情報を求めて検索エンジンから来るユーザーにサイトが適切に対応できているか分析するには?(第31回)
一般ワードで検索してくるユーザーを、適切なページへ誘導できているか分析したい
検索エンジン最適化(SEO)を積極的に行っていなくても、Webサイトへの訪問者は、検索エンジンでいろいろなキーワードで検索して、サイトにやってくる。
キーワードには、前回説明したような「ブランドワード」もあるが、一般的なニーズを表すキーワードもたくさんあるだろう。
みなさんのWebサイトは、一般的なニーズで訪問してくれたユーザーに対して適切に対応できているだろうか? できていないとしたらどのように改修すべきなのだろうか。そこで今回は次のセグメントを紹介しよう。
- 指名検索以外の「一般ワード」検索によるセッション
本連載を愛読している方は、前回の記事「ブランドワードで指名検索して訪問するユーザーに適切に対応できているか分析するには?」の別の応用が可能だとすぐに気が付かれたのではないだろうか。前回の逆とも言えるかもしれないが、同種の活用法である。
前回の冒頭にも書いたが、検索エンジンで明確な目的地、すなわち特定のWebサイトあるいは特定のWebページに行きたいという意思を持って検索するキーワードのことをナビゲーショナル クエリ(Navigational queries)」という。
一方、特定のWebサイトには興味はなく、何か調べもの、つまり情報探索する場合に使う検索キーワードのことをインフォメーショナル検索クエリ(Informational queries)ともいう。
インフォメーショナル検索クエリは通常一般的なキーワードなので、そのキーワードで検索結果の上位に表示されていれば訪問数は多くなり、下位になるほど少なくなる。そうしたバラツキを考慮する必要はあるが、いずれにしても訪問者のニーズを分析し、コンテンツを作っていくうえでは重要なデータとなる。
ただしご承知の通り、Google検索によるキーワードについては、ほとんどが「(not provided)」表記になってしまうので、Google検索が自然検索の大半を占めるようなサイトでは、本セグメントはあまり有効活用できない。
一般ワード検索での訪問を分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「トラフィック」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「トラフィック」を選択した画面だ。
セグメントの条件設定は、キーワードの部分(図3緑枠部分)で行う。今回設定するセグメントの例は筆者のサイト「GAフォーラム」の一般ワード検索によるセッションとする。設定内容は図4だ。前回とは、逆にブランド ワードが含まれないキーワードを指定すればよい。
まず「セッションのフィルタ」(図4赤枠部分)を選択し、セッション ベースのセグメントに指定する。標準では、その右の「ユーザーをフィルタ」になっているので気をつけよう。
続いて「キーワード」の右横の一致パターンのプルダウンからは「正規表現に一致しない」(図4青枠部分)を選択する。
キーワードの正規表現パターンはgaforum|gaフォーラム|\(not provided\)
(図4緑枠部分)と指定してみた(Windowsではバックスラッシュは円記号で表示される)。
「|」(パイプ)は、「あるいは」を意味する記号で、こうすれば、
- サイトの名称である「gaforum」が含まれるキーワード
- あるいは(|)、「gaフォーラム」が含まれるキーワード(ブランドワード)
- あるいは(|)、Google検索のキーワード不明を意味する「(not provided)」
を対象外にできる。
なお括弧は正規表現では特殊文字なので、そのまま「(」と書いても認識してくれない。「(not provided)」の両端の括弧のどちらにも前に特殊文字の打ち消し指示「\」を付けておく。
セグメントの名前を「一般ワード検索」などとした上で、保存(図3黒枠部分)をクリックして、新規作成したセグメントを保存する。
有料検索を除外したい場合
なお図4の「トラフィック」分類のセグメント設定では有料検索(検索連動型広告)も含まれるので、有料検索を行っていて、それを除きたい場合は、図5のように「条件」分類(図5赤枠部分)の設定で、メディアを「organic」に指定(図5青枠部分)しよう。
こうすることで「オーガニック検索」に絞り込める。キーワードの条件は図4と同じ指定(図5緑枠部分)にしよう。逆に有料検索で絞り込みたいのであれば、メディアの値はcpc
などメディアとして付与した値を指定しよう。
一般ワード検索での訪問を分析するには?
