コメント投稿

攻めるために守る! 知っておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」

「炎上」の早期発見・早期消火はどう行えばいい? ケースバイケースで具体的なメッセージ例を伝授

「防ぎきれなかった炎上」「そもそも防げない炎上」に対する早期発見・早期消火の具体策を伝授。
よろしければこちらもご覧ください

SNSマーケティングで効果を上げている企業でも、ちょっとしたトラブルがきっかけで、成果を台なしにすることがあります。本連載は、企業のSNS担当者なら絶対押さえておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」をテーマに、炎上・誹謗中傷などSNSに潜むリスクやトラブルについて、基礎知識から予防&対応策までをわかりやすく解説します。

前回は、「従業員が原因となる炎上の予防策」を解説しました。今回は、「炎上の早期発見・早期消火」について解説します。

炎上対策は「予防」と「早期発見・早期消火」の2本立て

炎上対策においては、「予防」と「早期発見・早期消火」の2本立ての態勢が重要です。前々回・前回は「予防」(防げる炎上は徹底的に防ぐ方法)を解説してきました。今回は「防ぎきれなかった炎上」や「そもそも防げない炎上」への対応策として、「早期発見・早期消火」の具体的方法を解説します。

早期発見策は、まず「モニタリング(監視)」を実施

炎上の早期発見策としてよく使われる手法が「モニタリング(監視)」です。24時間365日、4時間おき・6時間おきなどにSNSやインターネット上を巡回したり、特定のキーワードの書き込みを検索したりすることで、炎上(の火種)を素早く発見することが可能です。

監視方法は自社にあったものを

モニタリング(監視)の具体的な方法としては以下が挙げられます。平日日中のみであれば社内リソースで実施できますが、深夜や休日にも実施したい場合は、有料ツールを使ったり専門業者に外注したりするケースが多いようです。

「対応ルール」があれば一次対応も迅速に

モニタリングの結果、「過剰なクレーム」「誹謗中傷」「個人情報の書き込み」といった、炎上の火種となりそうな投稿・コメントが見つかる場合があると思います。こうしたときにどう対処するか、「対応ルール(モニタリングルール)」を事前に決めておくことがお勧めです。

「番地を含む個人の住所は、非表示」「バカ、アホ、ウザいといった罵倒は、監視継続して保留」「差別用語は削除」など、具体的なケースごとに対応の方針を決めておきます。これにより、早期発見だけでなく早期の一次対応も可能になるでしょう。だいたい50~70項目の対応ルールを決めておくケースが多いようです。

実際に利用されている対応ルールの例(一部)。まずは●を基準として初期対応を行う。
事前に決めておくことが重要。
状況に応じて対応を変更する場合もある。

早期対応策は、社内の「緊急対応フロー」の事前作成

炎上やその他SNS上のトラブルが発生した際の「緊急対応フロー」を社内で作っておきましょう。トラブルの種類や原因にあわせて「どの部署のだれが」「どんなルールに基づいて」「どんな判断/対応を行うか」などを、平時のうちに関係部署で協議し共有しておくことが大切です。夜間や休日でも連絡がとれるよう、関係メンバーの緊急連絡先も共有しておきましょう。

ケース別の対応フロー

炎上発生時の緊急対応5ステップ

実際に炎上が発生したら、以下の5つのステップで緊急対応を進めることになります。

  • Step1発見(社内から)や通報(社外から)
  • Step2報告と共有
  • Step3状況確認
  • Step4原因分析
  • Step5対応(自社や従業員に非がある/ない/不明の3パターン)
緊急対応のおおよその流れ

以下、各ステップの状況や確認すべき事項を解説します。

Step1発見や通報

上述したモニタリングを定期的に行っていれば、炎上(の火種)発生から遅くとも数時間以内には発見できる可能性が高いでしょう。他にも、従業員・取引先・顧客・社外の一般ユーザーが偶然発見し、自社に連絡が入るケースもあります。

  • モニタリングにより発見
  • 従業員が偶然発見 → 社内の「トラブル報告窓口」に報告
  • 取引先・顧客・社外の一般ユーザーらが偶然発見 → 公式ウェブサイトの「お問い合わせ先」やSNS公式アカウント宛てに報告

Step2報告と共有

「炎上発生・炎上発見」の報告を受けたら、まずはその通報が誤りやいたずらではないかを確認しましょう。
通報が事実であれば、緊急対応フローに従い、社内の危機管理チームメンバー(例:法務担当・広報担当など)に速やかに連絡を入れましょう。

Step3状況確認

炎上がどこで(例:Twitter、Instagram、Facebook、匿名掲示板)、どの程度(批判や誹謗中傷コメントは何件くらいか・苦情メールや電話も入っているか等)起きているのかを確認しましょう。
ごくわずかな批判コメントが付いているだけだったり、批判以上に擁護コメントが多かったりといった場合は、「しばし静観」するのがよいケースもあります。一方で、すでに炎上による被害が甚大な場合は、弁護士や警察への相談を検討したほうがよいでしょう。明白な営業妨害等があり損害賠償請求や刑事告訴を検討する必要があれば弁護士に、脅迫やストーキング行為などを受けているような状況であれば警察に相談することをお勧めします。

