適切性と表示場所
- その他の関連性要素
- ×QSは毎日更新されている
QSがどれくらいの頻度で更新されるか、私自身よく知らないのだけど、ジェフによると、アドワーズ広告のブログで、今後QSの更新は事前に通知しないとの記述が9月18日付けであったという。 - ×自分のQSは完全に掌握できる
この点については、会場にいた男性の1人がジェフの意見に異議を唱え、自分のQSは完全に思い通りになると主張した。けれど、私はジェフの意見に賛成ね。検索エンジンは、いつでもQS算定式を変更できるし、ユーザーは自分の測定基準を自ら制御することはできないので、自分ではまったく掌握できない要素が、算定式に組み込まれる可能性があるわ。 - ×アカウントを再構成するとQSの履歴が消える
これはまったく意味をなさない。アカウントを再構成したからといって、どうして検索エンジンがペナルティを課すのだろう? だれだって1回目の挑戦で大当たりできるわけないんだし、最初から完ぺきなアカウントにしておかなければ、痛い目に遭うなどと考えるのは馬鹿げている。 - ×QSは広告品質の向上だけに関係するもので、それ以外には関係ない
QSには明らかに、ランディングページ、キーワード、アカウントの構造など、さまざまな要素が関係している。またQSは、広告主にとって頼りになるだけでなく、消費者とGoogleにとっても有用なもの。
最後は、マーケットモーティブの創設者でCEOのマイケル・ステビンズ(Michael Stebbins)氏。
彼は、すべての広告に対して関連性をもった「関連性豊かなランディングページ」の作成を提案した。これは、検索クエリに合わせて、トップページを動的に変化させれば実現できる。PHPを使ったサーバー側の処理みたいな技術的な面は少しばかり私の能力の範囲を超えていたけれど、彼が言っていたことの要点はわかった(もしSEOmozでもこれを実行することになったら、CTOのジェフに助けてもらうわ)。
ランディングページ最適化
このセッションにも再びモナ・エレセイリ氏が登場。モナは、さまざまな購買者のニーズに合う広告のヒントをいくつか語ってくれた。
彼女はポイントとして、お試し価格、購買者を安心させる情報(たとえば「オフィシャルサイト」や「24時間365日電話サポート」みたいな)、そしてクリスティーン・チャーチル氏も推奨する時間的切迫感(「まもなく終了」のような)の3つを挙げた。モナはまた、自分のB2Bクライアントの事例として、「蓄熱式焼却炉は要りませんか?」より「蓄熱式焼却炉を購入しよう」のほうが、はるかに良い結果が出たと話す。これは非常に興味深い話ね。私はいくつかの広告で「_______は要りませんか?」と書いてきたけど、これからは「_______を購入しよう」と書いて、どれくらい効果があるか試してみたいと思う。
次はOffermaticaを手がけるオムニチュアのシニア・ストラテジスト、リリー・チウ(Lily Chiu)氏(Offermaticaは私たちもSEOmozのランディングページで使ってる)。彼女は、ランディングページを変更する際に、検索キーワードや地域などソースの分析をすることを推奨したわ。また、画面解像度や言語の設定なども十分考慮したほうがいいそうよ。
このセッションの最後を締めくくったのは、サーチモジョの社長兼CEO、ジャネット・ドリスコル・ミラー(Janet Driscoll Miller)氏。
ジャネットはランディングページのベストプラクティスをいくつか紹介してくれた。情報は画面の上半分に収まるようにし、可能な限りスクロールせずに済むよう心がけると良いんだそうよ。個人的には、もっと短く簡潔なランディングページのほうが好きなんだけど、SEOmozのランディングページコンテストで優勝したのは、25ページにも及ぶ長大なものだったの。だから明らかに、スクロールは一部の人の気を妙に引くものなんだわ。
ジャネットは、簡潔なランディングページのレイアウトについても語ってくれた。それは、ロゴと見出しがあって、その下の左側に「パッと目を引く」素材(グラフィックなど)と説明が続き、右側にコンテンツおよび/またはフォームを配置したものだということ。
多変量テストとコンバージョン率の改善
このセッションのトップバッターは、ビューマーク社長のグレン・オールサップ(Glenn Alsup)氏。
彼は、あるクライアントのエピソードについて語ってくれた。そのクライアントが、ランディングページの先頭に「適合するアクセサリが●●個あります」の1文を付け加えたときのこと。この「●●個」は、そのページに表示するアクセサリの点数を表す。実は、この1文が、アクセサリの広告の後を受けて引き継ぐ役割を果たしたということ。この1文を追加した結果、成約率が53%になり、クリック数が400%減ったという(つまりユーザーが、自分の欲しいものを、よりすばやく、より簡単に見つけていたことを意味する)。この戦術には、ジェフも私も大変な興味を覚えたわ。私たちもランディングページで「検索結果」の1文を試してみようと思う。
次はGoogleの製品マネージャ、トム・レオン(Tom Leung)氏。Google Website Optimizerに関する議論だった。
トムは、ビジターの半分以上が、ほんの数秒のうちに、訪問したページから去る可能性について述べ、ページを去らなかった人も、その大半はコンバージョンに至らないと語った。この事実を裏付けるグラフも紹介されたわ。そのグラフは、あるページを訪問したビジターの総数と、最終的にコンバージョンに至ったビジター数が示されていて、非常に興味深いものだった。トムによると、コンバージョン率の業界平均は約2〜3%程度なので、この数字を上回っていれば、かなり成功していると考えていいという。
トムは少数のバリエーションを用意して、1つの組み合わせにつき100件成約するまで待つというテスト方法を提案した。また、大幅な変更を施したバージョンについてもテストすることを強く勧めたわ。ある2つのバリエーションを比べて、8秒のうちに差異がわからなければ、ビジターが両者の違いに気付く可能性も低いそうよ。テストは約1か月続け、結論を急いではならない。じっくりとコンバージョン率の絶対的な差に注目すること。
テストで変化をもたせる3つの主な要素は以下のとおり。
- ヘッドライン
- 画像
- 行動喚起
レオン氏はまた、トラストシール(信用表示)の有無、推薦のメッセージの相互やりとり、強い願望に基づく姿勢と事実に基づく姿勢の対比、動画の実装、ナビゲーションバーの種類なども試すよう提言した。
そのあと登場したフィリップ・ラング(Philippe Lang)氏が話した内容は、基本的にライブパーソンの機能が主体だった。興味があれば、ライブパーソンのウェブサイトをチェックして、あれこれ試してみるといい。
そして最後に、私のボス、ランド・フィッシュキン(Rand Fishkin)がSEOmozのランディングページコンテストについて語り、セッションを締めくくった(彼が記事を書いて、それを私に教えてくれたら、彼のプレゼンにリンクを張ってあげる)。
結論
全体を通して見ると、大半はかなり初歩的な内容だったけど、私自身は各セッションから、いくつかすばらしいヒントが得られたと思う。ガリガリ亡者が集うコンバージョンの世界に足を踏み入れたばかりの私みたいな人や、自分の会社でコンバージョン博士とならざるを得なくなった人にとって、論理的なつながりがある相補的なセッションだった。明らかに、どのセッションのどの講演者も基本的な情報を強調する点は同じで、とにかくキーワード、テスト、ランディングページの重要性を強く訴えていた。それは言い換えると、これらの要素が学ぶべき最も重要なポイントで、最も注力しなければならない点ということだわね。でも、私が本当に興味があるのは、キーワードやテスト方法、ランディングページを改善するための具体的な手段やヒントなので、今後パネリストを務める人はそれを心に留めておいて、秘策を聴衆のみんなと共有してほしいわ。
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