攻めるために守る! 知っておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」

「防げる炎上」はある! 炎上を100%防ぎたいときの行動指針&チェックリスト(後編)

前後編に分けて「炎上の予防策」を紹介。後編の今回は、「従業員が原因となる炎上」の予防策です。
よろしければこちらもご覧ください

SNSマーケティングで効果を上げている企業でも、ちょっとしたトラブルがきっかけで、成果を台なしにすることがあります。本連載は、企業のSNS担当者なら絶対押さえておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」をテーマに、炎上・誹謗中傷などSNSに潜むリスクやトラブルについて、基礎知識から予防&対応策までをわかりやすく解説します。

前回(前編)では、「企業のSNS担当者が行うべき炎上予防策」を中心に解説しました。今回(後編)は、「従業員が原因となる炎上」の予防策について解説します。

「全従業員SNS利用禁止」は有効か?

前回に続き今回も、「防げる炎上は徹底的に防ぐ」ための対策について解説します。今回扱うのは、下図(企業が気を付けるべき炎上の5パターン)の赤枠部分。「従業員が原因となる炎上」です。

企業が気を付けるべき炎上の5パターン

「従業員に炎上させない方法? そんなの簡単だ!『全従業員SNS利用禁止』にすればいい」と思った読者もいるのではないでしょうか。ただ「SNS禁止」は一定の効果はあるかもしれませんが、完璧な予防策とはいえません。その根拠としては、以下の3つがあげられます。

(1)SNSを利用していなくても、SNSアカウントすら持っていなくても、炎上の原因になったり炎上に巻き込まれたりするリスクは消えない。むしろ、炎上した際の発見・初期対応が遅れてしまう危険すらある。

(2)SNSは「家族や友人とのコミュニケーションツール」「情報収集ツール」として広く普及しており、利用を完全に禁止するのは難しい。SNS国内利用者は、2020年末に7,975万人(普及率80%)に達したと推計されている。

参考
ICT総研「2020年度SNS利用動向に関する調査」
https://ictr.co.jp/report/20200729.html

(3)「会社にばれなければいいだろう」と考え、匿名・偽名でSNSを利用する従業員が出現する可能性もある。

大切なのは、「SNSの利用を禁止する」のではなく、「従業員のSNSリテラシー&モラルを向上させる」ことと「従業員がSNSを利用する際のルールを決め、浸透させる」ことでしょう。

「防げる炎上」は徹底的に防げ!

オンライン・オフラインを問わず「従業員の言動」による炎上は、以下に挙げる対策によって徹底的に防ぎましょう。SNSを利用していない社員であっても炎上を起こしたり巻き込まれたりするリスクがあります。SNS利用の有無を問わず「全社員」が対象であることを忘れないでください。

社内向け「SNS利用ガイドライン」の共有

業務利用・プライベート利用を問わず、従業員がSNSを使う際の心構えや注意点、トラブルが起きた場合の社内緊急連絡先や対応方法などをまとめた「SNS利用ガイドライン」を作り、社内に共有しましょう。従業員1人1人の危機管理意識が高まり炎上予防につながるうえ、万が一炎上が発生したときには企業として適切かつスピーディーな対応がとれるようになります。社内資料をあえて社外公開している企業もあります。

参考:
日本コカ・コーラ「コカ・コーラシステム ソーシャルメディアの利用に関する行動指針」
https://www.cocacola.co.jp/company-information/social-media-guidelines2

社内向け「SNSリスク対策研修」などの実施

社内向け「SNS利用ガイドライン」を作って共有はしたものの、従業員全員が熟読し理解してくれるとは限りません。よりいっそう全社的に浸透させるためにお勧めなのが「SNSリスク対策研修」の実施です。講義の最後に「確認テスト」を用意すれば、研修中の集中力も高まります。

研修は内製でもよいですし、「SNSリスクマネジメント」系のセミナー・研修(座学形式・オンライン形式)を提供する社外サービスを利用するのもよいでしょう。研修内容は、SNSの基本知識や正しい使い方、炎上予防策が網羅されているものが望ましいと思います。

参考:
SNSリスクマネジメント検定
https://www.snsexpert.jp/sns-risk-management/

法人企業向けeラーニングライブラリ「正しく活用!SNS炎上予防コース」
https://www.jmam.co.jp/hrm/course/elearning_lib/vmp.html

従業員1人1人が炎上予防策を実施

従業員が行うべき炎上予防策には以下のようなものがあります。

(1)SNS投稿前に入念なチェックを行う
(2)SNS投稿の公開範囲を限定する
(3)「SNSアカウントの乗っ取り」に注意する
(4)インターネットのリスクを理解する

(1)SNS投稿前に入念なチェックを行う

業務利用かプライベート利用かを問わず、SNSに投稿する内容は慎重に吟味するようにしましょう。発売前の商品情報・取引先の内部情報など、業務上知り得た機密情報を投稿してはいけません。

有名人や親しい友人であろうとも、他人の個人情報やプライバシーを侵害する内容を当人の許可なく投稿してはいけません。他人の写真を投稿したり他人をタグ付けしたりする際も当人の同意が必要です。信憑性の低い情報(デマやフェイクニュース)を投稿したり拡散したりしてはいけません。信頼する相手から送られてきた情報でも必ず事実確認をしましょう。疑わしいものは絶対に投稿しないことが大切です。