Step4原因分析

殺到しているコメントや投稿の内容も参考に、炎上原因・理由が何なのかを確認しましょう。あわせて、その炎上は「自社/従業員に非があるのか、ないのか」を確認しましょう。

Step5対応

このStepでは、以下3つのケースで対応が分かれます。

  • (1)「自社/従業員に非がある」ことが明らかな場合
  • (2)「自社/従業員に非がない」ことが明らかな場合
  • (3)「自社/従業員に非があるかどうか」調べないと分からない場合

それぞれどういった対応が適切か、ユーザー向けに発信するメッセージの例とともに解説します。

(1)「自社/従業員に非がある」ことが明らかな場合

一次対応=[限定謝罪(部分謝罪)]
本格対応=[お詫び]+[経緯・原因の開示]+[再発防止策の提示]

「従業員が飲酒運転で逮捕された」「SNS公式アカウントによる投稿に誤りがあった」「自社商品に欠陥があった」など、調べるまでもなく「自社/従業員による言動」が理由で炎上している場合には、特にスピーディかつ誠実な対応が望ましいでしょう。
原因確認や再発防止策の策定に時間がかかると、その間に炎上が拡大する危険性がありますので、まずは一次対応を迅速に行いましょう。その後は「お詫び+経緯・原因の開示+再発防止策の提示」の3つをセットにした文面による本格対応が基本形です。

一次対応としてお勧めなのは「限定謝罪」(問題がある部分についてのみ行う謝罪)です。関係者や世間に迷惑をかけていることを謝罪する形をとりながらも、「当社は、ちゃんと炎上に気付いており、現在対応中です」といったメッセージを世の中に伝えることができます。一次対応後、きちんとした経緯確認や再発防止策の作成が完了したら、改めて正式な謝罪とともに自社Webサイトで発表しましょう。

<一次対応 例文>

○月○日~○月○日に当アカウントで実施しておりました「フォローして当てよう!2021年カレンダープレゼントキャンペーン」にて、ご当選者にお届けしたカレンダーに不備があったことが判明しました。ご当選者の皆さまにご迷惑をおかけいたしましたことを、まずはお詫び申し上げます。現在、原因究明・対応策の検討を急いでおりますので、確定次第改めてご報告させていただきます。

<お詫び+経緯開示+再発防止策 例文>

○月○日~○月○日に当アカウントで実施しておりました「フォローして当てよう!2021年カレンダープレゼントキャンペーン」にて、ご当選者にお届けしたカレンダーに「12月31日」が表記されていないことが判明しました。当選者の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを、まずはお詫び申し上げます。
つきましては、以下AまたはBのいずれかの方法で対処させていただきます。該当者様には本日別途Eメールをお送りしますので、返信にてご希望をお聞かせくださいますようお願いします。

A. 「31」と書かれたシールをお送りする(今月中に発送可能です)
B. 正しい表記のカレンダーを改めてお送りする(来月以降の発送となります)

このたびの誤りは、サンプル納品時における弊社内でのチェックが不十分だったことが原因です。今後は同様のチェックを複数名で行うフローに修正し、再発防止に努めてまいります。

(2)「自社/従業員に非がない」ことが明らかな場合

[限定謝罪(部分謝罪)]+[自社の潔白を明示]

第三者による勘違いや憶測、悪意ある第三者による風評、またはデマ・フェイクニュースに巻き込まれた結果炎上している場合には、「自社は潔白である」という事実をSNSや自社サイトできちんと表明するのがよいでしょう。
自社には非がないとはいえ、世間を騒がせ、お客さまや取引先を不安や不快な気分にさせたことは事実ですので、その点についての限定謝罪(部分謝罪)を入れるのがお勧めです。

<限定謝罪+自社の潔白明示 例文>

いつも○○をご愛顧いただき、まことにありがとうございます。
現在、当社従業員を自称する人物が、Twitter上の「○○」というアカウントで、不適切な発言を繰り返しております。これについて社内調査の結果、○○である点、○○について知らない点などから、同人物は当社の従業員ではないと判断いたしました。さらに同人物にも直接連絡をとり、従業員でないことを確認いたしました。
当社のお客さま、関係者の皆さまにご心配ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
当社では毎年、全従業員を対象に「SNSリスクマネジメント研修」を実施しておりますが、今後もSNS上でのトラブル防止に向けて一層努力する所存です。今後も変わらずご愛顧賜りますよう改めてお願い申し上げます。

(3)「自社/従業員に非があるかどうか」調べないと分からない場合

一次対応=[限定謝罪(部分謝罪)]+[事実確認を急ぐ意思表示]
本格対応=[ケースに応じた対応(自社に非がある場合/非がない場合/不明な場合)]

