インタビュー

コロナ禍で注目の「プチギフト」 コンビニ商品のクーポンをTwitterやLINEで配布

アプリのダウンロード促進やCRM施策で、スマートフォンで配ったクーポンをコンビニエンスストアで見せるとお店で販売しているお菓子がもらえる。こんなサービスの「プチギフト」が今、コロナ禍の新しい生活様式の中で注目を集めている。サービスを提供しているエムディービー(MDP)に、プチギフトの仕組みを聞きに行った。 ※「プチギフト」はMDPの商標登録
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マーケティング施策などでギフトを送ることってありますよね。

  • 有料サービスへの入会特典のプレゼント
  • アプリダウンロード特典のプレゼント
  • アンケート回答の謝礼
  • SNS等のフォロワーや会員登録への謝礼
  • トラブル対応のお詫び

しかも、全員にプレゼントや抽選といった条件で、スマホ上でクーポンを配布したい場合は、どこに頼んだらいいの?

そんなサービスを「プチギフト」の名前で提供していのるが、法人向けeギフト基盤事業のエムディーピー(MDP)だ。利用企業は2019年12月に200社を超え、携帯電話事業者や食品メーカーなど大手企業に頼りにされている。プチギフトとは、いったいどんなサービスなんだろうか。同社の星田さんと河野さんに聞いた。
【聞き手】Web担当者Forum編集長 四谷志穂 【撮影】小沢朋範

右から、エムディービー(MDP)代表取締役社長 星田洋伸さん、取締役営業本部長 河野結城さん

電子マネーからコンビニ商品、外食まで取り扱い

ところで聞き慣れない“eギフト”とは、「IDやQRコード、バーコードなどを読み込みこんでギフトを受け取ることができるサービス」(矢野経済研究所)と定義されている。MDPのプチギフトは、オンライン上で電子クーポンや金券のeギフトを配布するプラットフォームで、インターネットから実店舗に消費者を誘導するO2O(オンラインツーオフライン)施策を企業に提供している。

プチギフトの仕組み

各種さまざまなプラットフォームのオープンIDを利用してクーポンが配布可能。配布条件を設定できて、対象者のスマホにクーポンを配布できる。配布されたクーポンは、電子マネーやコンビニ、スーパーで対象商品と交換できる。配布コードは重複しないよう管理され、一度使うと無効になる「消し込み」で金券と同等の価値を持つ仕組みである。

プチギフトの仕組み

① 配布方法 クーポンを配れるプラットフォーム

まず、クーポンを配布可能な主なプラットフォームは次の通り。

  • Twitter、LINE、GoogleなどのオープンID
  • 各種メールアドレスや電話番号(SMS)
  • 企業が提供するスマートフォン向けアプリ
  • カード型やチラシなどの印刷物

Twitter ID、LINE ID、などのオープンIDやサービス側で付与するIDを活用してクーポンを配布するため、クーポン取得のためにわざわざ新しいIDを作る煩わしさはない。最近では、「YouTube」で見た商品紹介動画からGoogle ID認証でクーポンを提供する、ということも可能であり、クーポンを配布できないプラットフォームはないほど、各種さまざまな配布方法がある。

クーポン配布用のアプリを自社開発したら費用がかさむが、プチギフトではすでにそういった仕組みを用意している。新たに「こんな仕組みがほしい」と要望があればフレキシブルに対応しています(河野取締役)

② 配布条件 クーポンを配る条件

クーポンの配布方法もキャンペーン毎に自由に選べる。たとえば、以下のような方法で配布ができる。

  • 先着順
  • 抽選
  • 1日1回チャレンジなどのアレンジ
  • アンケートの取得
  • Twitterフォロー&リツイート施策やLINEのお友達獲得施策
  • アプリDL特典
  • ポイント交換サービス
  • GPSと連動した展示会などの来店ノベルティ……

アンケートの謝礼品として利用したり、SNSアカウントのフォロワーや会員登録を増やすために利用したり、アプリユーザーの利用促進をしたり、さまざまな用途・条件でクーポンを配布できる。システムを内製しているので、クライアントのニーズに合わせてカスタマイズもフレキシブルに対応可能だ。

Twitterのキャンペーンで一般的な、ツイートをリツイートして当選結果がすぐわかる「インスタントウィン」などもプチギフトで可能。商品を買った人限定で提供する「マストバイ」にも対応している。