炎上しやすいトピック(炎上さしすせそ)や公序良俗に反する内容(犯罪自慢、誹謗中傷など)を投稿すべきではありません(前回の記事を参照してください)。

【炎上さしすせそ】
さ:災害・差別
し:思想・宗教
す:スパム・スポーツ・スキャンダル
せ:政治・セクシャル(LGBT・ジェンダーを含む)
そ:操作ミス(誤投稿/誤爆)

(2)SNS投稿の公開範囲を限定する

多くのSNSの初期設定では、投稿は「完全公開」つまり世界中の人が読めるようになっています。適切に設定を確認・変更しましょう。

  • Facebook
    投稿の公開範囲を「友達まで」にするなど、適切に変更しましょう。
  • Twitter、Instagram
    投稿を自分のフォロワーにのみ見せる「鍵付きアカウント」にする、フォロワーを信頼できる友人のみに限定するなど適切に変更しましょう。

(3)「SNSアカウントの乗っ取り」に注意する

第三者にSNSアカウント(ID・ユーザー名)やパスワードなどを盗まれ、アカウントを乗っ取られてしまうと、「個人情報の流出による炎上」や「第三者が当人になりすまして行った投稿が炎上」する危険性があります。以下の予防策をとりましょう。

  • SNSのアカウントIDやパスワードは第三者の目にふれないように管理しましょう。
  • 見知らぬ相手からの「SNS友達リクエスト」には慎重に対応しましょう。相手はアカウントの乗っ取りを狙っている場合があります。
  • 「二段階認証」(ID・パスワードだけでなく、スマートフォンに送られる認証コードも使ってログインすることでアカウントの安全性を向上させる仕組み)を必ず設定しましょう。
  • 怪しいアプリは使わない、連携させないようにしましょう。診断アプリや占いアプリなどのなかには情報を盗む目的のものもあります。うっかり使ってしまったら、SNSの設定メニューから「アプリの解除」を行いましょう。

(4)インターネットのリスクを理解する

その他にも、「SNSの一時的不具合等で、鍵付きアカウントの鍵が外れることもある」「一度でもSNSをはじめインターネットに投稿されたテキスト、画像、動画などは、半永久的に消えない」「本名や所属企業を隠していても、SNS投稿などから個人情報が特定されてしまう場合が多い」など、インターネット/SNSを使う上で押さえておきたいリスクを頭に入れておきましょう。

以下に「従業員用 炎上予防チェックリスト」を載せておきます。みなさんの企業の従業員向けに、必要にあわせて追加・アレンジなどしてご活用ください。

従業員向けSNS炎上予防チェックリスト
【はじめに】
  • 所属企業・団体が用意している、従業員向け「SNS利用ガイドライン」の内容を理解していますか?
  • 利用するSNSの利用規約を読んでみましたか?
【個人情報の管理】
  • SNSのID(ユーザー名)やパスワードは、第三者の目に触れないように管理していますか?
  • 簡単に推測されるようなパスワードを使っていませんか?
  • 二段階認証を設定していますか?
  • むやみに占いアプリや診断アプリなどを使っていませんか?
  • 面識のない相手からの「友達リクエスト」を気軽に承認していませんか?
【投稿する前の留意点】
  • 投稿の公開範囲を変更したり(Facebook)、鍵付きアカウントにしたり(Twitter、Instagram)して、自分の投稿が必要以上に広まらないよう注意していますか?
  • 業務上知り得た機密情報を投稿しようとしていませんか?
  • 他人の個人情報や、肖像権・プライバシーを侵害する内容を投稿しようとしていませんか?
  • 著作権や商標権を侵害する内容を投稿しようとしていませんか?
  • 信憑性の低い情報(フェイクニュースなど)を投稿したり、拡散したりしようとしていませんか?
  • 公序良俗に反する内容を投稿しようとしていませんか?
  • 慎重さが必要なデリケートな内容(例:多くの日本人が悲しい記憶を呼び起こされる内容、熱狂的なファンがいるテーマなど)を投稿しようとしていませんか?

    ※参考:「炎上さしすせそ」
    さ:災害・差別
    し:思想・宗教
    す:スパム・スポーツ・スキャンダル
    せ:政治・セクシャル(LGBT・ジェンダーを含む)
    そ:操作ミス(誤投稿/誤爆)

  • 当人の許可を得ずに、他人が写っている写真を投稿したり他人をタグ付けしたりしようとしていませんか?
  • 次のいずれかに当てはまる状態で、投稿しようとしていませんか?
    「お酒を飲んで酔っている」「眠い」「気分が非常に落ち込んでいる」「とても腹が立ってイライラしている」「とても嬉しい/楽しいことがあって、気分が高ぶっている」
【日常生活での留意点】
  • 公共の場などで、公序良俗に反するような言動をしていませんか?
【インターネットのリスクを思い出しましょう】
  • 世界中の人があなたの投稿を見る可能性があることを理解していますか?
  • 一度インターネット上に投稿した内容は、半永久的に消えない可能性が高いことを理解していますか?
  • プロフィールに本名や所属企業名を書いていなくても、投稿内容や写真から、あなたの個人情報は比較的簡単に特定されてしまうことを理解していますか?

まとめ

たった1人の従業員が炎上を起こしたり炎上に巻き込まれたりした場合でも、所属企業にまで多大な影響を与えてしまう可能性があります。今回ご紹介した「従業員が原因となる炎上」に対して、できるだけの予防策を社内で実践し、企業を守りましょう。大切なのは、SNS利用有無を問わず「全社員で」炎上防止に取り組む姿勢です。

今回は、「従業員が原因となる炎上」の予防策について解説しました。次回は「炎上の早期発見・早期消火策」について解説します。

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