データから見るローカルSEO業界の現在と未来
この記事では、ローカル検索マーケティングに関する統計や調査の結果をもとに、次の3つについて学んでいく:
- ローカル検索と地域主義が活況
- ローカル検索マーケティング戦術
- ローカルSEOの職場の現状
ローカルSEOの担当者がこの業界について何時間もかけて調査し、その結果を惜しみなく共有してくれるのは本当にありがたい。この調査データは、次のようなときに役立つだろう:
- クライアントがすぐに理解できる説得力のあるストーリーを作成する必要があるとき
- 取り組みに関して支持を得るために、上司や同僚に特定のキャンペーンの価値を示す必要があるとき
- 単に君の仕事について友人や家族に説明する必要があるとき
この記事で引用したすべての人の素晴らしい有益な取り組みに心から感謝しつつ、ローカルSEOの現在と未来を物語る統計値を厳選して見ていこう。
ローカル検索と地域主義が活況
データ ローカルビジネスについて
2021年のスモールビジネスサタデー※は、米国での消費額が過去最高の233億ドル(約3兆円)に達した。アンケート回答者の70%は「アメリカン・エキスプレスのキャンペーンに触発されて、知り合いに小規模の独立系店舗で買い物することを勧めた」と答えている。
2021年の時点で、米国には従業員500人未満の独立系ビジネスが3250万社あり、民間企業における雇用全体の46.8%を占めている。このうち81%は従業員を1人も雇っていない小規模事業主だ。
米国には、シングルユニット(事業所が1つだけのビジネス)の物理的事業拠点が600万か所以上、マルチユニット(複数の事業所を持つビジネス)の物理的事業拠点が180万か所以上ある。
69%の人が検索の少なくとも半数はローカル検索だと答えており、37%の人は3分の2以上がローカル検索だと答えている。
2020年には、世界中で「現在地付近」の検索が100%増加した。
検索の42.4%でグーグルのローカルパックが表示される(MozCastによるキーワード1万件調査の4月19日時点データ)。
88%の人は自分が取り引きする企業を信頼できることが重要だと答えており、67%の人はネット上の企業より物理的な拠点のある企業を信頼している。
米国人の80%は、経済に大企業が与える影響が大きすぎると感じている。
地域に根差したSNSであるNextdoorのユーザーの72%は、パンデミックが終息したらローカルビジネスをもっと利用する※と答えている。
未来のストーリー
以上のデータから、小規模なローカルビジネスの存在は非常に大きいことがわかる。人々は主に次の理由から、ローカルビジネスを支援したいと考えている:
- 独自の商品を入手できること
- 地元にお金が落ちること
またグーグルは、ほとんどの検索ユーザーの現在地を把握しているため、検索をローカルの視点で捉えている。
大企業に不信の目が注がれる一方で中小企業が好まれていることを考えると、人々の暮らしの中で地域とデジタルのつながりは驚くほど顕著になっており、地域社会の目標に沿ったストーリーを定義することが賢明だ。
データからわかった、勝つためのローカル検索マーケティング戦術
データ ローカル検索マーケティングについて
Googleビジネスプロフィールを徹底的に活用しよう。ローカルパックに表示されるビジネスはクリック数が100%以上増加しており、中でも2番目に表示されるビジネスはエンゲージメントが最も高い。
Googleビジネスプロフィールのメインカテゴリは賢く選ぼう。調査に協力したローカルSEO担当者の過半数は、他のどの要素よりローカルパックの表示順位に影響すると述べている。
グーグルがあるからと言って他のローカルビジネスリスティングを忘れてはならない。他の優れたプラットフォームでサイテーション(引用)を獲得する際のスイートスポットは31件~40件であり、ビジビリティは平均55%~58%増加する。
レビューは販売力だ。消費者の87%がレビューを読んでいる。
レビュー管理は顧客サービスの中核だ。消費者の半数近くは、企業が2日以内にレビューに回答することを期待している。複数のプラットフォームにまたがってレビューをモニタリングできるソフトウェアに投資し、最小限の時間で対応できるようにしよう。
調査に協力したローカルSEO担当者の過半数は、Googleビジネスプロフィールの評価が他のどの要素よりコンバージョンに影響すると述べている。言うまでもなく、これは顧客満足度を十分に満たすことを、あらゆる種類のローカルビジネスの中核目標にする必要があるということだ。
メールマーケティングは、あらゆる形のパブリシティの中で投資利益率(ROI)が最も高く、ツイートの6倍のコンバージョンをもたらし、Facebookに投稿するより気付いてもらえる可能性が40倍高い。
