攻めるために守る! 知っておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」

「風評被害」「なりすましアカウント」「情報漏えい」への予防策・対応策リスト! 参考リンクも掲載

シリーズ最終回として、近年増加しているSNSトラブルである「風評被害」「なりすましアカウント」「情報漏えい」の予防策・対応策を紹介。
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SNSマーケティングで効果を上げている企業でも、ちょっとしたトラブルがきっかけで、成果を台なしにすることがあります。本連載は、企業のSNS担当者なら絶対押さえておきたい「守りのSNSマーケティング」=「SNSリスクマネジメント」をテーマに、炎上・誹謗中傷などSNSに潜むリスクやトラブルについて、基礎知識から予防&対応策までをわかりやすく解説します。

企業が特に気を付けるべき「SNS上のリスクやトラブル」として、ここまで「誹謗中傷」(第1回)、「炎上」(第2回~第5回)について採り上げてきました。前回は、炎上の早期発見・早期消火策について解説しました。

今回は最終回として、その他のSNSリスクやトラブルである「風評被害」「なりすましアカウント」「情報漏えい」の3つについて、その予防策・対応策を解説します。

「風評被害」(デマ、フェイクニュース)とは

風評被害の原因は、噂話の形で広がっていく「デマ」と、事実に基づかない解説記事の形で広がっていく「フェイクニュース」に、大きく分けることができるでしょう。第三者による誤解・憶測・悪意などによって広められたデマやフェイクニュースによって、企業活動に甚大な影響が及ぼされることがあります。

たとえば、大地震など自然災害発生後にデマが広まったり、実際には安全な場所/商品なのに「危険である」といった誤情報が広まったりするのは、最近始まった現象ではありません。「新型コロナウイルス感染拡大」に見舞われた2020年には、「○○(特定の飲食店や施設、病院や一般企業)で、新型コロナウイルスの感染者が出た」という情報が、事実無根のままSNSで拡散されるケースが散見されました。その結果、当該施設や企業に問い合わせや苦情が殺到したり、診療や飲食予約のキャンセルが相次いだり、といった被害が発生しています。

他では、一従業員が事件の容疑者と同姓同名だったり、自社名が事件の当事者である企業名と同一または類似していたりすることによって、関係性を疑われたり当事者と勘違いされたりするケースもあります。

「風評被害」の予防と対策

まず予防策ですが、風評被害の「予防」はきわめて難しいものです。ただし、日頃より事件・事故・災害関連のニュースに出てくる社名・人名・地名等を常にチェックしておくことで、風評被害の予測を立てることは、“ある程度は”可能かもしれません。 対応策については、予防が難しいぶん「誹謗中傷」「炎上」と同様に、早期発見・早期対応がカギになります。早期発見には、前回記事で紹介した「モニタリング(監視)」が有効でしょう。モニタリングによって「風評被害」を発見した場合の具体的な対応策は、被害レベル別に以下のようなものが考えられます。

対応策レベル1:公式に否定

事実と異なる風評が広まっている場合は、自社ホームページなどで正確な情報を発信し、公式に風評を否定するのがよいでしょう。

対応策レベル2:削除要求

実害が出るほど風評被害がエスカレートしている場合には、「誹謗中傷」への対応(第1回記事)と同様に、プロバイダなどに対し削除を要求することを検討するとよいでしょう。

対応策レベル3:発信者情報開示請求

風評を書き込んだ相手に対して損害賠償請求など法的措置をとりたい場合も、「誹謗中傷」への対応(第1回記事)と同様に、発信者情報開示請求を行うことができます。このレベルに達している場合には、SNS・インターネットのトラブルや犯罪に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

「なりすましアカウント」とは

2020年11月頃から、SNS、とくにInstagramにおいて増えているのが、企業の公式アカウントを装った「なりすましアカウント」によるトラブルです。「なりすましアカウント」の発見が遅れてしまう(放置してしまう)と、以下のように、その迷惑行為が徐々にエスカレートすることもあります。

  • (1)本物の企業公式アカウントであるとユーザーが誤認するような、似た名前・似たプロフィール画面のSNSアカウントを作る。
  • (2)本物の公式アカウントを装って、ユーザーをフォローしたり、ユーザーに不審なダイレクトメッセージを送ったりする。
  • (3)公序良俗に反する内容を投稿したりメッセージ送信したりして、企業のブランドを毀損する。
  • (4)不適切なサービスやフィッシングサイトへ誘導するなど、個人情報の不正取得を試みる。

参考
なりすましアカウントから自社ブランドを守る対策|SNS運用のヒントが見つかるメディア We Love Social
https://www.comnico.jp/we-love-social/fakeaccount

「なりすましアカウント」は、1社あたり1つのみとは限りません。確認したところ、5つほどの「なりすましアカウント」が同時発生していた企業公式アカウントも存在していました。この犯人が同一人物かどうかも不明です。また、「なりすましアカウント」は繰り返し発生するケースも多いようです。

