【レポート】Web担当者Forumミーティング 2018 Spring

MAやレコメンドをAIで最適化するために必要な、“線”や“面”で行動する顧客データの統合

顧客1人ひとりに最適なアプローチを行うための、顧客中心のデータ設計・活用のポイント
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顧客の購買行動が多様化するなかで、顧客を知り、1人ひとりに最適なアプローチを行うための「データ活用」の重要性は高まるばかりだ。顧客中心のデータ設計・活用のポイントとは。

山田賢治氏
アクティブコア
代表取締役社長
山田賢治氏

「顧客は、点ではなく線や面で行動している」──「Web担当者Forumミーティング 2018 春」に登壇したアクティブコアの山田氏はそう述べ、MA(マーケティング・オートメーション)のシナリオ設計のポイントや、Web行動履歴と顧客データを統合しMAやレコメンドにAIを活用する方法など、デジタルマーケティング基盤構築のポイントについて解説する。

行動履歴と顧客データを紐づける

データウェアハウスの提案・設計・開発・構築などに長く携わってきた山田氏は、マーケティング最適化のために求められているものとして、「Web行動履歴と会員データを統合したデータ分析のための基盤構築」があると述べた。

たとえば、旅行会社のサイトでいえば、サイトを利用する顧客の行動と、それに対する企業のアプローチは以下のようになるだろう。

  • 会員予約
  • ツアー予約
  • 旅行に出かける
  • 旅行後、帰ってきてからフォロー
  • 次の旅行へ

これを、コンバージョン(CV)で捉えるといくつかのポイントがあることがわかる。

  • 会員予約
  • ツアー予約
  • アプリダウンロード
  • ツアー検索

このようなCVポイントを捉え、「顧客起点」のマーケティング施策を行うために、会員データ、POSデータや、その他の社内に散在するデータを統合する基盤整備に取り組む企業が増えてきた。

デジタルマーケティング基盤構築においては、「行動履歴と顧客データの紐づけがポイント」だと山田氏は述べる。

たとえば、ECサイトなどでは、顧客が会員登録や購入をした段階で「誰」であるかがわかる。そして、それ以前のWebサイト訪問で得られたCookieデータと会員IDを紐づけることで、購入前の顧客の行動を知ることできる。

購入や会員登録前の行動を知ることが大事だ

また、代表的なBtoB営業では、イベントに参加した見込客から名刺をもらい、フォローアップメールなどを通じて自社サイトに訪問したユーザーのCookieデータと顧客データを関連づける。その顧客の行動、たとえば、資料ダウンロードやサイトへの再訪問などのたびに自社に蓄積するデータが増えていく。

重要なのは、最初に出すフォローアップメール。ここで開封・クリックしてもらわなければ、データを紐づけることができない。したがって、メール施策はいかに開封してもらうかに注力すべきだ(山田氏)

BtoB営業では、イベント後の最初のメールが重要だ

可能な限り顧客中心にデータを設計する

ここで、山田氏はデータ設計のポイントを解説した。

企業が従来行っていたデータ管理は、オーダー番号や受付日時、金額、商品コードなど、トランザクションデータを中心に考えられており、顧客マスターデータなどの属性情報は周辺に置かれていた。また、プライベートDMPやMAシステムを利用する際にも、ベンダーによっては固定のデータフォーマットに仕様をあわせるよう求められる場合がある。

一方で山田氏は「可能な限り顧客中心にデータを設計すること」を提唱する。また、拡張性を考えると、自社データのフォーマットにあわせた方がよい。すなわち、顧客マスターを中心にデータを設計し、下記のようなデータを紐づけていく。

  • トランザクションデータ
  • Web行動履歴
  • メール配信履歴
  • アプリ利用履歴

これにより、新たな情報を加えるとき柔軟にアドオンしていけるため、拡張性も高くなるのだ。

顧客マスターを中心にデータ設計をしていく

特に、スモールスタートしたいと考える企業は、連携するデータを最小限にしたいと考えるケースが多い。しかし、「実施するのに必要なデータは、最初の段階で拡張後を考慮した要件としないと、後から追加する際にコストと時間がかかる場合がある」と山田氏は指摘する。

顧客のLTVを高める3つのMAシナリオ

続いて山田氏は、MAにおけるシナリオとレコメンド設計のポイントを示した。

ここでのポイントは「アプローチの設計は、効果測定をどのポイントで、どのタイミングで、どのツールで行うかを必ずセットで設計すること」だ。もちろん、評価指標も定義しておくことはいうまでもない。

その上で、山田氏がオススメするのが、「初回購入からリピート購入までの経過日数に応じたシナリオの設計」だ。

初回購入からリピートまでの経過日数を見ると、一般的には1年以上反応しない顧客を休眠顧客扱いとしている場合が多いが、休眠になってからでは遅い。そこで、90日経過までのシナリオ、180日経過までのシナリオ、そして、180日以上経過した休眠顧客向けのシナリオというように、分けて施策を実施するとよい(山田氏)

シナリオを分けることで、実際にリピート購入数がアップした事例がある

代表的な施策例には3つある。

施策例① 会員登録後のステップメール

1つめは、会員登録後のステップメールだ。会員登録後に、下記のようなステップメールを送る。

  • お探しの商品は見つかりましたか?
  • あなたへのオススメはこちら
  • 特別なクーポンはこちら

反応を見ながら顧客の嗜好を機械学習で分析し、レコメンドの精度を上げていき、クーポンやLINE施策などにつなげていくのがポイントだ。

施策例② リピートを引き上げるためのステップメール

2つめは、初回購入から90日経過までの施策としての、リピートを引き上げるためのステップメールだ。

オススメ商品をレコメンドし、Webサイト訪問した顧客には、閲覧履歴からリマインドメールを送る。開封した顧客にはレコメンドメールや期間限定クーポンなどのメールを2週間繰り返し、再購入を促していく。

