データ・ドリブン・マーケティングの実現に必要な5つの要素とは? Rtoasterユーザー会潜入レポート
データ・ドリブン・マーケティングに必要な要素とは何だろうか。ブレインパッドが提供するレコメンドエンジン搭載プライベートDMP「Rtoaster(アールトースター)」は、データドリブンなアクションと顧客理解を推進していくための機能が進化を続けている。
2018年3月6日に開催された「Rtoaster User Graph 2018」は、Rtoasterが生まれてから12年目にして初めて開催したユーザー会だ。今回は同ユーザー会に潜入し、その内容を3本の記事に分けてレポートする。
- データ・ドリブン・マーケティングの実現に必要な5つの要素とは?(この記事)
- JALとJR九州の取り組みから考えるデータ活用とレコメンドの未来
- デジマ女子が語る他部署連携のコツとは?
「Rtoaster11年の歴史と未来~データ・ドリブン・マーケティングを支援するプラットフォームとして~」と題された基調講演では、Rtoasterの11年の軌跡をブレインパッドの柴田剛氏が、Rtoasterの今後のロードマップや展望を上川晃二朗氏が解説した。
さまざまな機能追加で11年間進化してきたRtoaster
Rtoasterは、同社の取締役である安田誠氏がネット上でほしい商品を毎日眺めていたときに「明らかに欲しがっているのにクーポンやインセンティブが出てこない。サイト訪問者のデータを活用すれば、もっと最適なコンテンツが出せるんじゃないか」と考えたことから開発が始まり、2006年4月20日に生まれた製品だ。
当時から顧客属性データや購入履歴データなどのCRMシステムとの連携を考えており、今でいうDMPの考え方で作られたことも大きな特徴となっている。Rtoasterの名前は、「パンを焼くトースターのように、最適化されたコンテンツがポンポン出る」イメージで付けられたと柴田氏は説明する。
2006年7月には、「管理画面」をリリース。2009年3月には、データ解析のパワーをもっと世の中に提供したいという思いから「自動レコメンド機能」をリリース。さらにマルチチャネルをデータでつなぐために、2011年10月にメール連携機能、2013年1月に広告連携機能をリリースして、Rtoasterは着実に進化してきた。
2013年には管理画面のデザインを大幅リニューアルし、2014年6月には自然言語処理エンジンを活用できるようになり、記事や商品テキストを解析して最適化できるようになっている。2015年4月には、さらに多彩なチャネルをデータでつなぐために、アプリレコメンド機能をリリース。2016年1月にパーソナル接客機能をリリースし、パーソナライズしたポップアップバナーを表示できるようにしている。
たくさんのお客さまとパートナーのおかげで、2014年度から2016年度まで3年連続DMP市場での国内シェアNo.1※となったと説明する柴田氏は、「今後ももっとデータの可能性を広げたい」と話し、データドリブンなアクションと成果創出のための次のステップが「Rtoaster Ver. 5」から始まるとしている。
※株式会社アイ・ティ・アールが発行する市場調査レポート「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2018」「ITR Market View:マーケティング管理市場2017」において、3年連続で、DMP市場におけるベンダー別売上高およびシェアで1位(2014年度、2015年度、2016年度)を獲得。
5つの領域で機能改善が行われたRtoaster Ver. 5.0
続いて、Rtoasterの未来について話を始めた上川氏は、「デバイスや個人の多様化がさらに進んでいくなか、企業と生活者のコミュニケーションには、これまで以上にデータの活用が不可欠となっていく」と話す。
先進的な顧客からのフィードバックによって進化してきたRtoasterは、企業と顧客とのコミュニケーション、およびコミュニケーションするための顧客理解をデータによって支援・推進する存在であり、データドリブンなアクションと顧客理解を推進していくためには、次の5つの要素が重要だと、上川氏は説明する。
- マーケターに最適なUI
- 顧客理解・アクションのためのデータの統合
- 顧客理解・アクションの自動化
- 最適なアクション実行
- マーケター自身による顧客理解
2018年2月19日にリリースされたRtoaster Ver. 5.0は、この5つの要素を意識して機能追加や改善が行われている。
マーケターに最適なUI
UIがフルリニューアルされ、マーケターが本来の仕事である「考える」ことに時間を費やせるように設計されている。
顧客理解・アクションのためのデータの統合
顧客理解のためのデータ統合基盤として、データマネジメントツールとして別提供されていたDeltaCube(デルタキューブ)を統合し、柔軟性と自由度の高いデータを扱える分析基盤としても利用できるようになった。
顧客理解・アクションの自動化
従来の自動レコメンド機能に継続的な改善を行う第一弾として、KPI(CVRや売上・単価など)を選択することで、指標改善につながる商品をアルゴリズムが自動的に表示するようなチューニングができるようになった。
最適なアクション実行
目的やターゲットを軸にレコメンドの全体最適化を考えながら、アクションを最適化する機能としてキャンペーン機能を追加した。
マーケター自身の顧客理解
顧客とのコミュニケーションを最適化するために、顧客理解を深めてアクションに移せる機能として、ユーザー分析機能を提供。今後は、「すでに蓄積されているデータ」や「追加で蓄積するデータ」を用いて顧客像を浮き彫りにする機能を追加する予定となっている。
今後のRtoasterの方向性とブレインパッドの展開
これらの5つの要素に対する機能追加は、まだほんの一部分だと話す上川氏は、今後のRtoasterの方向性や展開に話を移す。
「Rtoasterは、今後のバージョンアップで5つの要素をさらに進化させていく」との言葉通り5つのキーワードを意識して機能追加や改善を行っていくという。それらを実現するための方向性は次のとおりだ。
- マーケターに最適なUI
データを使っていることを意識させないUI - 顧客理解・アクションのためのデータの統合
顧客をさらに浮き彫りにするデータ拡充と、予測最適化のための結果データの統合 - 顧客理解・アクションの自動化
機械学習を用いた顧客アクションの予測最適化と自動化 - 最適なアクション実行
オウンドメディアの全体最適やより幅広いチャネルでのアクションの実現 - マーケター自身による顧客理解
アクションとその成果を最大化する顧客可視化
「Rtoasterは、これからもブレずにアクションと成果創出を顧客に提案し、企業と顧客との最適なコミュニケーションを支援・推進していく」と話す上川氏は、「データには大きな可能性があり、データ活用における課題や有用性はさらに増大していく。そのため、あらゆるデータの統合と活用を可能にする環境とノウハウ、技術が必要になる」と説明する。
そして、「ブレインパッドは、Google Cloud Platformを活用したサービス展開を行い、ブレインパッドの分析力、ビジネス力、エンジニアリング力、Rtoasterをはじめとするマーケティングサービスを結集させたサービスを提供していく」と今後の予定を示した。
上川氏は「われわれは、お客さまのビジネスにおいて、データを活用したアクションで成果をあげることだけを目指して、Rtoasterをはじめとするサービスを展開していく。そのためには、データ活用に先進的なお客さまが常に主役となり、われわれブレインパッドやRtoasterへの意見や要望をフィードバックしていただくことが重要で、ビジネスやマーケティング上の課題を両者で共有することが不可欠である」と締めくくり、基調講演を終えた。
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