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NPO法人のローカルSEO【MEO】に今日から使える実践テクニック5選(前編:MEOの基本/GMB/リスティング)

NPO法人(非営利団体)が広告のような押しつけがましい手法ではなく、事業に関心のある人が情報を求めたタイミングで知ってもらう ―― そんなことが可能になるローカルSEOの基本と戦術を紹介する

NPO法人(非営利団体)が広告のような押しつけがましい手法ではなく、事業に関心のある人が情報を求めたタイミングで知ってもらう ―― そんなことが可能になるローカルSEOをを知り、今日から試せる具体的な5つの戦術を紹介する。

多くのマーケティングチャネルは、本質的に「人の注意をそらして作業の邪魔になるもの」だ。マーケティングで邪魔をされる作業とは、次に示すものをはじめとして挙げればきりがない。

  • メールの確認と返信
  • オンライン記事の追跡
  • ソーシャルメディアのチェック
  • ラジオの聴取
  • テレビの視聴

しかしSEOは「何かを提供する前に企業側からまず働きかけるのではなく、何かを提供する時点でそれが求められている」数少ないマーケティングチャネルだ(もしかしたら唯一のものかもしれない)。SEOは基本的に、有益なコンテンツを積極的に探している人に対して、求められているコンテンツを提供するために利用される。そして、地域レベルや国レベルでターゲットオーディエンスにリーチするために利用できる(そして、そのように利用するべきだ!)。

グーグルは、次のようなデータを示している

ローカルの検索意図だが「near me」(近くの)という言葉を伴わない検索が、ここ2年で150%増加している。

つまり、ユーザーは検索する際にローカルの検索結果が表示されることをますます期待するようになっているということだ。こうした状況を活かそうとしている組織にとっては絶好の機会だ。

非営利団体(NPO、NPO法人)のマーケターは、SEOの「検索して提供する」という特性を通じて、地元のオーディエンス(支援者)が検索行動によって示す関心や関与に対応する機会をつくりだすことができる。これを利用して支援者とやり取りし、寄付を促し、自らの使命を世界に発信できる。

では、ローカルSEOを最大限に活用するにはどうすればいいのだろう? この記事では、すぐに試せるローカルSEO(マップSEO、MEO)の戦術を紹介する。

詳細に入る前に、まずはローカル検索エンジン(マップ検索)でNPO法人の検索順位に影響を及ぼす主な要因を理解することが重要だ。これは「関連性」「距離」「信頼性」「知名度」の4つの領域に大別される。

  • 関連性 ―― ユーザーが検索するキーワードにNPO法人のウェブサイトがどれだけ合致しているかを表す。

    グーグルに「教育関連の慈善事業」だと判断されたウェブサイトと、グーグルに「健康関連の非営利団体」だと判断された別のビジネスがあった場合を考えてみてほしい。「教育 慈善事業」の検索結果では、前者のほうが後者よりも表示される可能性が高くなる。

  • 距離 ―― 検索ユーザーとNPO法人の拠点の近さを表す。

    ユーザーが常にポケットに入れて持ち歩く追跡用ビーコン(つまりスマートフォン)を通じて、そのユーザーがどこにいるのかをグーグルはより詳しく把握できるようになっている。そうした進化によって、距離は(最大ではないとしても)主要な検索順位決定要因となった。

    つまり、同じ「Health nonprofit」(健康 非営利)という検索でも、オレゴン州ポートランドで検索したときとワシントン州シアトルで検索したときとでは、表示される検索結果ページ(SERP)がまったく異なるということだ。

    実際にはそれどころか、同じポートランドでも、郵便番号97005の地域で検索した場合と、同じポートランドの郵便番号97239の地域で検索した場合とでさえ、SERPは異なる。

    同じポートランドでも、検索ユーザーの所在地によってローカル検索結果はまったく違う

  • 信頼性 ―― 評判に基づいて、そのNPO法人をどれほど信頼できるとグーグルが考えているかを表す。

    グーグルは、信頼性を次のような要因で判断している:

