新規訪問ですぐにリピーターになってくれる人の行動を探って、リピーター増加のヒントを考えよう(第92回)
すぐにリピーターになってくれた人と、なってくれなかった人の違いを分析して、リピーターを増やすための施策やコンテンツ企画のヒントを探りたい。
新規で訪問して、すぐにリピーターになってくれる人というのがたまにいる。ありがたいことだ。その最初の訪問のきっかけや閲覧コンテンツは何だったのだろうか。すぐに再訪問しなかった人との違いはどこにあるのだろう。そこに集客やコンテンツ企画のヒントは隠れていないだろうか。
今回はその違いを見るために、下記2つの条件で絞り込んだセッションを比較してみよう。
- (1か月以内に)リピート訪問したユーザーの初回訪問セッション
- (1か月以内に)リピート訪問しなかったユーザーの初回訪問セッション
「すぐに再訪問」の「すぐ」をどの程度の期間にするのかは判断が分かれるところだろう。上記では「1か月」としておいたが、実際は個々にカスタマイズしてほしい。カスタマイズといっても、セグメントの設定に変更は必要ない。レポートする集計対象期間の長さを調整すればよい。ただ、ユーザーベースのセグメントは3か月を超えて掛けられないので、集計対象期間はそれ以内にしておく必要はある。
「リピーターになってくれた人」と「リピーターにならなかった人」の違いを分析するセグメントの作り方
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、「すべてのユーザー」(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「条件」を選択した画面だ。今回のセグメントの条件設定は、図3緑枠部分で行う。
「リピート訪問したユーザーの初回訪問セッション」に絞り込むセグメントの設定
今回作成したいセグメントは、「リピート訪問したユーザーの初回訪問セッション」と「リピート訪問しなかったユーザーの初回訪問セッション」だ。
図4の設定をまず説明しよう。まずは「リピート訪問したユーザー」の条件を指定する。この部分は「フィルタ」「ユーザー」「含める」と指定し(図4赤枠部分)、ユーザーベースのセグメントにしたうえで、「セッション」「>」「1」とする(図4青枠部分)。この「セッション」は、集計期間内の訪問頻度を示す指標で、「1を超える」とすれば、集計期間内で2回以上訪問したユーザーを意味するのだ。
そして、2つ目の条件はセッションベースのフィルタを掛けたいので、まず「+フィルタを追加」(図4緑枠部分)をクリックし、「フィルタ」「セッション」「含める」と指定し(図4茶枠部分)、セッションベースのセグメントにしたうえで、「セッション数」「=」「1」とする(図4黒枠部分)。この「セッション数」は先ほどの「セッション」とは異なり、累計訪問回数を意味するディメンションで、これを「1」とすれば、初回訪問を指定したことになる。
たとえば先月の1か月のデータにこのセグメントを掛ければ、先月に複数回訪問したユーザーの中の初回訪問セッションだけを絞り込むことになるというわけだ。
これで該当セグメントの名前(図3茶枠部分)を「リピートユーザーの初回セッション」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。
「リピート訪問しなかったユーザーの初回訪問セッション」に絞り込むセグメントの設定
図5の方は、その期間(先月の1か月)に「リピート訪問しなかったユーザー」を指定するところだけが違う点なので、最初のユーザーベースのセグメントの指定を「セッション」「=」「1」とすればよい(図5青枠部分)。それ以外はすべて同じだ。
これで該当セグメントの名前(図3茶枠部分)を「非リピートユーザーの初回セッション」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。これで新規セグメント作成作業は終了だ。
すぐにリピーターになってくれた人の最初の訪問のきっかけを分析するには?
次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。冒頭にも書いたとおり、問題意識としては、すぐにリピーターになってくれた人の最初の訪問のきっかけや閲覧コンテンツは何なのだろうかということなので、集客、閲覧コンテンツ、そしてその組み合わせの3つを見ることにしよう。
集客系のレポートでは、一番大雑把に傾向を把握する「チャネル」レベルで見てみる。[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートに、作成した2つのセグメントを掛けて(図6赤枠部分)、どこから来ているのかの違いを比較してみる。
ここでは、セッション数の絶対数の大小ではなく、全体に対する割合を見る。セッション数の1位と2位では2つのセグメント間の割合(図6青枠部分)に大きな違いは見られないが、3位と4位では明らかに逆な傾向が見られる(図6緑枠部分)。
セッション数 | 割合 | |
---|---|---|
リピートユーザーの初回セッション | 76 | 17.51% |
非リピートユーザーの初回セッション | 131 | 7.05% |
セッション数 | 割合 | |
---|---|---|
リピートユーザーの初回セッション | 31 | 7.14% |
非リピートユーザーの初回セッション | 364 | 19.60% |
この例では、リピートしなかったユーザーはソーシャルメディアからの訪問だったということで、「たまたまソーシャルで面白おかしく取り上げられたりしたのをきっかけに訪問したユーザーが、一見さんだったのかもしれない」といった仮説を立てることができそうだ。
すぐにリピーターになってくれた人がどういうコンテンツを閲覧していたのかを分析するには?
続いて閲覧コンテンツを比較するため、[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに、作成した2つのセグメントを掛ける(図7赤枠部分)。
こちらも2つのセグメント間で明らかに閲覧傾向の違いがあらわれている。ページビュー数1位のページはリピートユーザーが中心に接触している(図7青枠部分)のに対して、非リピートユーザーが中心に接触している(図7緑枠部分)のはページビュー数3位のページであることがわかった。
図7のレポートを見ると、ページビュー数と閲覧開始数(図7黄枠部分)がある程度連動しているので、図6のチャネルと図7のページビュー数で結びつきがある程度あると想像できる。
とはいえここは、「参照元/メディア」と「ランディング ページ」の組み合わせのレポートで念押ししたい。そこで、次の分析を行う。
すぐにリピーターになってくれた人の最初の訪問のきっかけやランディングページをより詳しく分析するには?
図8は[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポート(図8赤枠部分)で「セカンダリ ディメンション」に「ランディング ページ」を指定(図8青枠部分)したうえで、該当の2つのセグメントを掛けた(図8緑枠部分)ものだ。こうすることで、図6の「チャネル」より粒度が細かいので、もっと詳しい傾向や違いを確認することができる。
また強いて言えば、2回目(あるいは2回目以降)の訪問についても図8と同じような「参照元」と「ランディング ページ」の組み合わせで見てみるとよいだろう。
- 初回訪問の参照元と2回目には違いがあるのか(ないのか)
- 2回目の訪問で見られたコンテンツの傾向は変化があるのか(ないのか)
といったところが見るポイントだ。
その際に掛けるセグメントは図9のとおりだ。
2回目の訪問セッションを指定する部分が変わるだけなので、図4の指定と異なる部分は、最後の「セッション数」「=」「2」(図9赤枠部分)だけだ。
なお本記事は以下のページ(GinzaMetricsのブログ)を参考にさせていただいた。
- オウンドメディアで良質なコンテンツとは?〜GoogleAnalyticsでリピーター獲得コンテンツを調査する方法〜(http://www.ginzametrics.jp/blog/great-content-about-owned)
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