
Google Analyticsで「ラストタッチ」以外のコンバージョン要因を調べよう

2010年1月上旬に公開したWhiteboard Fridayの「Kill the Head or Chase the Tail [2](英語記事)」で、ランドと僕はまず、どんな種類のキーワードが検索ユーザーによる自社ブランドの発見につながり、ゆくゆくはビジネスのコンバージョン率を向上させるかを的確に見極める方法について論じた(ヒント:どんな解析結果が出ていようと、それはたぶん、ブランド名を含んだ検索語句ではないはずだ)。そこで今回は、Google Analyticsを使って、中長期的に自社のビジネスを発展させるキーワードをより正確に探す方法を1つ紹介しようと思う。
ではここで、「マルチタッチ解析追跡」を紹介しよう。
僕らが目にしてきた解析レポートはすべて、ブランド名を含んだ検索語句が最もコンバージョン率が高いということを示しているが、それについてよく考えてみよう。つまり、最終的にコンバージョンにつながったユーザーはブランド名による検索からやってきた、という意味では正しいけれど、最初に君のサービスを見つけるのにブランド名が使われたわけではないということだ。戦略を立てるにあたっては、コンバージョン獲得につながる「訪問者獲得」の経路を、より詳しく把握する必要がある。
たいていの解析パッケージは、ラストタッチ起因モデルをデフォルトで使用している。つまり、コンバージョンをもたらしたのは、コンバージョンしたアクセスそのものの参照元(リファラー)ページであるという考え方だ。だが僕らは今回、ファーストタッチ起因モデルか、マルチタッチ起因モデルに注目して、訪問者が繰り返しサイトを訪れるうちに、訪問者の検索行動がどのように変化していくのかを見ていこう。
もし「すぐに使える」マルチタッチ追跡解析パッケージに興味があるなら、ジョン・サンタンジェロ氏 [3]がYOUmozセクションに投稿したGoogle Analyticsに代わる選択肢に関する記事 [4](英語記事)を読むことをお薦めする。
Google Analyticsにおけるファーストタッチ追跡
Blogstormのパトリック・オルトフト氏は、ラストクリック起因モデルからの脱却 [5]について書いている(これについては僕も、スコットがWhiteboard Fridayでリンクを張ってくれた「すべてのSEO担当者が知っておくべき解析 [6]」というプレゼンテーションの中で説明している)。ただしこの方法は、Google Analyticsのutm_nooverrideというパラメータを利用するので、ランディングページのURLがパラメータまで含めて正確に把握できる場合にしか使えない。メールやPPC広告由来のトラフィックを追跡するには有効だが、オーガニック検索のトラフィック追跡では役に立たないんだ。
オーガニック検索のトラフィックでファーストタッチ追跡を実行するには、もうちょっと複雑な方法が必要になる。
僕はプレゼンテーションの中で、setVarという関数とsuperSetVar [7]というカスタム関数のことに触れたけれど、Google Analyticsのチームは昨年10月に発表したアップデートで、setCustomVarという新しい関数をリリースした。今ではこれが最も使える機能となっている。今回の目的のためには、訪問者レベルの変数 [8]を追跡したい。
まず、Google Analyticsの追跡コードで、__utma [9]というクッキーの有無を調べよう。これがあれば、そのユーザーは、リピーター(Returning Visitor)だということになる。そして、これがなかった場合は、訪問者レベルのカスタム変数を2つ用意し、変数名はそれぞれ「original referrer」(初回訪問時のリファラ)と「original landing page」(初回訪問時のページ)としておこう。それぞれにJavaScriptのdocument.referrer変数とlocation.pathname変数の値を代入する。このとき、解析の別のところで使ったカスタム変数とスロットが重複しないよう注意すること。
※Web担編注:上記のことを実際に行うJavaScriptのサンプルを紹介しておく。例はスロット1にoriginal referrerを、スロット2にoriginal landing pageを割り当てている。ただし、編集部でテストしたところ、状況によってoriginal referrerがうまく保存されない例があった。
<script type="text/javascript">
var _gaq = _gaq || [];
_gaq.push(['_setAccount', 'UA-xxxxxx-x']);
if (document.cookie && true == function(){
var cookies = document.cookie.split(';');
var cookie_len = cookies.length;
for(var i=0; i < cookie_len; i++){
if ('__utma' == cookies[i].split('=')[0].replace(/^(\s+)|(\s+$)/g, '')) return false;
}
return true;
}()){
_gaq.push(
['_setCustomVar', 1, 'original referrer', document.referrer, 1],
['_setCustomVar', 2, 'original landing page', location.pathname, 1]
);
}
_gaq.push(['_trackPageview']);
(function() {
var ga = document.createElement('script');
ga.src = ('https:' == document.location.protocol ? 'https://ssl' : 'http://www') + '.google-analytics.com/ga.js';
ga.setAttribute('async', 'true');
document.documentElement.firstChild.appendChild(ga);
})();
</script>
<script type="text/javascript">
var gaJsHost = (("https:" == document.location.protocol) ? "https://ssl." : "http://www.");
document.write(unescape("%3Cscript src='" + gaJsHost + "google-analytics.com/ga.js' type='text/javascript'%3E%3C/script%3E"));
</script>