③ クーポン クーポンは複数選択可能

配布できるクーポンは、大きく分けて「リアル店舗」と「電子マネー・ポイント」の2種類ある。

  • 電子マネー・ポイントのクーポンでは、「Amazonギフト券」や「nanaco」、「Tポイント」「ポンタ」など各種ポイントサービスが利用可能。
  • 「リアル店舗」の利用可能なクーポンでは、全国約5万店舗のコンビニやスーパー、大手ファーストフード店を加えた約8万店舗の約2,000種類の商品を選べる。
利用可能なクーポンの一部

またクーポンは、複数の商品、流通チェーンをまたいだ組み合わせも可能。たとえば、ローソンの「プレミアムロールケーキ」とミニストップの「フローズンヨーグルト」のいずれかから対象ユーザーがスマホ上で好きなクーポンを選択可能だ。

④ 配布クーポン

クーポン配布提供企業とのシステム連携しeギフトの発行が可能。デザインのカスタマイズや配布商品を独自のものにするなどフレキシブルに対応ができる。

⑤ 事務局 カスタマーサポートが問い合わせ対応

「クーポンが利用できない」「操作方法がわからない」などの利用方法や店頭でのお困りごとなど消費者からの各種問い合わせも、プチギフト運営事務局が対応。

⑥ レポート 

キャンペーン実施時に取得したアンケートデータをもとに男女別や職業、居住地など利用者属性やその他取得した利用意向データとクーポンの利用実績をクロス集計して提供することも可能。

CRMの一環として自分たちの顧客はどんな人たちなのが深く知り、次の施策に生かしたいと考える企業が増えておりそのニーズに応えることもできる。

企画立案からキャンペーン事務局までフルサポート

このように上記①~⑥までのサービスが、プチギフトには含まれている。プチギフトを提供するMDPでは、さらにキャンペーン全体の施策立案からサポートを提供している。具体的には、以下の通り。

  • 各社のKPIや課題に合ったキャンペーン設計の企画立案
  • LP(ランディングページ)やバナーなどクリエーティブ制作
  • ユーザー認証や抽選・アンケートなどシステムのカスタマイズ開発
  • 商品調達などコンビニへの各種申請・支払代行、店舗への集荷調整
  • クーポンの買い付け、管理、配布オペレーション
  • 事務局開設と利用者サポート

星田社長は「私たちの強みはワンストップ。キャンペーンを受けたら全部対応することが評価されている」と胸を張る。まだスマホに慣れていない消費者もいるので、受け取ったクーポンはスマホのどこにあるのか、といった問い合わせがあるもの。「こうした顧客対応を含めてキャンペーン事務局を全部MDPで持つ」。まさに企画立案から事務局運営までトータルサポートになる。

気になる費用だが、イニシャルコストと配布商品数に応じた手数料である。星田社長は「わかりやすい料金体系にしている」と話す。

プチギフトを使っている企業

MDPのプチギフトを利用している企業は、石油業界、保険業界、カード・ウォレット業界、都銀・地銀など銀行系、飲料メーカー、アルコールメーカー、お菓子メーカー、家電メーカー、電力・ガスなど幅広い業種に広がっている。

商品を提供する大手コンビニチェーンも自社商品のPRでプチギフトを活用している。自社Twitterアカウント使ったキャンペーンを月3回以上も展開している大手コンビニエンスストアもいる。公式アカウントをフォローしてリツイートすると、抽選でチキンやパフェなどの自社の新商品がもらえるキャンペーンだ。

また地銀では、口座を開設して専用アプリでプッシュ通知を受け取る登録したり、紙の通帳から電子通帳に切り替えたりしたらコンビニ商品がもらえるキャンペーンを行っている。これは、MDPのプチギフトを自社アプリに組み込むASP(アプリケーションサービスプロバイダ)として利用した例だ。

オフラインイベントでデジタル景品

星田洋伸(ほしだ・ひろのぶ)さん
エムディービー(MDP)代表取締役社長 1990年に山一証券入社、子会社でSEを経験。94年に携帯事業者の東京デジタルホン(現ソフトバンク)に転じ、藤原紀香さんを起用した「J-フォン」の広告宣伝を担当。2004年に携帯業界を離れ、食品商社の西本貿易(現・西本Wismettacホールディングス)の社長室事業戦略課長で国内外事業を統括。06年にモバイルコンテンツのMTI(エムティーアイ)上席執行役員となり携帯業界復帰。07年にMTI広告子会社のテラモバイル社長。09年に独立してMDパートナーズ創業(20年1月にMDPに社名変更)

