ユーザー行動分析に効く! シーケンスの使い方①――特定の順番でページを見た人を調べよう(第88回)
今回と次回で、Googleアナリティクスのセグメントにおける「シーケンス」分類のセグメント設定について取り上げる。「シーケンス」は、ユーザー行動の順番を条件指定できるセグメントの分類だ。
具体例は、次のようなものだ。
「商品一覧ページ」を見て、その後、「商品詳細ページ」を見たセッションだけを抽出する(「セッションベース」の例)
検索連動型広告の一般ワードで訪問し、その後、自然検索のブランドワードで訪問したユーザーだけを抽出する(「ユーザーベース」の例)
この例でわかるように、「シーケンス」分類の場合でも、他のセグメントと同様に「ユーザーベース」と「セッションベース」の2つのフィルタがある。
- 「セッションベース」は、1訪問(セッション)内での利用行動の順番を指定できるセグメント
- 「ユーザーベース」は、複数のセッションをまたいで利用行動の順番を指定できるセグメント
今回は「シーケンス」分類で「セッションベース」のフィルタを利用した場合について解説する。「セッションベース」のフィルタのほうが、比較的やさしくて、とっつきやすいからだ。
「ページ閲覧順を指定する」セグメントの作り方(「セッションベース」のシーケンスの基本形)
セッション内での行動の順番を指定できるものと言えば、基本的にページ閲覧が思い浮かぶだろう。というかそれしか思い浮かばないくらいだ。冒頭の例のように「あるページを見て、その後、別のページを見た」という順番を指定するのが基本形になる。
設定の手順を解説していこう。
図1がセグメント新規作成画面で「シーケンス」分類(図1赤枠部分)が選択されている画面だ。
フィルタを「ユーザーベース」にするか、「セッションベース」にするかは、「フィルタ」「含める/除外する」(図1青枠部分)の隣にあるプルダウンで選択できる(図1緑枠部分)。今回は、ここで「セッション」を選択してフィルタを作成していく。
まずはステップ1で「ページ」「完全一致」を選択し、1つ目に見たページAのURLを指定する(図2赤枠部分)。
そして、その下の「ステップを追加」(図2青枠部分)をクリックする。
するとプルダウンで2通り選択できる(「の次のステップは」と「の直後のステップは」)ので、ここでは「の次のステップは」を選択しよう(図2緑枠部分)。
そしてステップ2で「ページ」「完全一致」を選択し、2つ目に見たページBのURLを指定する(図2茶枠部分)。
もちろんページの選択には「完全一致」(図2紫枠部分)以外にも「含む」「含まない」「先頭が一致」「正規表現に一致」など多数のマッチパターンを選択できるので、さまざまなページ群を指定することも可能だ。
これで、「ページAを見て、その後、ページBを見たセッション」を抽出することのできるセグメントを指定できる。
また、もう1つのプルダウン(図2緑枠部分)で、別の「の直後のステップは」を選択すると、「ページAを見た直後に、ページBを見たセッション」を抽出することになり、順番を指定する条件がより厳しくなる(ページAとページBの間に別のページを見ていたセッションはこのセグメントには含まれない)。
「シーケンスの開始」では何を設定できるのか?