    • レビューの量と質(件数と評価)
    • そのウェブサイトにリンクを張っているオーソリティの高いウェブサイトの数(リンク元ドメイン名の質と量、ドメインエイジ)
    • そのウェブサイトのコンテンツの質
  • 知名度 ―― NPO法人がどれほど頻繁にウェブ全体で出現するかを表す(ウェブ以外は関係ない)。

    たとえば、地域の報道機関などによるNPO法人に対するネット上での言及や、Great NonprofitsやCharity Navigatorといったディレクトリサイトのリスティングなどが挙げられる。

こうした要因のなかには、あなたにコントロールできないものもある(たとえば、ビジネスと検索ユーザーの距離は自分の力で変えられない)。そのため以下では、「今すぐ実践できる」点を重視しながら、NPO法人向けローカルSEOの5つの戦術を詳しく解説していく。

  1. Googleマイビジネスページを作成または登録する【無料!】
  2. ローカルビジネスリスティングに登録する
  3. オンラインレビュー戦略を立てる(後編)
  4. ターゲットにするのに適したキーワードを選択する(後編)
  5. オンページ最適化を実施する(後編)
  6. まとめ(後編)

NPO法人向けローカルSEO戦術①
Googleマイビジネスページを作成または登録する【無料!】

まず、2つの調査データを知ってほしい:

納得してもらえただろうか? そう願いたい。

Googleマイビジネス(GMB)でのページの作成や登録は、グーグルを活用するためのすばらしい第一歩だ。しかも料金は一切かからない

Googleマイビジネスのページを作成すると、次のような効果がある:

  • 登録したNPO法人がGoogleマップに掲載されるようになる
  • Google検索のローカルパック3枠に掲載される確率が上がる
  • 全体としてローカル検索での表示順位が上昇しやすくなる

つまり、自分のNPO法人(または類似のNPO法人)を検索している人に見つけてもらえる可能性が高まるのだ。

Googleマイビジネスでページを作成すると、記事の冒頭で説明した4つの検索順位決定要因(「関連性」「距離」「信頼性」「知名度」)のすべてに対処できるようになる。そのため、この記事で紹介する戦術のうち1つしか実行できないという場合は、何よりもこれを実行してほしい。

「ページを作る」と聞くと、HTMLを書いて画像を入れてといった制作会社に依頼するようなものをイメージするかもしれないが、心配ない。グーグルが用意したフォームに項目を入力していくだけなので、だれでもできる。

すでにすべてのビジネス拠点でGoogleマイビジネスにページを登録して完了している人は、すばらしい! このまま戦術②に進んでほしい。

Googleマイビジネスページの登録を始める前に、まずNPO法人の全拠点の正確なロケーションデータ、つまり「NAP」を収集して整理したい。NAPとは「名称(Name)」「住所(Address)」「電話番号(Phone)」の3項目のことで、Googleマイビジネスで登録する際には、いくつか注意点がある。

  • 必ず実際のビジネス名を使用する ―― ここに記入する名称は、ドアの看板やマーケティング資料などと一致している必要がある。広告のように宣伝的な文句を入れたり、通常のSEOのようにターゲットの検索キーワードを含めたりしてはいけない。

  • 必ず実際の住所を使用する ―― 住所欄には場所を説明するような文言は含めず、必ず郵送先住所を記入する。

  • 地元の電話番号を使用する ―― コールセンターのヘルプラインではなく、可能な限り市外局番が不要な地元の電話番号を使用する。

※補足:拠点の数によっては、拠点データの整理が追いつかなくなることもある。拠点が数か所以上ある場合は、ビジネスのすべての拠点データを集約して1か所で整理するスプレッドシートなど、単一のソースを(組織内の誰かが)作成して管理することを強く推奨する。

上記補足は複数の拠点がある場合向けだが、拠点が1つしかない場合でも、Googleマイビジネスに関係する情報はスプレッドシートなどに整理しておくと良い。責任者などに確認してもらうのが楽になるからだ。

拠点に関する情報を整理したら、すべての拠点のGoogleマイビジネスページをひと通り登録または更新する方がいい。グーグルはステップバイステップの手順を公開している。

