【レポート】Web担当者Forumミーティング 2018 Spring

データサイエンティストが語る! CVR向上に効く顧客インサイトをデータから得る方法

「観察」と「コミュニケーション」の繰り返しで顧客インサイトを得る。
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マーケティングには「顧客インサイト」が重要。そしてデータから顧客インサイトを得るには、「観察」と「コミュニケーション」の繰り返しが必要だ。

佐藤洋行氏
ブレインパッド
マーケティングプラットフォーム本部
副本部長 チーフデータサイエンティスト
佐藤洋行氏

「Web担当者Forumミーティング 2018 春」に登壇したブレインパッドの佐藤氏は、「データサイエンティストが語る! 施策に活かせる顧客インサイトをデータから得る方法」と題し、顧客を知り、最適なアプローチ方法を探るために必要な「顧客インサイト」をデータからどのように得たらよいか紹介した。

マーケティングにおけるデータ活用というと、AIや機械学習を駆使し、マーケティング施策の運用を効率化、自動化していく話にばかり目が行きがちだ。しかし、そもそものマーケティング施策が的外れでは効果を挙げることはできない。

佐藤氏は、データ分析、活用を通じて500社以上のマーケティング支援を行うブレインパッドで、自社サービスの開発から営業までを担当し、データ分析・活用に約20年間、従事してきたデータサイエンティストである。佐藤氏は「正しいターゲットに対する、正しいアプローチの発見にデータを活用して欲しい」と述べた。

インサイトとは「顧客がどんな人なのかを知ること」

佐藤氏は「データを使ったマーケティングの高度化に“顧客インサイト”の活用は欠かせない」と述べる。

顧客インサイトとは「顧客の深層にある意識についての理解」のことだが、マーケティング領域では「顧客がどんな人なのかを知ること」だといえる(佐藤氏)

では、顧客を知るとはどういうことだろうか? たとえば、直接会った人であれば、外見や話の内容などからどんな人かを類推し、さらにコミュニケーションすることでその類推を確認していくことが可能だ。つまり、「観察」と「コミュニケーション」を繰り返すことが、顧客インサイトを得るための唯一の方法だと佐藤氏は述べる。

そして、データを使って「観察」「コミュニケーション」を行うには、分析技術を学ぶ前に、正しい考え方・正しい分析手順を知ることが大事だという。

まず、データを通じた「観察」のフェーズは、下記の3つのステップからなる。

<データを通じた「観察」フェーズの3ステップ>
  1. 顧客視点のデータを集めて可視化する

  2. 単純な仮説でユーザーをグループ化しボリュームなどを見る

  3. 各グループが好むコンテンツの内容からインサイトを類推する

ステップ①顧客視点のデータを集めて可視化する

Web上の顧客には、マーケターが直接会い、観察することはできない。そのため、データを通じて観察することになる。佐藤氏によると、Webマーケティングで扱うデータには2つあるという。

  • コンテンツ視点のデータ

  • 顧客(ユーザー)視点のデータ

1つは、広告効果測定やアクセスログ解析結果などから得られる「コンテンツ視点のデータ」だ。そして、2つめは、DMPやCDPなどが保有する、ユーザーIDやCookieデータに紐付いた「カテゴリー別PV数」などの「顧客(ユーザー)視点のデータ」である。

佐藤氏は、顧客インサイトのヒントを得るには顧客視点のデータが重要だと述べる。たとえば、スポーツ関連メーカーのECサイトの場合で考えてみよう。

このECサイトで扱う商材は、「ウェア」(アウトドアファッション)と「釣り具」だ。それぞれのページについて、12人の顧客をPV別、男女別にグラフ上にプロットしたところ、4つのグループに分かれることがわかったという。

釣り具にしか興味がないユーザーが左上に、ウェアと釣り具両方に興味を持ちやすいと思われるユーザーが右上にプロットされる。こうした分類は便宜上のものだが、大事なことは「顧客をグループで考える」ことだ(佐藤氏)

もちろん、マーケティングの究極の目標は、顧客一人一人ごとに異なる考え方を知ることである。しかし、最初からそこをめざすのでは効率が悪い。そこでグループ間の違いに着目してほしいと佐藤氏は説明する。

ステップ②単純な仮説でユーザーをグループ化しボリューム等を見る

次に、佐藤氏は顧客をグループ化するのに必要な「仮説」の立て方に詳しく迫る。

まずは簡単な仮説から確かめてみよう。嗜好性が明確にわかるラインとして、「10 PV」を仮の基準に設定、ウェア、釣り具それぞれのユーザーをグルーピングしてみる。

すると、ウェアページでは10 PV未満のユーザーが280人、釣り具ページでは10 PV未満のユーザーが160人だった。そして、両方重複して10 PV未満のユーザーは440人だった。10PV未満では、片方のページだけを見るユーザーは少ないことがわかる。このことから、10PV未満の段階ではまだ、ユーザーの好みがはっきりしていない、と考えることができる。