「なりすましアカウント」の予防と対策

100%完璧な予防策は存在しませんが、以下に2つ予防策を挙げておきます。こうした予防策を継続するとともに、「なりすましアカウント」を発見した場合には、速やかに対応策をとりましょう。

予防策1:「認証バッジ」の取得

「認証バッジ」は、企業の公式アカウントや有名人・著名人らのSNSアカウントを「本物である」とSNSプラットフォーマーが認めた証です。主要SNSの「認証バッジ」取得方法は、以下をご確認ください。

予防策2:「公式アカウント一覧」ページを公開

自社Webサイト内に「SNS公式アカウント一覧ページ」を作りましょう。さらに「このページに掲載されているアカウントだけが本物です」と明記し、ユーザーへの注意喚起を行いましょう。

参考
森永製菓株式会社 ソーシャルメディア公式アカウント
https://www.morinaga.co.jp/socialmedia/

次に、「なりすましアカウント」への対応策を3つ挙げておきます。

対応策1:定期的なエゴサーチ(ソーシャルリスニング)で早期発見

「なりすましアカウント」に限らず、完璧に予防ができないトラブルに対しては「早期発見」がとても重要です。主要なSNSにおいては、定期的に自社名やブランド名などで「アカウント名検索」を実施し、「なりすましアカウント」が作られていないかチェックしましょう。

対応策2:ユーザーへの注意喚起

Instagramで「なりすましアカウント」が発生したのであれば、フィード投稿(通常投稿)およびストーリーズ投稿を使って、ユーザーへの注意喚起を行いましょう。Twitter、Facebookなど他SNSに公式アカウントを持っている場合は、そちらからも同様に「現在Instagramにて、当社公式アカウントの『なりすましアカウント』が確認されています」など注意喚起するとよいでしょう。

対応策3:SNSプラットフォーマーへの報告

「なりすましアカウント」を発見した場合は、各SNSプラットフォーマーに報告しましょう。適切な調査・審査が行われたのち、当該アカウントの削除手続きが進められます。主要SNSへの報告方法は以下をご確認ください。

なお、上述した適切な方法で「なりすましアカウント」をSNSプラットフォーマーに報告したとしても、当該アカウントが削除されるまでに数日間~数週間かかる場合もあるようです。無事に「なりすましアカウント」が削除されるまでは、根気強くユーザーへの注意喚起を続けましょう。

「情報漏えい」とは

2020年秋~2021年1月に注目を集めたSNSトラブルの1つが「情報漏えい」でした。

  • 事例1

    2020年秋に、ビジネス系SNS「LinkedIn」を通して競合企業から接触をうけた某企業社員が、自社の営業秘密を含む情報をメールで送信してしまうという事件がありました。社内調査で情報漏えいが発覚して、同社員は懲戒解雇となり、さらに不正競争防止法違反容疑で書類送検されています。

  • 事例2

    2021年1月に、SNS要素を持つオープンソースコミュニティ「GitHub」に、某都市銀行をはじめ、複数企業や団体の各種システムのソースコードが無断公開されていたことが発覚し、大きなニュースとなりました。このトラブルは、各社の業務委託先に所属していたシステムエンジニアが、自分の書いたソースコードから年収診断できるサービスを使うために、“うっかり”GitHubにソースコードをアップロードしてしまったことが原因とされています。

「情報漏えい被害」の予防と対策

全従業員のモラルとリテラシーの向上・維持を目指すことはもちろんですが、社内における営業秘密の管理・保護ルールの策定と社内啓発が不可欠でしょう。

予防策:SNSの枠を超えた「情報リスクマネジメント」を心掛ける

ドキュメント類の作成と共有・リスクマネジメント研修の実施などは、定石とはいえ、やはり有効でしょう。以下の経済産業省サイトに豊富な情報がまとまっているので、参考にしてください。

参考
経済産業省・営業秘密~営業秘密を守り活用する~
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

対応策:セキュリティ部門との連携

企業の情報漏えいにおいては、SNS部門だけで対応するのは難しく、得策ではありません。社内のセキュリティ部門と協調して対処してください。情報漏えい対策の専門チーム「CSIRT」(Computer Security Incident Response Team)が社内に設置されているなら、即座に連携を取りましょう。

まとめ:「輸攻墨守のSNSマーケティング」実現を目指そう

6回にわたり「守りのSNSマーケティング」として、誹謗中傷・炎上・フェイクニュース・風評被害・なりすましアカウント・情報漏えいなどのSNSにひそむリスクやトラブルへの対応策について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

「守りのSNSマーケティング」すなわち「SNSリスクマネジメント」は、一度やればOKという類のものではありません。常にリスクを意識し、全社を挙げて予防策を継続し、貴社および従業員をSNSのリスクやトラブルから守りましょう。

そして、固く守るからこそ、強く攻めることもできるのです。貴社が「輸攻墨守(しゅこうぼくしゅ)のSNSマーケティング」を実現する一助として、当連載が参考になることを願ってやみません。

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