施策例③ ロイヤル化のシナリオ

3つめは、ロイヤル化のシナリオだ。これは、2回目購入を起点に「レコメンドをメインとしたシナリオをスタートさせる」ものだ。

レコメンドをクリックしたら、すかさずアイテムのリマインドを送り、購入したら次のシナリオへ移行するというように、顧客接点(線・面)を増やし、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を高めていくのがポイントだ。

ここまでが、山田氏の提唱する顧客のLTVを高める3つのMAシナリオだ。

その他にも、顧客接点を増やすためには、メールベースで行っていたアプローチをLINEで行い、メールでアプローチできない層や若年層をカバレッジする施策がある。

さらに、カートに投入したものの購入されなかった商品のリマインドメールを送り、そのメールについて開封があったか、サイト流入があったかに合わせて、後日さらにリマインドメールやレコメンドメールを送る「かご落ちレコメンドメール」や、店舗購入後に、Webで会員登録を促し、店頭誘導をフォローする施策などもある。

これらを組み合わせ、顧客接点(点、線)を増やし、コンバージョンを高めていくのだ。

施策、シナリオ単位でLTV分析

施策の効果測定について、山田氏は「最近は、施策単位やシナリオ単位でLTV分析を行うことが多い」という。下記のようなさまざまなチャネルにおいて、シナリオ、キャンペーンごとにLTVを分析していくものだ。

  • 広告
  • メール
  • SEO
  • ソーシャル
  • アプリ
  • 店舗

「どの施策が効果があるのか、複合的に施策を組み合わせたいときに有効だ」(山田氏)

AIでレコメンドの精度を高める

続いて山田氏は、デジタルマーケティング基盤におけるAIと、それを支えるディープラーニング技術について解説。AIを活用してデータを分析することで、Webサイトに訪問したユーザーのうち「購買、CVしそうなユーザー」を予測、自動抽出することが可能だと述べた。

役職や、どのページを見たかという閲覧履歴、接触イベントなどに応じ、AIが導き出した特徴量(CVに貢献したスコア)に基づいてスコアリングを行い、購買・コンバージョンしそうな顧客を自動抽出する(山田氏)

AIが導いたスコアに応じて、コンバージョンしそうな顧客を自動抽出していく

この「特徴量」はAIが決定するものだが、山田氏は「CVしない顧客の属性や行動データから、特徴を見つけ出している。そして、実際にCVしたかどうかという『正解データ』との誤差から特徴量を自動的に更新(学習)していく」と説明する。

こうしたAI活用は、たとえば顧客の嗜好に基づいたレコメンド施策にも応用される。性別や年齢、閲覧履歴、購入履歴などの顧客データから特徴量をデータ化しておき、特徴が類似するユーザーを抽出し、レコメンド商品を決め、レコメンドを行うのだ。

実際の事例でも、顧客データに加え、閲覧時間や購入価格などのデータを加えていくことで、レコメンドされた商品のCV率が高まる傾向が見られたという。

オススメ商品のレコメンドにも、顧客や商品の絞り込みにAIが活用されている

また、別の切り口では、閲覧や購入履歴だけではなく、商材の説明文から類似性を評価してレコメンドする「自然言語処理レコメンド」がある。

これは、たとえば「宿」「温泉」「流し」「源泉」といった商材の説明文にある特徴的な単語から、距離の近い単語を抽出。「一致率が高い単語を多く持つ商材をレコメンドする」というものだ。

この施策の利点は、履歴データがなくても、すぐにレコメンドができる点だ。さらにパーソナルレコメンドと組み合わせて、レコメンド精度を向上させることができる。

特徴単語と近い単語から何をレコメンドするかを決めていく

ほかには、メールの配信時間を「顧客に最適なタイミングに最適化する」ことで開封率を高めた事例もある。「12時に一斉配信したときの開封率は19.7%だったが、顧客ごとに1時間単位で配信時間を調整、最適化したところ、開封率は29.7%まで向上した」と山田氏は説明する。

また、これらの施策の効果を検証する際のA/Bテストにも、AIを活用することで検証サイクルが短くなり、施策のPDCAを高速で回していく効果が期待できる。MAのシナリオ単位で効果を検証し、成約に至るまでのパターンや特徴を数多く見つけ出すことが成功のポイントだという。

購買やCVしそうな顧客を予測し、自動アプローチしてくれるマーケティングプラットフォーム

アクティブコアが提供しているツール「アクティブコア マーケティングクラウド」は、プライベートDMPとMA、そしてAIが実装されたマーケティングプラットフォームだ。

「Pythagoras(ピタゴラス)と名づけられたAIエンジンは、予測、見込客発見、レコメンド、自然言語処理、画像認識(開発中)の機能を備えており、作成した分析モデルをレポート作成やMA、レコメンド(Web、メール、アプリ)と連携させることができる。

アクティブコア マーケティングクラウド

Webターゲティング設定や、Webレコメンド、Webアナリティクス、MAなどが統合された管理画面で一元管理でき、特に「レポートビルダー」という機能を用いれば、ドラッグアンドドロップで任意のレポート作成を自動化、マーケターの省力化にも寄与するという。

山田氏は最後に下記のように呼びかけ、セッションを締めくくった。

AIの仕組みを理解して、使いこなすために、分析・MA・レコメンドが統合されたクラウドのプラットフォームを活用することも有効な選択肢。Webや店舗などのデータを統合し、AIによる施策最適化やマーケターの業務効率化を実現して欲しい。

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