Googleマイビジネスのリスティングを作成するにあたっては、次の点を念頭に置く必要がある。

  • ビジネスのメインカテゴリを追加する

    このカテゴリ設定は、グーグルや検索ユーザーに事業内容を説明するものだ。該当するカテゴリが複数ある場合は、表示順位の目標に最も近いカテゴリをメインカテゴリに選択する。そのうえで最大9個のカテゴリを追加し、合計10個のカテゴリを設定できる。

    カテゴリの選び方については、ブログ記事「Googleマイビジネスのカテゴリの選び方」(英語のみ)に目を通してほしい。

  • ビジネスの属性を選択する

    アクセシビリティ属性をはじめ、ビジネスに関する詳細をさまざまな属性で紹介できる。次のような属性も指定できる:

    • NPO法人の所有者が黒人の場合
    • 運営者が女性の場合
    • LGTBQ+に理解がある場合

    利用できる属性はかなり広範に及ぶが、当てはまるもので、関連性が高く、正確な属性だけを選択しよう。

  • 思慮に富んだ事業内容を記入する

    NPO法人の活動内容や特徴を750文字以内で説明しよう。

  • 事業内容の説明にキーワードを含める

    事業内容として記入する文章には、NPO法人に関連する高価値のキーワード1~2件に重点を置いて、適切にキーワードを入れておくこと。ただし、必要以上にキーワードを繰り返すと「キーワードの詰め込み」となり問題が生じる場合があるため、適切な程度にしておくこと。

  • 写真を追加する!

    グーグルによると、写真を登録しているビジネスは登録していないビジネスと比べて次のような違いがあるという:

    • ルート検索のリクエストが42%多い
    • 検索結果をクリックしてウェブサイトを訪問する割合も35%多い

    写真を選択する際は、NPO法人を紹介するものとして信頼できる高品質の写真を選択しよう。

  • プロフィール写真を選ぶ

    検索結果に表示させたいプロフィール写真を指定する。これは絶対確実というわけではない(プロフィール写真が最初に表示される保証はない)が、表示させたい写真をグーグルに示すことはできる。

NPO法人向けローカルSEO戦術②
ローカルビジネスリスティングに登録する

オンラインでビジネスリスティングを作成できる場所は、Googleマイビジネス(GMB)だけではない。

ソーシャルネットワーキングサイトや専門的な業種別ディレクトリサイトなどが飛躍的に増加しており、「ビジネス」「製品」「サービス」に関して調査したり比較したりレビューを共有したりできるものもある。これらのオンラインサイトは、マーケターにローカルサイテーションの機会、つまりNPO法人がさらに多くの人の目に触れるようにする機会をもたらす。

※「サイテーション」は日本語で「言及」を意味する。要は、オンラインでどれぐらいそのサイト(ビジネスやNPO法人や製品やサービス)について語られているか(必ずしもリンクである必要はない)。

多くのサイテーションを収集することは、以前ならばローカル検索の順位を上げるために望ましい戦術だった。

しかし現在、ローカル検索順位に影響を及ぼす要因が進化しており、ローカルサイテーションの件数が依然としてそれほど重要かどうかは判断の分かれるところだ。

とはいえ、オンラインのビジネスリスティングに登録して管理していくことで、次のような成果を得られる:

  • ローカル検索クエリに対するNPO法人の表示順位が上がるかもしれない(大きくは上がらないかもしれないが)
  • より多くの人にオンラインでNPO法人を発見してもらう助けになる

対象のオーディエンスが検索するあらゆる場所で、完全かつ正確、しかも魅力的な体験を生み出すことで、より多くのオーディエンスにリーチすることになる。

どのように表示されるかわからない場合は、Mozの無料ツールCheck Presenceを使用して、自分のNPO法人のウェブでの表示を確認できる

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、5つの戦術のうち2つを紹介した。

後編となる次回は、残る3つの戦術「オンラインレビュー戦略」「キーワードの選択」「オンページ最適化」について説明する。→後編を読む

用語集
HTML / NAP / SEO / SERP / アクセシビリティ / サイテーション / スマートフォン / ソーシャルメディア / ディレクトリ / ドメイン名 / リンク / 検索エンジン / 訪問
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