グーグルの検索結果が大変化:右広告枠が消滅し、AMP表示開始 などSEO記事まとめ10+4本
グーグル検索結果で右側にあった広告枠が廃止された。また、高速表示のための「AMP」対応ページが、モバイル検索結果で特別な形で表示されるようになった。
今週は、さらにAMP関連の情報をまとめてお届けするほか、不正DMCA申請の悪質な事例、ひどいモバイル広告、HTTPS設定なども含めて、SEOの情報を整理してお届けする。
グーグルの検索結果が大変化:右広告枠が消滅し、AMP表示開始
影響がわかるまでは慌てずに落ち着いて (Search Engine Land)
グーグルの検索結果ページに、2つの大きな変化があった。
- 右側のAdWords広告枠を廃止(デスクトップ版、2月20日)
- AMP対応ページの表示を開始(モバイル版、2月24日)
それぞれについて解説していく。
右側のアドワーズ広告枠を廃止
グーグルは、PCでの検索結果に表示されるアドワーズ広告の配置と数を変更することを明らかにした。
今までは、検索結果の上と下、そして横(右側)にアドワーズ広告が表示されていた。これからは、上と下だけになる。つまり右側のエリアにはアドワーズ広告はもはや表示されない。
全世界で一斉の実施だ。すでに展開が始まっており、この記事が公開されるころにはほぼ完了していることだろう。
上と下にそれぞれ3つずつ広告が掲載されることが多いが、非常に商用的な検索クエリ(購買の意図が強い検索クエリ)では上部に4つ掲載されることもある(例で見せた上記画面には4つの広告が見える)。
ただし例外として、商品リスト広告やナレッジパネル内の広告は、依然として右側に表示されることがあるようだ。
SEOではなくリスティング広告のトピックであるが、このコーナーの読者にはアドワーズを利用しているサイトのウェブ担当者も多いはずだ。リスティング業界のビッグニュースなので取り上げた。
ともすると大きな影響が出るかもしれない。だが状況が判明するまでは落ち着いて対処したい。むしろ何もせずに静観してもいいだろう。焦ってやみくもに対処すると返って良くない結果に結びついてしまう可能性もある。
なおこの変更の第一報を報じたのはSearch Engine Land(サーチ エンジン ランド)だ。今回のSEO Japanのピックアップで選んであるので、日本語訳はそちらで参照できる。
また、アナグラムさんが、状況や今後の影響予測など、わかりやすい解説記事を公開してくれているので、そちらも参考になる。
- Google、検索結果右側のテキスト広告枠を全世界で廃止へ(アナグラム株式会社)
AMP対応ページの表示を開始
またグーグルは、モバイルでの検索結果において、AMP(モバイルでの高速表示のためのページフォーマット)対応ページの表示を2月24日に開始した。
2月25日にはグーグルが公式に発表している。
- Google Japan Blog: モバイルウェブをもっと速く(Google Japan Blog)
- Google モバイル検索が Accelerated Mobile Pages に対応しました(Google Developers Japan)
これらのページは、検索結果をクリックすると、ほぼ瞬間的に内容が表示される。
日本でもすでに多くのニュースサイトがAMP形式に対応しており、検索クエリによっては上部の優位な場所に表示されるようになっている。
AMPのデータはグーグルだけでなく他のプラットフォームも利用していく可能性があるとのことなので、AMP対応を進めるサイトは今後さらに種類も数も増えていくと思われる。
現時点のAMP表示の解説や、AMP関連のよくある質問とその答を、渡辺隆広氏がSEMリサーチで記事にしている。AMPをよくわからない人にもわかりやすい内容なので、一読しておくといいだろう。
また、このあとに紹介する日本語のSEO情報でもAMP関連の記事を3つ紹介しているので、続けて読んでほしい。
日本語で読めるSEO/SEM情報
AMPって何? グーグル社員2人が解説
ぼんやりイメージが鮮明になるはず (CNET Japan)
AMP(Accelerated Mobile Pages)をテーマに、グーグルの2人の社員がインタビューを受けた。次のようなことを語っている。
- AMPプロジェクトを発足させた目的
- AMPに参加している企業
- AMPの今後
「AMPって結局、なんなの?」という人や、ぼんやりとしかイメージをつかめていない人は、読むといい。グーグルがAMPで目指すことが明確になるだろう。
GoogleアナリティクスがAMPをサポート開始
これでAMPでもアクセス解析ができる (アナリティクス 日本版 公式ブログ)
グーグルは、GoogleアナリティクスをAMPに対応させたことを発表した。
AMPでは、原則としてJavaScriptを利用できない。徹底的な高速化を追求するために、表示時間を遅らせる原因になるJavaScriptを厳しく制限しているのだ。アクセス解析ツールのJavaScriptも例外ではない。
とはいえ、アクセス解析ができないのはウェブ担当者にとっては重要な問題だ。AMP化するかどうかを決める際の障害になりそうだ。
そこで、Googleアナリティクスが、AMP形式の制限されたJavaScriptでも動作するように対応したのだ。ほかにも、いくつかの大手解析ツールがAMPに対応している。
構成方法の詳細は公式発表と、そこに掲載されている技術ドキュメント(残念ながら現時点では英語のみ)を参照してほしい。
また、WWW WATCHさんがこの「amp-analytics」形式でのGoogleアナリティクスの使い方をわかりやすく日本語で解説しているので、そちらも参考になるだろう。
素朴な疑問だけど、AMP対応ってしたほうがいいの?