ではこのセグメントの活用方法を見ていこう。まず[集客]>[キーワード]>[オーガニック検索]レポートに該当セグメントだけを掛けた(図6赤枠部分)レポートを見よう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
- メニューが開くので、[キーワード][オーガニック検索]を順にクリックする
- 「一般ワード検索」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
ここではセグメントを掛けて絞り込まれたキーワード(図6青枠部分)を見ていく。今回は筆者の運営する情報サイト「GAフォーラム」を対象にして例示した。
キーワードが単語であれば、それはビッグワードであることが多いだろう。図6の例では、「gaiq」や「ページ別訪問数」(図6緑枠部分)などが該当する。多くの場合は複合語で、ロングテールにあたるキーワード群から多数の訪問を集めているに違いない。実際にこれらのキーワードを主要検索エンジンで検索して、表示順位やどのように表示されているのかを確認しよう。
「(not provided)」問題もあるので、ランディング ページ側で見ることもあるが、検索語のバリエーション数も見ておこう。ここは少し長期トレンドで動きを見ておくのがよいだろう。検索エンジン対策全体がよい方向に進んでいるのか、まずくなっているのかを大局的に把握するためだ。
バリエーション数を確認するには、実際は単純にレポートの表示行数を確認すればよい。レポート下部の一覧表示部の右下に「表示する行数」の機能があるが、ここで行数を確認することができる。図6の例では、右端にある数字の302(図6黒枠部分)がキーワードの種類数になる。
各キーワードからどのランディングページに誘導されているか分析するには?
そして次にこのレポートのセカンダリ ディメンションに「ランディング ページ」を指定して(図7赤枠部分)、どのページへ誘導しているのかを見よう。それが図7だ。
- 「セカンダリディメンション」をクリックする(図7赤枠部分)
- 「ランディング ページ」を指定する
一般的なワードでも、検索表示はさまざまなページへのリンクがある可能性もあるので、ランディング ページとの組み合わせで確認しておこう。
さらにそれぞれの組み合わせに対して、ユーザーがどのくらい熱心に閲覧しているのか、成果に結びついているのかといった各種指標(図7青枠部分)も併せて見ておこう。どういう場合に直帰率が低くサイト内を回遊してくれているのか、実際ユーザーが検索する動機や気持ちをくみ取ってみよう。
また下記のような様々な問題意識を持ってデータを見てみよう。
- 検索キーワードとして、挙がってきて欲しいキーワードが存在しているか
- 逆に思わぬキーワードが存在していないか
- 昨今のユーザーの関心事となっている時勢的なキーワードがあるのかないのか
- 今後強化すべきコンテンツのヒントはないだろうか
一般ワードで検索してきたユーザーが、どういうコンテンツ群をよく見ているか確認するには?
最後に、これら一般的なキーワードで検索エンジンから訪問してきたページ全体を俯瞰する意味で、[行動]>[サイト コンテンツ]>[ディレクトリ]レポートに、該当セグメントを掛けた(図8赤枠部分)レポートも見ておこう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
- メニューが開くので、[サイト コンテンツ][ディレクトリ]を順にクリックする
- 「一般ワード検索」セグメントを「適用」する
検索エンジンの一般キーワードから誘導してきたセッションで、結果的にどのコンテンツ群を見てくれているのかをざっくり把握することができるので、コンテンツ群単位で、検索エンジン対策ができているコンテンツ、できていないコンテンツを把握する際の目安にもなるだろう。
もちろんURLのディレクトリ構造がコンテンツ分類に必ずしもなっていない場合もあるだろうが、その場合は「コンテンツグループ」という機能を使って適切に分類する手法もあるので、こちらも併用されるとよいだろう。「コンテンツグループ」に関しては、こちらの記事を参照してほしい。
「ページ」「ページタイトル」「ディレクトリ」とは別に、カスタマイズした「コンテンツグループ」ディメンションを選択して、本セグメントを適用したレポートを表示すればよい。
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