「シーケンスの開始」(図3赤枠部分)と書いてある右横にもプルダウンがあり、
- すべての接点
- 最初の通過地点
という選択肢があり(図3青枠部分)、デフォルトでは「すべての接点」が選択されている(図2黒枠部分)。
「最初の通過地点」は、ランディングページのこと
「最初の通過地点」は、「セッションの最初のヒット」を指定するものだ。「セッションベース」のフィルタの場合、基本的にランディング ページを意味すると考えてよいだろう。
「最初の通過地点」が「ランディング ページ」であることを、念のために検証しておこう。
図4はトップページ(図4赤枠部分)が「最初の通過地点」(図4青枠部分)である「セッションベース」のシーケンス条件になっている(ステップ2がないので厳密にはシーケンスではないが)。
図5は「条件」分類の画面で、ランディング ページがトップページ(図5青枠部分)の「セッションベース」(図5赤枠部分)のセグメント条件だ。
もし「最初の通過地点」が「ランディング ページ」と同じ意味であるならば、図4と図5と抽出結果は同じになるはずだ。(この例では不思議なことにユーザー数が異なるが)、セッション数は同じ217(図4緑枠部分、図5緑枠部分)で、各種レポートに適用しても基本的に内容は合致している。
「すべての接点」は、該当ページ通過セッションのこと
一方、「シーケンスの開始」のプルダウンで「すべての接点」を選択すれば、「条件」分類の指定の「該当ページ通過セッション」と同じ意味合いになる。
図6では、トップページ(図6赤枠部分)が「すべての接点」(図6青枠部分)である「セッションベース」のシーケンス条件になっている(ステップ2がないので厳密にはシーケンスではないが)。
図7は「条件」分類の画面で、トップページを閲覧した(図7青枠部分)「セッションベース」(図7赤枠部分)のセグメント条件だ。
図6と図7の抽出結果を概要で確認すると、確かにユーザー数/セッション数ともに同じになっている(図6緑枠部分、図7緑枠部分)。
例で示しておこう。「シーケンスの開始」を「最初の通過地点」として、ステップ1でページAを、ステップ2でページBを指定したセグメントでは、下記①は合致するが、②は合致しない、ということになる。
例①: ページA(ランディング ページ) → ページX → ページB(離脱ページ)
例②: ページX(ランディング ページ) → ページA → ページB(離脱ページ)
「シーケンスの開始」を「すべての接点」にすれば、①も②も合致するようになる。
ページ閲覧以外のヒットを指定するシーケンス条件の例
セッション(1訪問)を構成する「ヒット」には、ページビュー以外にも「イベント」や「トランザクション」などがある。ページ閲覧以外の「イベント」や「トランザクション」などにも発生した順番が存在するので、ページ閲覧以外の条件指定も可能だ。
「イベント」や「トランザクション」などの「ヒット」についてご承知でない方は、まずこちらの記事を参照してほしい。
特殊なケースを除けば、通常セッションは「ページビュー」ヒットが最初に発生するので、「イベント」や「トランザクション」が「最初の通過地点」になることは稀だろう。よって、シーケンスの開始を「最初の通過地点」にした場合(図8赤枠部分、図9赤枠部分)に、「ステップ1」にイベント系の「イベント カテゴリ」(図8青枠部分)や、トランザクション系の「(ヒットごとの)トランザクション数」などを指定(図9青枠部分)してもゼロにしかならない(図8緑枠部分、図9緑枠部分)が、注意点はそれくらいだろう。
ページ閲覧以外のシーケンス条件を使ったセグメント例
ページ閲覧以外の条件を含めて指定した設定例を2つ紹介しておこう。
1つ目は、トップページを閲覧し、その後、「イベント カテゴリ」が「リンククリック」であるイベントが発生したセッションのシーケンスのセグメントだ(設定例は図10)。
2つ目は、「ランディング ページ」がトップページで、その直後に「イベント カテゴリ」が「コンテンツ」であるイベントが発生したセッションのシーケンスのセグメント(設定例は図11)だ。
※ここで指定している「リンククリック」や「コンテンツ」というイベント カテゴリは、イベントトラッキングで筆者が任意で指定したものだ。
1つ目の例では「シーケンスの開始」として「すべての接点」を利用(図10赤枠部分)し、2つ目の例では「最初の通過地点」を利用(図11赤枠部分)した。
また、1つ目の例では、ステップ間のつなぎ方を「の次のステップは」を利用(図10青枠部分)し、2つ目の例では「の直後のステップは」を利用(図11青枠部分)したという違いがある。
ステップは最大10個までしか指定できない
なお1つのフィルタ内でステップは最大10個までの指定が限界だ。
図12を見ていただくとわかるように、ステップ10の後に「ステップを追加」表示は現れない(図13赤枠部分)。現実的には10個ものステップを作成することはないだろうが、ステップの指定は最大10個まで、と覚えておこう。
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