まずはYahoo!とGoogleを押さえるべし
最新SEOのキーワードは“関連性”
ユーザーは検索エンジンからやって来る
ウェブサイトへの集客においてSEOが重要であるということは、多くのWeb担当者が認識していることだろう。しかし、どれくらい重要なのかを具体的なデータで知っているだろうか。本稿では、インターネットユーザーが情報を探す際の手段や検索エンジンの利用実態について、調査データと合わせてをその動向を示す。SEOの具体的な手法に入る前に、大前提と基本的な方針を理解しておこう。
TEXT:編集部
SEOの目的はビジネス成果の向上
「SEO」とは、「Search Engine Optimization」の略語であり、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれている。Web担当者としては「検索エンジン経由での見込客の誘導数を増やすこと。そのために、自社のウェブページを検索結果の上位に表示されやすいようにページの作りや外部サイトとの関係(リンク)を調整すること」と理解しておけばいい(図1)。
ただし、SEOはやみくもに検索結果の上位を目指すわけではなく、あくまでも「検索されたキーワードに対して、関連性のある最適なページとして表示されること」である点に注意しょう。そもそも企業ウェブサイトの目的は、商品販売やサービスの認知度、資料請求の数などをアップさせて、何らかのビジネス的な成果につなげることだ。したがって、単にアクセス数を上げるのではなく、顧客に成り得るユーザーを集めることが必要となる。
ユーザーは、検索エンジンを通して自分が求めるもの(検索キーワード)に関連したページを探し当てる。これは、企業ウェブサイトにとっては、検索エンジンを通して自社の商品(SEOキーワードとして設定したもの)に関心のあるユーザーを集められるということだ。この「関心のあるユーザー=潜在顧客」の誘導において、確実性と精度を高めることがSEOであると言い換えてもいい。
4割近くが検索エンジン経由
ウェブサイトへの集客手法としては、バナー広告やメール、検索連動型広告といったネット広告、さらにテレビや雑誌といった従来メディアなど、さまざまなものが存在する。その中にあってSEOを第一に考えるべきなのは、ユーザーの利用動向とコストが理由だ。
まず、SEOが集客に効果的だというのは、そもそも検索エンジン経由でウェブサイトを探してやって来るユーザーが多いからという前提がある。
ここで、ウェブサイトへの流入経路におけるYahoo! JAPAN(以下、Yahoo!)検索とGoogle検索の割合を図2に示す。この統計は、2006年3月にネットレイティングスが発表したデータで、その多くが30%~40%、平均35%程度が両検索エンジン経由でのアクセスとなっている。割合は高くないものの、MSN検索やgoo検索なども含めると、この数字はさらに高くなる。今やユーザーは「検索エンジン経由でやって来る」のだ。さらに言えば、検索エンジン経由のユーザーは、ECサイトにおけるコンバージョン率が高いという調査結果もある。能動的に情報を探してやってきたユーザーは、顧客としてのポテンシャルも高いということになる。
ちなみに、編集部が運営するウェブサイト「Web担当者Forum」における流入経路でも、最近の傾向では32%がYahoo!とGoogleからだ。可能なら、ぜひあなたの会社のウェブサイトについても調べてみてほしい。
ところで、検索エンジンからの誘導には、検索連動型広告を利用するという方法もある。しかし、コストがかかるうえに、出稿を停止したら当然効果はゼロになる。一方のSEOは、しっかりとやれば効果はある程度持続する。ここでは詳しく論じないが、検索連動型広告には「コストさえかければすぐに効果を出せる」という特徴もあるので、両手法をうまく自社の集客戦略に盛り込むことが理想だ。
いずれにせよ、検索エンジン経由でのユーザーが高い割合で存在し、今後増えていく傾向にあるという点は、Web担当者の常識として知っておこう。
対策はYahoo!とGoogleを意識していれば十分
SEOに取り組もうとした場合、どの検索エンジンを基準に最適化を行うべきかという疑問が生じる。図3に示すように、日本においてYahoo!とGoogleの利用率(リーチ)は圧倒的だ。そもそもこの2つのサービスに限らず、他のサービスでも、検索エンジンの目的は基本的に「検索キーワードに最適なウェブサイトを検索ユーザーに提示する」ことであり、その性能と精度の向上を目指している。各検索エンジンにはそれぞれ個性があり、最適化の手法にも厳密には差はあるのだろうが、とりあえずYahoo!とGoogle両検索エンジンへの最適化に取り組んでおけば、自ずと他の検索エンジンでの順位も上がると考えていいだろう。
2007年はページランクよりも「relevancy」(関連性)
SEOは、一度やったら後は放っておいてもいいというものではない。少しずつであっても、継続的な調整と検証が必要だ。もちろん、ライバル企業のウェブサイトの動きに対応するということもある。しかしそれに加えて、検索エンジンがウェブページを評価する基準が日々変化しているからというのも理由の1つだ。
激しく変化し続けるウェブの世界においては、検索技術もまだ完璧なものはない。検索精度を高めるため、また、検索エンジンをだますような悪質なSEO(「SEOスパム」と呼ばれている)に対応するために、Yahoo!もGoogleも常に改良を続けている。そのような中、ここ最近の評価では、「relevancy」(レリバンシー=関連性)というものが重要視されている。
「relevancy」とは、簡単に言うと「ページの内容の意味的な関連性」のことだ。単にリンクの数だけでなく、リンクされているページ内容の意味と関連性も考慮して、ページを評価するという考えに基づく。以前は「ページランク」が中心的な指標であるとされていたGoogleをはじめ、現在の主要な検索エンジンは、このrelevancyを重視してページを評価していると言われている。
もちろん、従来のページランクやキーワード密度なども依然として評価の1つである。ただし、2007年の今、検索結果の上位に表示されたいと願いSEOに取り組むならば、このrelevancyを重要視する必要がある。relevancyの具体的な評価基準は公開されていないが、世界中のSEO研究家たちによって日々探求され明らかにされつつある。Web担当者としてはSEOの重要キーワードとして「relevancy」を強く意識しよう。
小手先のSEOテクニックに頼りすぎると、検索エンジンがそのSEOテクニックをスパムだとみなした場合に、検索インデックスからページの情報が削除される場合もある。Googleで検索しても自社のページが表示されなくなるこの現象は、俗に「Google八分(はちぶ)」と呼ばれている。
検索結果に出てこないとなるとSEO以前の大問題だが、対象となるのは多くの場合はスパム的な手法によるSEOを行っているページだ。明確な基準は公開されていないものの、不自然なリンクや表現などが該当するようだ。小手先のテクニックに走っても、必ず検索エンジン側で対策されることになる。長期的には、やはりrelevancyを意識したページ作りが大事なのだ。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.5』 掲載の記事です。
コメント
なるほど
ふむふむ
Re: なるほど
編集部の安田です。
わかりづらいですが、おほめいただいたコメントだととらえて、喜んでいます。コメントありがとうございます!