【レポート】Web担当者Forumミーティング 2018 Spring

マーケター1,000人への調査でわかった、広告アロケーション最適化2つの重要ポイント

コミュニケーションを「設計」し、多様化する購買活動のストーリーを「計測」することが最適化のカギ
[Sponsored]

現代のマーケティング手法にあわせた広告費のアロケーションを行い、広告費の無駄を削減し、最適化するために必要な2つのポイントとして、Web広告の「設計」と「計測」を解説。

デ スーザ・リッキー氏
株式会社ロックオン
マーケティング部 部長
デ スーザ・リッキー氏

マーケターは自社のWeb広告を最適化したいと考えている。しかし、「Web担当者Forumミーティング 2018 春」に登壇した株式会社ロックオンのデ・スーザ氏は、マーケター約1,000人を対象とした調査の結果、「広告費が増えている企業とそうでない企業との間で、最適化のポイントが違うことがわかった」と述べた。

Web広告費が増えている会社とそうでない会社にはどんな差がある?

デ・スーザ氏は、広告効果検証プラットフォーム「アドエビス(AD EBiS)」や、ECプラットフォーム「EC-CUBE」などを手がける株式会社ロックオンで、アドエビスのマーケティングに従事している。

デ・スーザ氏は、マーケティング・Webプロモーションに従事する管理職、担当者(約1,000人)を対象に同社が行った「Webマーケティング活動に関する調査」の結果から、企業のWeb広告費の動向について紹介した。

調査項目① 金額動向

1つめのポイントは「金額」の動向だ。Web広告費に月額いくらかけているかという問いに対するボリュームゾーンは「月額100万円から300万円」という傾向が読み取れたという。

また、Web広告費を増やしている企業に共通した特徴として、全業種において、従業員数が増えると広告費が増える傾向があったという。

社員数が30人を超えると、Web広告費に月額50万円以上使う企業が全体の50%を超え、その後は増加の一途をたどっていく(デ・スーザ氏)

企業規模が社員数30名程度になると、月額50万円規模のWeb出稿が本格化していく

調査項目② 3年前と比べてWeb広告費が増えたか

2つめのポイントは「Web広告費は3年前と比べて増えたかどうか」だ。これについても、月額100万円以上使っている企業の割合は、3年前とくらべて増加傾向にあるという。

これらの結果から、デ・スーザ氏は以下のように総括した。

  1. 社員数30人程度からWeb広告費が増加し、その後拡大の一途となる
  2. その場合、月額100万円~300万円がメインゾーンとなる
  3. Web広告費は基本的には増加傾向にある

広告費が増えた企業と増えない企業の3つの違い

さらに、広告費が増えた企業と、増えない企業との間にどんな違いがあるかについて、デ・スーザ氏は調査結果から考察を加えた。

比較調査① 重視している成果(CV)ポイント

1つめのポイントは、重視している成果(CV:Conversion)ポイントの違いだ。重視するCVポイントと広告費の増減をクロス集計したところ、広告費が増えている企業と、増えていない企業との間には、明確な違いがあることがわかったという。

広告費が増加傾向にある企業で重視しているCVポイントは、下記のようなものだった。

  • 来場予約
  • メルマガ登録
  • 会員登録

一方で、Web広告費が増えていない企業では、下記のようなポイントが重視されていた。

  • 問い合わせメール
  • 電話

前者はユーザーにとって敷居の低いアクションだが、後者はユーザーにとって敷居が高い。広告費が増えている企業は、敷居の低いアクションで、ユーザーとの接点を持つことを重視していることがわかる(デ・スーザ氏)

広告費が増えている企業は、ユーザーにとって敷居が低いCVポイントを重視している

比較調査② CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition)

2つめのポイントは、CV単価である「CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition)」だ。これについても、広告費が増加傾向にある企業は、目標CPAを相対的に高め(高額)に設定していることがわかった。

広告費が増えている企業は、目標CPAを相対的に高く設定している

なぜ広告費が増えた企業は、目標CPAを上げることができるのだろうか。デ・スーザ氏はこう述べる。

広告費が増えていない企業は、メールや電話での問い合わせなど、すぐに営業案件化しやすい見込み客を安価に獲得することに注力する傾向がある。一方、広告費が増えている企業は、育成の概念が強く、獲得した見込み客を育成して、案件化につなげる傾向が強い(デ・スーザ氏)

広告費が増えた企業と、増えていない企業では、Web広告の「設計」が異なる

比較調査③ Web広告の何を評価しているか

こうしたWeb広告の「設計の差」を裏付けるような結果も見られる。それが3つめのポイントである「Web広告の何を評価しているか?」という点だ。

広告費が増えていない企業は、短期的な施策に注力することから、インプレッションやクリック、リーチ、フリクエンシーといった「媒体評価」を重視する傾向が強い。

一方、広告費が増えている企業が重視するのは、ROI(投資利益率)やROAS(広告費用対効果)などの「ヒトとカネ」だ。

広告費が増えた企業と、増えていない企業ではWeb広告の「計測」も異なる

広告費が増えていない企業が見ているのは「獲得」の部分だけだ。これに対し、広告費が増えている企業は「認知」「興味喚起」「獲得」までの全体を見ている。この差が、見込み客1人を獲得するための費用対効果や効果のある経路(勝ちパターン)を発見できているかどうかの違いにつながっている(デ・スーザ氏)