では次に、仮の基準を「10 PV以上」に設定し直して再度グルーピングしてみる。すると、ウェアページでは10 PV以上のユーザーが122人、釣り具ページでは10 PV以上のユーザーが82人という結果で、両方とも10 PV以上のユーザーは40人だった。明らかに、どちらか片方のページだけを見るユーザーが多くなっている。これは、ユーザーの好みが反映された結果と考える方が自然だろう。

このように、嗜好性が明確に分かれる基準を探っていき、それぞれのグループのインサイトに迫っていくやり方が有効だという。

嗜好性が明確に分かれるラインでグルーピングし、各グループのインサイトに迫っていく

ステップ③各グループが好むコンテンツの内容からインサイトを類推する

PVという行動結果でのグルーピングだけでは、インサイトが得られたことにはならない。大事なことは「行動の裏」にあるユーザー(グループ)の考え方に迫ることだ。

インサイトは、各グループの好むコンテンツ間の違いに着目することで見えてくる。

  • ウェアページをよく見るグループ
  • 釣り具ページをよく見るグループ
  • どちらもよく見るグループ

というように、各グループが好むWebコンテンツの内容からインサイトを類推するのが効率的だ。そこからたとえば、

  • ウェアをよく見るグループはデザインを気に入ってくれている人たち
  • 釣り具をよく見るグループはコストパフォーマンスで他社と比較している人たち
  • どちらも見るグループは自社のファンになってくれる人たち

などのように類推することができるというわけだ。

グループ間の「違い」に着目し、インサイトの仮説を立てていく

仮説を確認するテストマーケティングは
「大きなグループから小さなグループに」

続いて佐藤氏は、観察によって類推したインサイトを「コミュニケーション」によって確かめる方法を解説した。コミュニケーションの方法には、大きく下記の2つがある。

  • テストマーケティング(A/Bテストなど)
  • アンケート

佐藤氏が今回解説したのはテストマーケティングについてだ。

まず、釣り具のページをよく見る顧客は「コスパ(コストパフォーマンス)で他社と比較しているのではないか」という仮説を確認してみる。

具体的には、釣り具ページを10 PV以上見ているユーザーに対し、「価格訴求」と「コスパ優位性訴求」のバナーをまずはランダムに出し分け、CVRの結果を見る。

ここで大事なのは、「誰に」「何を訴求するべきなのか」を正しく設計することだ。当然ながら、ここで全ユーザーに両バナーをランダムに出し分けるテストをしても、10 PV以上のユーザーのCVに影響を及ぼす要因がコスパ優位性なのかが正しく検証できない。検証しようとする仮説に合わせて、ターゲットを絞ってテストをすることが必要になる。

10PV以上のユーザーに対してA/Bテストを行うことで、バナークリックの要因(仮説)を確認できる

さらに、テストマーケティングを発展させてみよう。例えば、先のテストで対象としなかった「それ以外のユーザー」、つまり釣り具ページのPVが10PV未満のユーザーを対象に、「釣り具に興味を持つきっかけは、価格が低いというのが要因である」という仮説を検証してみても良いかもしれない。

上述したA/Bテストに加え、最安値保証キャンペーンを実施し、「それ以外のユーザー」に対して、価格訴求と、最安値キャンペーン訴求のバナーを出し分け、CVRの結果を見てみる。

「その他のユーザー」を対象にしたA/Bテストによって、釣り具に興味を持つきっかけについての仮説を検証する

このように、テストを発展させるときには、「誰に」という部分に着目することで、効率よく新たなインサイトの仮説を立て、確認していくことができる(佐藤氏)

そして、「誰に」という部分にバリエーションを持たせ、たとえば、「ウェア好きの顧客は、デザインを気に入ってくれている」など、インサイトの仮説の数だけテストを発展させていくことができるのだ。

テストを繰り返すことにより、最初は大きなグループで顧客インサイトを確認していたものが、徐々に小さなグループでの顧客インサイトの理解につながり、最終的に顧客一人ひとりのインサイトに基づくパーソナライズされたマーケティングへとつながっていくというわけだ。

最後に佐藤氏は、これまで説明した観察とコミュニケーションを戦略的・自動的に実行でき、顧客インサイトを得て、パーソナライズされたコミュニケーション施策と効果測定までをシームレスに実行できる。プライベートDMP「Rtoaster(アールトースター)」を紹介した。

Rtoasterは、多様なデータを収集しマーケティングアクションに最適な統合が実行でき、顧客インサイトを得るためのユーザー分析機能やキャンペーン機能、そして精度の高いパーソナライズアクションをマルチチャネルで実行できる最先端の機械学習を活用したレコメンド機能などがSaaS形式で利用できるマーケティングプラットフォームである。

RtoasterはDMP市場シェア3年連続No.1(※)の実績と幅広い業種での活用が可能な国内最大規模のプライベートDMP。

※DMP市場:ベンダー別売上金額シェア【2014年、2015年、2016年度実績】
出典:ITR「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2018」「ITR Market View:マーケティング管理市場2017」

ECはもちろんメディアや人材、旅行など様々な業種でパーソナライズアクションを実行した成功事例を無料で提供しているので興味があるWeb担当者やデジタルマーケターは是非参考にしてみてはどうだろうか。詳しくはRtoasterで確認してもらいたい。

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