ランディングページをWeb接客ツールで強力パワーアップ、Sprocketが目指す “誰も迷わないサイト” とは
ユーザーのプロフィールや行動にあわせ、さまざまなパターンで情報提示を行う「Web接客ツール」の1つ、「Sprocket」が進化している。データマーケティング&サイエンスチーム プロデューサーの馴松直紀氏に、ランディングページ向けWeb接客の新パッケージ「Sprocket for LP」や今後のバージョンアップなど、同社の目指すビジョンを聞いた。
※文中ではツール名を「Sprocket」、社名をSprocket(括弧なし)として表記しています。
ユーザーのプロフィールや行動にあわせ、さまざまなパターンで情報提示を行う「Web接客ツール」。従来は、定型的な応対が主流だったが、ユーザーを深掘りしそのときどきのニーズに応え、最適な導線を提示したり不安を払拭したり、積極的にKPI(申し込み率、フォーム離脱率など)の改善を図ったりする手法が、ここ最近は主流になっている。
株式会社Sprocketは、株式会社ゆめみの新規事業として、2014年4月に分社独立。Web接客ツール「Sprocket」(スプロケット)を提供している。「Sprocket」は、“顧客を育成する”という観点から、Web接客手法を使い、コンバージョン最適化を自動化するプラットフォームだ。カスタマージャーニーに合わせてユーザーがアクションしやすい流れを「接客シナリオ」として設定し、さまざまなタイミングによりポップアップ表示を行い、期待するアクションに誘導するという。
そして今年4月からは、LP(ランディングページ)に特化した新パッケージ「Sprocket for LP」の提供を開始している。Sprocket データマーケティング&サイエンスチーム プロデューサーの馴松直紀氏に、その狙いを聞いた。
Web接客とは、「おもてなし」をデジタルで表現すること
――Sprocketが設立された背景を教えてください。
馴松氏(以下、「馴松」と表記):もともとの事業は “日本古来の「おもてなし」をデジタルで表現すること” を目指してスタートしました。分社化前は、ゲーミフィケーションの手法も採り入れつつ、顧客と企業の間に入っておもてなしを表現できるサービスを作っていたのですが、最終的には、ナビゲーションに特化したWeb接客プラットフォームとして、「Sprocket」の開発に至りました。
当社代表の深田(ゆめみ、Sprocketの創業者である深田浩嗣氏)が京都出身ということもあり、単純な親切だけではない “おもてなし” の気持ちや所作、もてなす側・もてなされる側の機微や成長のようなものを表現したいという考えがあります。もてなす側・もてなされる側の間に立って、デジタルで双方を繋ぐというのが「Sprocket」の位置付けです。
――「Sprocket」は、どのようなことができるのでしょう?
馴松:商品紹介や機能ガイドなど、サイト内のさまざまなシーンやタイミングにおいて、ポップアップ掲出が可能です。また、それらの行動データの収集分析やABテストの機能も用意されています。シナリオ作成は基本的に依頼に応じて当社側で行いますが、ビジュアルプログラミングライクなシステムを採用し、シナリオは柔軟に作れます。
「Sprocket for LP」誕生の背景
――「Sprocket」はいつ頃から提供開始したのですか?
馴松:2015年頃からWeb接客にフォーカスしたツールとして「Sprocket」の提供を開始しました。その後もさまざまな改善や機能追加を行っており、累積で約200社の企業様に導入いただいています。また今年1月にはECサイトのCVRアップに特化したパッケージ「Sprocket for EC」、そして4月にLP(ランディングページ)改善に特化したパッケージ「Sprocket for LP」の提供を開始しています。「Sprocket」自体は、基本的なWeb接客の機能をほぼすべてカバーしているので、それをジャンルや目的に応じて打ち出した形です。
――特化型のパッケージをラインアップした理由を、もう少し詳しく教えてください。
馴松:「Web接客ツール」というサービスは、実はまだまだ認知されていません。単語は知っているけれども、具体的な機能や用途について知らない人も多い。サービス内容をイメージしてもらえないギャップを、当社では感じていました。そうしたなかで、LPに「Sprocket」を導入したら成果が上がったというお客様が増えてノウハウも鉄板化してきたので、LPに特化したパッケージを用意すればイメージしやすくなるのではないかと感じ、「Sprocket for LP」の提供を開始しました。「Sprocket for EC」との違いでいえば、間口を絞ったことで、さらにイメージしやすくなったのではないかと思います。
資料請求率が20%アップ、「Sprocket for LP」の実力
――「Sprocket for LP」では、実際にどのようなことができるのでしょう?