<script type="text/javascript">
try{
var pageTracker = _gat._getTracker("UA-xxxxxx-x");
if (document.cookie && true == function(){
var cookies = document.cookie.split(';');
var cookie_len = cookies.length;
for(var i=0; i < cookie_len; i++){
if ('__utma' == cookies[i].split('=')[0].replace(/^(\s+)|(\s+$)/g, '')) return false;
}
return true;
}()){
pageTracker._setCustomVar(1, 'original referrer', document.referrer, 1);
pageTracker._setCustomVar(2, 'original landing page', location.pathname, 1);
}
pageTracker._trackPageview();
} catch(err) {}</script>
次に、Google Analyticsのプロファイルにフィルタを追加して、生の参照元情報から検索に使われたキーワードを取得しよう。その場合、このようなPPCキーワードの詳しい情報が得られるフィルタ [10]が使える(見てわかるとおり、PPCトラフィックしかフィルタリングできないというわけではない)。初回訪問時の(参照元とランディングページの)URLを抜き出して別の変数に保存しておくといいかもしれない。
※2010-03-14 記事初出時点で、上記カスタムフィルタの設定方法を解説していましたが、この方法では、求める結果を得られないようです(コメント参照)。上記の文の末尾にあるように、初回訪問時のリファラからキーワードを抽出してカスタム変数に追加しておく方法が適切なようです。
こうした設定をしておけば、任意の初回訪問時のURLについて、初回訪問時の検索キーワードによるコンバージョンレポートを出力し、ファーストクリック起因モデルに基づいたコンバージョン情報を調べられる。たぶん、このとき得られるコンバージョンレポートは、通常のコンバージョンレポートより、はるかにロングテール傾向が強くなっていて、ブランド名による検索がかなり少なくなるはずだ――それでも、各種宣伝やオフラインのマーケティングなどがあり、ファーストタッチでいきなりブランド名を検索する人もいるので、ゼロにはならないだろうけど。
ビュー・スルー・コンバージョン
マルチタッチ起因モデルの適用
もっと本格的に調べたいという人なら、複数のタッチポイントを調べるという難題に挑戦してみるのもいい。つまり、コンバージョンがファーストタッチやラストタッチだけに起因すると考えるのではなく、コンバージョンに至るまでのさまざまな過程に、いわばアシストポイントを付けてあげようというわけだ。
たとえば、ロングテールのキーワード>ヘッドのキーワード>ブランド名検索>直接訪問という過程を経てコンバージョンに成功したとする。この場合、ヘッドのキーワードとブランド名検索もコンバージョンに一役買っていると考えるべきだろう。
これが特に重要になるのは、マーケティングに関わる部署が複数ある場合だ。その場合、訪問者の呼び込みに関わっている部署や、訪問者をリピーターにしてくれる経路、最終的にコンバージョンに貢献してくれる経路にも、なんらかの評価を与えたいと思うはずだからだ。
僕はまだ、これをGoogle Analyticsの新機能で設定していないけれど、基本的な処理としては、新しく導入されたsetCustomVarに対応するsuperSetVar [7]関数みたいなものを作ればいいはずだ。つまり、2回目以降の訪問に関する情報をカスタム変数に詰め込むというわけだ。この情報は、インターフェイス経由で使えないのがほぼ確実なので、おそらくExcelにエクスポートしてから調べなきゃならない。たぶん、僕のお気に入りのピボットテーブル [11]を使うことになるだろう。
僕らが前回のカンファレンスコールを実施してから少し経ったけれど(このリンク先には、僕がExcelを使ってやったことを収録した動画がある)、次回も計画しているので、まだ君がメーリングリストに登録していなければ、ぜひこちらにアクセスして登録 [12]してほしい。
君が本気でこの情報を求めて、徹底的に取り組むなら、きっと詳細なデータを得られるよ! また、すでにこれを実践済みで、詳細な手順説明を書きたいという人がいたら、僕は喜んでこの記事を更新して、その説明ページにリンクを張ろう。
ビュー・スルー・コンバージョン
君がマルチタッチ起因モデルを実践に移しているなら、残るは(クリックはしないが)ディスプレイ広告を目にするといったようなブランド構築に寄与するイベントに「アシストポイント」を付けてやることだ。Distilledが誇るPPCの達人、リチャード・コットンは、グーグルのビュー・スルー・コンバージョン測定 [13]の紹介記事(英語)を書いている。
これ以上行くとプライバシーに関する懸念があれこれと出てくるけれど、あらゆるシナリオ(たとえば、自分のサイトにつながる「検索じょうご」を把握するとか)に合わせてこういったデータを集めるためのデータは間違いなくそこにある。僕らが今後このような方法で――特にグーグルから――より多くの情報を入手していくことになりそうな兆候がある。グーグルは明らかに、顧客に(一般的に価格の低い)ブランド名検索以外の部分に投資させる方法を、常に模索しているからね!
今後予定しているカンファレンスコールでは、解析のヒントとコツを話すつもりだから、聞きたい人は、ぜひ登録 [12]してほしい。それから、Google Website OptimizerとGoogle Analyticsの統合 [14]について、僕がSearchEngineLandに書いた記事に興味がある人は、そちらもどうぞ。
ちなみに、この問題については、グーグルの解析エバンジェリストであるアビナッシュ・コーシック氏が書いた「『上位のじょうご』キーワードを測定するには [15](英語記事)」でうまく説明されている(一応これは有料検索を対象にしたものだが、検索で入ってくるトラフィックに対して同じような努力を払うつもりなどないなんていうのでなければ、自然検索にもぴったり当てはまる)。サム・ニコルズ氏のすばらしい記事「2009年の統計から学ぶコンバージョン率最適化の教訓11条 [16](英語記事)」では、第2条でこの問題を取り上げている。
※Web担編注:元記事で解説されていた手法をできるだけわかりやすく実践できる形で補足したが、十分にテストできたわけではない。具体的な手法について、試された方は、うまく動かない点や補足するべき点などお教えいただければ幸いだ。
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