「迷う人はとりあえず無視」とあの人はアドバイス (辻正浩 on ツイッター)
AMPは今最もホットなトピックだと言っていいだろう。グーグルは猛烈にAMPをプッシュしている。このコーナーでもAMP関連の記事をピックアップすることが増えてきた。
今週のピックアップでも紹介したように、すでにモバイル検索でのAMP対応表示が始まっている。
では、我々は今すぐにAMP対応するべきなのだろうか?
この悩みに、so.laの辻氏は次のように持論を展開している。
昨年のモバイルフレンドリーは対応しないと目に見えてネガティブな影響が出る仕様だったのであの強力な告知は理解できましたけど、AMPへの異様な推し方は微妙と思います……
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 22
現段階ではAMPは現段階は対応して意味があるサイトが限られているのですが、それとはかけ離れたサイトにもAMPの通知が来ていますね。状況は把握しといたほうが良いとは思いますが、迷う人はとりあえず無視して良いはず。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 22
つまり大半のサイトでは慌てなくていいだろうということだ。ただしニュースやメディア系のサイトであれば、AMP対応は価値があると筆者は個人的に考える。たとえばこのWeb担もAMP化していいサイトだと思う。
しかし、そうでなければ、世間がAMPだと騒いでいるからといって、無理に今すぐAMP対応を進める価値は、さほど高くないだろう。
これはヒドイ! DMCA申請を悪用され検索結果から消された葬儀屋さん
辻氏が提案する防御策とは? (考える葬儀屋さんのブログ)
DMCA申請を逆SEOに悪用している事例を糾弾する辻正浩氏の記事を、前回紹介した。同じようにDMCAを悪用されて被害を受けたサイト管理者が、その顛末をブログ記事にしている。
DMCAが悪評隠しに悪用されたと思われる事例 by @tsuj https://t.co/wzUvyTvzgW←手段は違えど私と同じ目にあうケースが増加中の模様https://t.co/Ff6ToshtT6
— 考える葬儀屋さん (@kangaerusougiya) 2016, 2月 13
これに対して、辻氏は次のようにコメントしている。
これはDMCAによる悪評削除の完全にひどいケースだ……ブログ主の方が気づいて申請したら戻ってるので、本当にSearch Console登録は必須ですねhttps://t.co/anPMeh0q0n
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 16
システム面では色々とやっていますね。昨日の「小さなお葬式」の悪評隠しの申請元の人は既に警告マークついてる。 https://t.co/atEwcg5jDc
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 16
同一の人が色々な所に申請を出しているのはバレバレで悪評封じ込め専門業者でしょうね。「風評被害」とググったら広告出している所。 https://t.co/ZCzIMYNNXm
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 16
ネット上での悪評隠しをやっている会社は、大概はYahoo!検索の虫眼鏡操作も一緒にやっていますね。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 16
黒帽子とか普通のスパム対応はGoogleの仕事なので私達はスルーで良いと思ってます。でもガイドラインではなくモラル等を無視した悪質さのSEO会社にはGoogleは動かない事が多いですし、そしてDMCA周りは色々特殊っぽいのでこれもGoogleに任せられないんじゃ?とか思ってます。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 16
DMCA申請は毎日200万件以上あって確実な正確な審査は不可能なのでグーグルを叩くのも違うと思うんです。叩くとしたら実情とズレてしまった米国の法律と思いますがそれも意味なさそう。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2016, 2月 16
できる対抗策は「DMCAを悪用したら炎上する」という事例づくりしかないかなと。
DMCA申請はグーグルが単独で処理しているわけではない。したがってグーグルを一方的に責めるのは適切ではないだろう。辻氏が言うように、こうした悪用がまかりとおっている現実を幅広く周知させることが、筆者たちにできる対抗策の1つなのかもしれない。
辻氏も触れているように、グーグルもこうした不正なDMCA手続きを完全に放置しているわけではなく、実際に今回の申請者は不正な申請をする者としてチェックされている。
あなたのサイトのその広告“ウザい”と思われていませんか?
ユーザーに嫌われる広告の2つの特徴 (滝井秀典ブログ )
スマホで表示される広告に対する、グーグル北村氏のツイートをまず紹介する。
最近のスマホウェブ広告は完全に度を超えてきたな。透明度を変えながら移動する広告も驚いたが、しまいにはど真ん中に浮いて、スクロールしても何しても消す方法がないとか。そらアドブロックとか使いたくなるわ。 pic.twitter.com/b6fatMJl87
— Eiji Kitamura (@agektmr) 2016, 2月 19
こうした状況に対して、国内PPC業界の草分け的な存在である滝井氏が自身のブログで解説している。記事では、嫌われる広告は次の2つに大別されるとしている。
- スマホのモバイルアンカー広告(下部に固定されて出る広告)
- アダルト以外のコンテンツでのアダルト広告
北村氏の発言と滝井氏のブログ記事に共通しているのは、要は“ウザい”広告をユーザーは嫌悪するということだ。ページの閲覧やコンテンツの利用をジャマする広告がユーザーは嫌いなのだ。広告そのものの存在自体を嫌っているわけではない(そういう人がまったくいないわけではないかもしれないが)。
よって、ユーザーのことなどお構いなしに、露出できればいいという考え方で広告を掲載しても、決して望むような成果は得られないであろう。
グーグルもユーザー体験を損ねるような広告過多のページの評価を下げるアルゴリズムを導入している。サイト(やアプリに)広告を掲載しているのであれば、ウザい広告は、ユーザーと検索エンジンのどちらにも嫌われることを認識しておこう。
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