企業がどのように使って、利用率がどの程度なのか、星田社長に尋ねると、「スマホアプリを例にとると、『加入促進』、『利用頻度アップ』、『解約阻止』を目的にプチギフトをそのアプリに組み込み、定期的に趣向を変えたキャンペーンを実施しているケースが多い。キャンペーンの反応については、従来の紙のクーポンの引き換え率は30%前後と言われていたが、プチギフトでは多い時に90%以上になる」と販促効果をアピールする。アプリのMAU(月間アクティブユーザー数)をアップしたい場合など、プチギフトを活用した施策が威力を発揮する。

河野結城(かわの・ゆき)さん
MDP取締役、クレジットカード会社JCBに2000年入社。加盟店の新規事業企画を担当し、電気料金のクレジットカード払いを実現するプロジェクトに参加。マーケティング企画部では主に団塊世代向けのCRMなど担当。テラモバイルに転じ、07年に韓国で評判のO2O施策をヒントに紅茶飲料購入でデジタルコンテンツをプレゼントする企画を主導、MDパートナーズは設立時から参加。

MDPの河野取締役は「LINEで友だちになったり、アプリをダウンロードして起動したりという利用が大変多くなっている。こうした条件判定で少額のお礼を大規模に配りたい時にプチギフトは適している」と話す。

最近では、新型コロナウイルスの感染拡大防止でリアルイベントを中止し、オンラインイベントに切り替えると会場で景品を手渡せないので「プチギフトをデジタル景品として提供したいという問い合わせを受けている」(河野取締役)そうだ。

星田社長は「毎月100万件のデータがMDPに集まる。どういう人がどんな商品だと反応するかがわかり、季節やエリアで次はこんな商品がいいと提案できる」と言う。ただ河野営業部長は「要望を受けて(データ分析を)出しているが、使いこなすには(企業側も)もう少し時間がかかりそう」という印象を持っている。分析にどのくらいの労力をかけるべきなのか、MDPもプチギフト利用企業も試行錯誤が続いている。

発想の原点はガラケー時代の「着メロ」「着うた」

2009年にMDPを起業した星田社長。プチギフトをスタートするきっかは、フィーチャーフォン(ガラケー)時代にさかのぼる。1994年から2004年まで携帯電話事業者で広告宣伝やマーケティング戦略部門に従事。モバイルコンテンツ企業のMTI子会社に転じた07年から08年にかけて、紅茶飲料やチョコレート菓子を購入したら「着うた」や「着メロ」をプレゼントする販促手法をどこよりも早く手がけた。

「この時、逆にお菓子を販促商品にできないかと考えた」(星田社長)。これがプチギフトの発想の原点になった。創業年の09年にセブン-イレブンでクーポン券の取り扱いが実現し、公式サイトで会員登録するとコーヒーがもらえるキャンペーンを打った。翌10年にはファミリーマートと取り引きを開始し、大手アルコールメーカーや保険会社のキャンペーンに採用された。

「プチギフトの利用が増えたのはスマホになってから」と星田社長。ガラケーの画面は小さく、バーコードやQRコードをうまく表示できなかったので、スマホが広く普及したのは追い風だった。「会員アプリの利用促進で、ほぼ全ての業界がMDPの仕組みを使い始めている」と言う。

クーポン運営サービス「オートクーポンfor SHOP」を新投入

プチギフトのツイッターアカウント数は3月10日に22万人を超え、キャンペーンを発信する媒体に育ってきた。アカウントのフォロワーが少ない企業でも、プチギフトを使ったキャンペーンなら強力に支援できる。

さらにMDPは3月23日から、駅ビルなどの商業施設やショッピングモール、チェーン店、観光施設、地域金融機関などのアプリやウェブに組み込むサービス「オートクーポンfor SHOP」を始めた。オートクーポンが提供する管理画面から各店舗が自由にクーポンを発行し、商業施設などの運営企業はアプリやサイトに店舗のクーポンを集めて配布できる。運営側は特別な作業が不要で、クーポン審査など含む事務局はMDPが代行する。第一弾として、京都銀行がリリースと同時に利用を開始しており、地域活性化に一役買っている。

星田社長は「コロナ禍でもテイクアウトやECなどに適したクーポンを配布できるよう改善しリリースした。これにより地元企業にとってさらに有益なサービスとなっている」。これを使えば、ナショナルブランドの商品だけでなく、地域限定クーポンで地元の特産品をアピールできるなど可能性が広がる。「コロナ禍で苦労されている店舗を応援する仕組みとしても、ぜひ使ってほしい」と星田社長は話している。

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