「自社商品に異物が入っていたらしい」「電車のなかで従業員が大暴れしていたのを目撃した」など、事実かどうかの確認が必要な内容が理由で炎上している場合、まずは事実確認(情報は正しいのか、フェイクニュースやデマの可能性はないか)を早急に行うことが大切です。ただし、事実確認を行っている間も炎上はどんどん拡大する危険がありますので、ここでもまずは迅速な一次対応を行いましょう。
具体的なメッセージの内容としては「限定謝罪+事実確認を急いで行う意思表示」のセットがお勧めです。事実確認が完了したら、「自社に非がある」「自社に非がない」のどちらかのケースに合わせ、上述の対応を行います。

<一次対応の例文>

当社のInstagramアカウント(@○○)からスパムメッセージが発信され、「アカウントが乗っ取られているのではないか」とのご連絡を複数のフォロワー様からいただきました。フォロワーの皆様・当社関係者の皆様にはご心配をおかけし申し訳ありません。
「アカウントの乗っ取り」「なりすましアカウント」による可能性も含めて現在事実確認を急いでおります。確認でき次第、改めてご報告させていただきます。

こうした外部への適切な情報発信以外にも、連載の第1回でも解説した「誹謗中傷コメントへの対応」や、「炎上に対する問い合わせメール・電話への対応」なども、ルール・フローを決めておくのがよいでしょう。

炎上対策FAQ

さて、今回の締めくくりとして、「炎上対策」に関してよくいただくご質問(FAQ)をいくつかご紹介したいと思います。

質問1:炎上を即座に消火する方法は?

回答1:残念ながら、炎上を即座に消火する方法は存在しません。少しでも鎮火を早めたいのであれば、最善策は「静かにときの経過を待つ」ことです。そのためにも、炎上が発生したら「完全に鎮火するまでは、SNS投稿・SNS広告を自粛する」ことをお勧めします。

質問2:投稿自粛の期間はどのくらい?

回答2:「いつまで投稿自粛すればいいですか?」という相談も多いのですが、これもまたケースバイケースです。鎮火にかかる時間は、炎上原因や拡大範囲などによって変わります。炎上から1か月後にSNS投稿を再開できた企業もあれば、3年自粛してもなお投稿再開の見込みが見えないケース、結局SNSアカウントを削除するしかなかったケースも存在します。
鎮火したかどうかの見極めも難しいものですが、自社名や炎上内容に関連する単語でソーシャルリスニング(エゴサーチ)を行うことで定期的にチェックするといいでしょう。中途半端なタイミングで投稿再開すると再炎上のリスクもあります。あせらず慎重にいきましょう。

質問3:炎上対応でやってはいけないことは?

回答3:これにはいくつか鉄則がありますが、特に大事なのは、「謝罪文を画像やPDFにしない」「炎上原因となった投稿やコメントは消さない」の2点です。

  • 謝罪文を画像やPDFにしない
    「Google検索でヒットしないから(炎上の拡大が防げるかもしれない)」といった考えで、謝罪文を画像やPDFにして投稿(掲載)するのはあまりお勧めしません。「この企業は、炎上を隠ぺいしようとしている」と違った見方をされて企業イメージが下落してしまったり、炎上がさらにひどくなったりするリスクがあります。
  • 炎上原因となった投稿やコメントは消さない
    炎上原因となった「公式アカウントの投稿」や「社外ユーザーによるコメント・投稿」などを削除しても、炎上の消火という点ではさほど意味がありません。おそらくすでに多くのユーザーが文章保存・画面保存した後なので、オリジナルが消されてもすぐにコピーが出回ります。それどころか“企業が投稿を削除した”という行為に対して「隠ぺい体質だ」「この企業は逃げた」などのネガティブな書き込みが殺到し、炎上を一層拡大させる危険すらあります。たとえば公式アカウントの投稿に誤りがあった場合でも、削除するのではなく「訂正+謝罪」投稿を行うのがお勧めです。
    ただし「個人情報が含まれている」など、掲載しておくことで被害拡大が明らかな内容の場合には削除するのが適切でしょう。

まとめ

企業/従業員によるSNSの利用有無にかかわらず、炎上を100%防ぐのは難しい時代です。予防できるものは「予防」しつつ、常に「早期発見・早期消火」対策を続けましょう。第2回~第5回と「炎上対策」を解説してきましたが、次回は、フェイクニュース・風評被害、なりすましアカウント、情報漏えいといった「SNSトラブル」とその対応策について解説していきます。

23202
よろしければこちらもご覧ください
23202
-->
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

O2O
O2Oは「Online to Offline」の略で「On2Off」と表現される ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[GOLD SPONSOR]
株式会社日本レジストリサービスオープンテキスト株式会社株式会社ブレインパッド株式会社サイバーエージェント株式会社フレームワークスソフトウェア
[SPONSOR]
株式会社キノトロープ株式会社アイレップユーザーグラム富士通株式会社Sitecore株式会社ミツエーリンクス株式会社電通デジタル