広告費の最適配分には「設計」と「計測」を見直す必要がある

では、広告費の最適なアロケーションには何が必要か。それは「設計」と「計測」だ。

  • 設計
  • 計測

「設計」とは、認知から購買までをストーリー化し、中・長期的なユーザー育成を考慮したコミュニケーション「設計」を行い、それらを勘案した成果ポイントの設定を行うことを指す。

また、顧客は、広告を見て即座に「買おう」とはならない。情報収集のためにいったん離脱し、最終的に戻ってきて購買する。購買行動のストーリーは多様化しており、CVまでの経路をきちんと「計測」し、数値化していくことが不可欠だ。

広告費の最適なアロケーションには「設計」と「計測」を見直す必要がある

ツール導入で広告改善を実現するための2つのステップ

続いて、CVまでの経路をきちんと計測し、数値化していくために必要な手法が解説された。Web広告の効果測定には2つの課題があるという。

  1. CVの重複
  2. CPA評価の機能不全

1つめの課題は「CVの重複」だ。ユーザーはCVに至るまでに複数の広告を経由しているので、正しい効果測定が難しい。

2つめの課題も、1に関連した「CPA評価の機能不全」だ。最終CVから行うCPA評価では、CVに直接貢献した広告は評価できるが、それまでに閲覧した広告は正しく評価されない。

これをサッカーの例で考えてみると、顕在層広告は「最終的にゴールを決めた人」で、潜在層広告は、「その前にボールに触れ、ゴールを決めた人にパスを出した人」だ。しかし、CPA評価では、ゴールを決めた人だけが評価されることになる。

CPA評価は、複数のチャネルや広告をまたがった評価に適していないため、現代のプロモーション施策を正しく評価することが難しい(デ・スーザ氏)

デ・スーザ氏は、アトリビューション分析(広告の貢献度を横断的に評価するための分析)を行わなかった失敗例を紹介した。実際に某企業で、直接CVに貢献した広告以外の出稿を取りやめたところ、アシスト効果が失われ、結果として全体のCV数が下がってしまったという事例があったのだ。

そうした失敗を繰り返さないためには、現代のマーケティングにあわせた評価方法が必要だ。すなわち、「CVの重複」という課題に対し、CVに至るフローを可視化し、アシスト(間接効果)の存在を可視化することが大事となる。

また、「CPA評価の機能不全」という課題に対しては、新しい評価指標を導入することが求められる。たとえば、従来のCPA評価では、最終CVに貢献しない媒体は出稿停止対象という評価となるだろう。

これを、CVフローに沿って、貢献したすべての広告を評価する評価方法に変え、CVを接触した数で按分し、間接効果を含めたCV貢献度をコスト換算することで、従来の評価方法では見えなかったコストが可視化可能だ。

CVフローの可視化と評価指標を変えることで、間接効果が評価できるようになる

ツールを利用して広告を改善する

デ・スーザ氏は、ツールを利用した広告改善の一例として、株式会社ロックオンが提供する広告効果検証プラットフォームのアドエビスを利用した広告改善の方法を解説した。

ステップ① 課題の抽出

ステップ1は「課題の抽出」だ。リスティング広告において、直接・間接CVの高いキーワードを見つけ、当該キーワードの掲載順位が低い場合は入札を上げ、掲載順位を上げる。

一方、バナーやフィード広告も、直接・間接CVの高いキーワードを見つけ、当該広告へコストをアロケーションし、別のクリエイティブや表現などに挑戦していくことで、さらにCPAを改善していく。

ステップ② 余剰予算活用によるトライアル

ステップ2は「余剰予算活用によるトライアル」だ。ステップ1の無駄の削減から抽出された予算の一部をトライアル施策に配分する。

この2ステップのPDCAを繰り返すことで、Web獲得効果の最大化につなげていくのだ。

現在の予算の範囲で、Webプロモーションの効果を改善することが可能になる

デ・スーザ氏によれば、「2~3カ月で改善効果が出てくる」とのことだ。ある企業の事例では、広告費の無駄を20%改善し、その分の予算を新たな施策であるFacebook広告に配分することで、同じ広告費で見込客の獲得数を増やすことができたという。

CPAを改善できれば、マーケターは全体の獲得予算を増やすようマネージャー層と交渉できる。そのためのツールとして、アドエビスは正しいコストアロケーションの実現を可能にするだけの信頼に足る実績がある(デ・スーザ氏)

とはいえ、Web効果測定ツールを入れれば、Web広告の課題をすぐに解決できるかといえばそうではない。大事なことは、ツール導入をきっかけに、Web広告の「設計」「計測」に真剣に取り組むことだ。高い広告効果を示す企業の「勝ちパターン」をトレースすることで、広告改善のPDCAが回るようになる。

デ・スーザ氏は最後に、「会場の皆さんには、今日、示した客観的な数字をもとに、改めて、設計、計測について考えてほしい」と述べ、プロモーション改善に役に立てることがあれば気軽に相談してほしいと会場に呼びかけた。

[Sponsored]
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

リテンション
既存顧客との良好な関係を保つこと。それを目的とした施策を、リテンションマーケティ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]