電話の優先度は高い。Googleビジネスプロフィールを見てビジネスにかかってくる電話は、2020年上半期に61%増加した。
消費者の78%はショートメッセージでビジネスと連絡を取りたいと考えているため、SMSプログラムを準備しよう。
パンデミックの期間にはライブチャットの利用が85%増加し、ライブチャットによる売り上げは200%増加した。
顧客サービスに動画を利用しているブランドはまだ19%しかなく、販売に利用しているブランドは32%にすぎない。いち早く導入すれば、この分野での機会は計り知れない。
環境や社会に関するポリシーを策定しよう。買い物客の60%は地球を保護するために購買習慣を変える気持ちがあると答えており、若者の83%は自分の価値観に合ったブランドを利用したいと考えている。
未来のストーリー
ローカルSEOはかなり多様化しているが、ツールで管理できる。
ローカルビジネスが多くのデジタルでコミュニケーションできるようにして、優れた顧客サービスを提供すれば、評価やレビューで名前が挙がるようになり、ひいてはビジビリティが高まって、クリック数やコンバージョン数が増える好循環が生まれる。
ローカル検索マーケティング担当者とそのクライアントにとって、顧客中心の考え方ほど賢明なものはない。
ローカルSEOの職場から聞こえるストーリー
データ ローカルSEO業界について
新型コロナウイルスを受けて、SEO業者の70%は2020年にマーケティング予算が削減された。とはいえ、Obilityなど複数の調査によると、SEOへの投資を継続できたクライアントは大幅な成長を遂げている。この業界にとっては、ジェットコースターのように目まぐるしい年となった。
顧客の約半数は2020年の時点ですでに、パンデミックの間に急いで導入した新しい技術や戦略をその後もずっと使い続けることになると認識していた。2021年末現在、この数字はさらに高くなっていることが予想される。新たに開発したものが定着している。
クライアントはローカルビジネスのウェブサイトにオンラインショッピングの機能を実装する取り組みに多額の投資をしているが、私たちは、グーグルがローカルパックの59%でウェブサイトのリンクが表示されないようにしているとの受け入れがたい状況に置かれている。それでも、クライアントには引き続きサイトを強化して、グーグルに情報を提供し、グーグルと戦い、グーグルに反転攻勢をかけるよう助言しよう。
グーグルは私たちの暮らしやSEO事業者の運命を支配しているが、Appleマップは現時点で米国のユーザー数が推計1億人に達しているとされており、SEO担当者の多くはその推移を注視している。
アマゾンは米国のオンライン消費の50%を占めているため、ローカルSEO担当者は反トラスト法に基づく米連邦取引委員会(FTC)の規制の動向にも注目している。独占企業との厳しい戦いを続けてきた小規模ローカルビジネスのクライアントにプラスの影響を与える可能性があるからだ。
米国のSEO担当者が得ている収入は、全体の60%が米国内の中央値(男性は5万7456ドル[約720万円]だが、恥ずべきことに、フルタイムで働く女性はわずか4万7299ドル[約600万円]だ)と同等かそれ以上だ。年収10万ドル(約1250万円)以上の人は19%に過ぎない。SEO業界で働くということは、居住地にもよるが、毎月の暮らしに精一杯の人と、金銭面の心配が比較的少ない人のどちらかに分かれる可能性があるということだ。
米国では、2021年8月に全産業で430万人近い労働者が仕事を辞めた。アダム・オーデット氏は、このことがSEO事業者に与える影響について示唆に富む解説をしている。私からの助言としては、こうした状況の中でチャンスを見出し、尊厳ある賃金で有意義な仕事を求める大胆さを持ってほしい。
未来のストーリー
ここ2年にわたってローカルSEOの専門家が苦境にあったのは間違いない。一方で、私たちの仕事はすっかり必要不可欠なものになった。パンデミックの期間中、クライアントの多くは新規インフラに欠かせない存在となって地域社会のリソースを維持してきたからだ。
ただ、私たちがローカルビジネスの「リスティング」や「レビュー」「コンテンツ」「リンク」「最適化」に没頭しているとしても、多くの人にとってインターネットはまだよくわからない場所であることを忘れてはならない。コロナ禍を機に、顧客や企業、そしてすべての人のために私たちが知識を共有してオンラインとオフラインの世界をつなぐよう支援することが、かつてないほど重要になっている。
私たちが十分な報酬に見合う重要な仕事をしているのは間違いない。君が良い職場に恵まれ、地域の多くのクライアントを支援し、平和で可能性に満ち、高い満足感を得られるようなワークライフバランスを実現できることを願っている。
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