馴松:基本的にはWeb接客ツールですので、サイト訪問者に向けて、ポップアップなどで最適な情報を表示していきます。たとえば、フコク生命様では、学資保険のLPへ導入いただきました。ページ閲覧を開始すると、タイミングを見計らって、「なぜ当社の学資保険が選ばれるのか」というポップアップを表示します。
ここで、より深く知りたい訪問者がポップアップ内のボタンをクリックすると、サービスの体制などを説明したページに移動します。さらにこちらのページでは、「当社が大切にしていること」というポップアップで、契約者配当への考えなどを説明したページへのリンクを用意しています。この契約者配当への考えを説明したページでは、「資料請求」と「学資保険のページに戻る」という選択肢のあるポップアップを表示し、ここで企業理念に共感してもらえれば、すぐに資料請求もできるし、あらためて学資保険の内容を見直したければ、元のページに戻ることも可能にしています。
もともとフコク生命様では「コンバージョンを上げたいが、学資保険の魅力をどう伝えてよいかがわからない」というのが悩みでした。そこで、「LPの中をただ移動するのではなく、サイト内を回遊し、信頼を深めていただく」という提案を行いました。「商品内容を詳細に説明する・訴求する」という手段もありますが、訪問者が気にしているのはそこだけではない。「どういう企業であるかを理解していただき、信頼できるかどうかを判断していただこう」という、ユーザー目線からの提案です。実際に、ABテストの結果では、資料請求率が20%アップしました。
――信頼してもらうためのコンテンツを新たに加えるのではなく、サイト内を回遊してもらって信頼を深めてもらうというのは、おもしろいですね。
馴松:相手企業様も、最初は意外な提案と思われたようです。LPは1ページで完結しているので、なかなか外に広がらない・広げないという思い込みがあるんですね。そこでWeb接客ツールを使うと、既存コンテンツとの組み合わせで、広がりを持たせることができるわけです。
LPの可能性をWeb接客の機能で広げる
――「Sprocket for LP」の特徴はなんでしょうか?
馴松:「Sprocket」は既存のサイト内にタグを埋め込むだけで利用可能です。そのため、サイトを改修せずに導入や検証ができるのが特徴です。とくに「Sprocket for LP」は、実績のあるLP向けシナリオ(外部サイト提示型・LP内回遊型・申し込み時の離脱防止型)をすぐ利用できるので、精度の高い、すばやい改善が期待できます。
シナリオ実装や運用は、当社のプロデューサーが支援いたします。接客シナリオの立案・設計、テキストライティング、Sprocket上での設定、運用におけるデータ分析・レポートといった作業は当社側で行います。また、顧客対応チームとデータ分析チームの双方が運用・分析・改善に当たります。プロデューサーには、大手Webサイトの開発者、UI/UXのスペシャリスト、越境ECの経験者、そしてLPの専門家など、さまざまなタイプがいます。こうしたプロデューサーたちが、これまでのノウハウをもとに、シナリオを丁寧に作り上げているのも、特徴と言えるでしょう。
――他にはどういった活用事例がありますか?
馴松:化粧品の販売サイト様では、ナビゲーションパネルのように使っています。
こちらはサイト回遊ではなく、LP内のコンテンツを案内するという使い方です。 画面スクロールを行っていったときに、ある画像が表示されたら、そのタイミングでポップアップ表示を行うんですが、その中に複数のボタンを配置して、メニュー的に使っています。スマートフォンの画面だと、どうしてもページが長くなってしまうので、移動しやすくするためです。ページ内を好きな順番で見ても迷わないし、いつでも戻ったり購入ページに飛んだりできるようになってます。
2018年 夏~秋に大幅機能強化、ヒートマップ分析にも対応予定
――今後の機能追加やバージョンアップの予定などをお聞かせください。
馴松:「Sprocket for LP」は、Web接客ツールである「Sprocket」を使ってLP改善のシナリオを作っているものなので、まずは管理画面のUIのバージョンアップを行いたいと考えています。やはり一般のお客様にとって、シナリオ作成はハードルが高い。クーポンのポップアップ1つをパッと出すぐらいなら簡単ですが、きちんと訪問者を誘導する複数シナリオを作るのは大変です。それを管理画面のUIをバージョンアップさせることで低減したいと考えています。
もう1つは「ヒートマップ分析」(β版)の機能も組み込むことを目指しています。 ヒートマップ分析はLP内のユーザー滞在時間、LP内の離脱ポイントの可視化に対応するものです。
たとえば、「この画像以降が見られていないから、この箇所を改善しよう」「このタイミングで離脱しているユーザーが多いから、ここでポップアップを出そう」といった判断が可能です。これにより、分析からシナリオ改善までを1つの管理画面で行うことが可能で、ここはSprocketの強みだと思います。 またヒートマップも含め、分析機能の強化を進めており、管理画面の UI 改善を含めたバージョンアップは今年の秋から順次公開していく予定で進めています。
――「Sprocket for LP」はどういった企業様におすすめでしょうか?
馴松:LP自体はどの会社様も持っていますし、皆さん同じような課題を抱えています。LPは1ページであるがゆえに、どのタイミングでどういうコンテンツを出すかが非常にシビアです。一方で「Sprocket for LP」が成果を上げる精度も高まっています。LP改善に悩んでいるマーケ担当者、運用者様に、自信を持ってご提案できます。
「ちゃんと説明しないといけないサービス」「深く理解してほしいサービス」、たとえば銀行や金融機関と「Sprocket」は親和性が高いと思います。また、LPの改善シナリオは1度に複数ステップを作成できるので、複雑な内容もちゃんと説明できると思います。
――ありがとうございました
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