誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック

なぜか火曜日に限ってアクセスが落ち込みます。どういう原因が考えられますか?

原因不明だが、傾向を感じるような変化が現れることも多い。そういった場合の対処方法を考えてみよう
誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック
丸山先生
医者:丸山先生(35歳・男)
当クリニックの代表。
来栖あきら
研修医:来栖あきら(25歳・男)
イケメンの研修医。
綾瀬ゆい
研修医:綾瀬ゆい(25歳・女)
優しい天然ボケの研修医。

ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る

今回のお悩み
なぜか火曜日に限ってアクセスが落ち込みます。どういう原因が考えられますか?

火曜日にアクセスが減る

僕のお客さんのサイトなんだけど、なぜか火曜日に限ってアクセス数が落ち込むんだよね。

へえ~。毎週そうなの?

グラフを見るとそういう傾向があるんだ。基本的に広告サイトだから、もっとアクセスを安定させたいのだけど。

その変化が、目標達成に関係するかを考える

「アクセス数が安定しない」「この2週間で急に申し込みが少なくなってしまった」といったタイプの悩みはよく聞くね。そういうときに、原因がわからないと、不安になると思うよ。

そうなんですよ。なぜなのか、どうすればいいのか、とても心配になります。

原因を考える前に、まず、そのせいで目標に到達できない状況が発生しているかどうかを確認してみよう。あきら君のサイトは、火曜日のアクセス数が少ないと、目標に到達できないのかな?

うーん、目標としている売り上げは、先日契約した広告の売り上げが大きいので、もうすぐ達成しそうです。もう1つ契約が取れれば、うまくいくかもしれません。

ということは、火曜日のアクセス数変動に、妙にこだわらないほうがよいかもしれないよ。その広告契約をもう1つとったほうが早いかもしれない。ついつい「アクセスが減る」といったネガティブなものに反応して、対処を行いたくなるけど、他の長所を伸ばしたほうが有意義で、目標到達が早くなることもあるからね。

たしかに。

でも、火曜日のアクセス数変動の原因については知っておきたいですよね。

まず事実を集めよう

では、まず火曜日のアクセス数が“本当に”少ないのか、他の日との差を見てみよう。平均をとってみると、どうかな?

だいたい平日のアクセス数は10,000程度。一方で、火曜日は7,000程度です。

ということは、何パーセント違うのだろう?

30%ですね。

変化量をパーセンテージで把握することはとても大切だよ。パーセンテージで把握しないと勘違いをしてしまうことが多いからね。思い込んでいるより、変化していないこともよくあるんだ。

了解しました。でも、今回は予想通り火曜日が減っています。僕の不安は減りませんよ。

それは、データが足りないからだ。何が減っているのか、もっと詳細に見てみよう。

日付を指定して、平日の任意の日と、火曜日を比較してごらん。トラフィック元の変化量はどうかな?

日付の比較機能
日付の選択部分で[過去と比較]にチェックを入れることで、過去の日時と比較してデータを見られる
参照元(すべてのトラフィック)を確認する
参照元(すべてのトラフィック)を確認する

GoogleやYahoo! JAPANからのアクセスが30%程度減っているようです。

では、どのキーワードが減っているのだろう? 「オーガニック検索」レポートを確認してみよう。

キーワードの変化を確認する。「(not provided)」となっている個所は、Googleアナリティクスではうまくキーワードを取得できなかったことを示しており、主にGoogle検索のSSL接続標準化が影響していることが、最近だと多いようだ。
キーワードの変化を確認する。「(not provided)」となっている個所は、Googleアナリティクスではうまくキーワードを取得できなかったことを示しており、主にGoogle検索のSSL接続標準化が影響していることが、最近だと多いようだ。

一番変化量が大きいのは、サイト名である「アクセス解析5分クリニック」ですね。40%程度減っています。あとは全体的にも減っていますね。

じゃあ、今までの検証から、どういうことがわかるかな?

おそらくですが、火曜日だけ、検索数自体が減っているのだと思います。みなさん月曜日にはデータ収集をするけど、火曜日は忙しいのですかね? あくまで推測ですけど……。

いいね。結局、アクセス解析をしても、本当の原因はユーザーに聞かない限りわからない。でも、データを揃えるほど、仮説の精度が上がるんだ。

もう1つ、新しいGoogleアナリティクスで追加された、参考になるデータを紹介しておこう。

Googleアナリティクスの「検索エンジン最適化」
このレポートでは、自社サイトのGoogle社自体が把握しているインプレッション数(検索数)とそのクリック数を見ることができる。つまり、自社サイトがどれくらい表示されて、そのうち、どれくらいクリックされたのかがわかる。

「検索エンジンの最適化」の画面
「検索エンジンの最適化」の画面

“流れ”を捉えよう ―― 自社トレンドの把握

今まで、直近のデータを見ながら、傾向を把握してきた。最後に、四半期ごと、1年前と比べてどうなのかを調べておこう。

1年前と比べると、以前は15%程度少ないだけでしたが、最近は30%程度減っていますね。平均のアクセス数も、8%程度ですが、減っています。

1年前と比べて状況が変わったということだね。これは、何が考えられるだろうか? 外部の環境変化と、内部の環境変化で分けて考えてみよう。

外部という意味では、同じような競合サイトが増えましたね。内部では、コンテンツが増えてきたのですが、昔よりキャッチーな内容が減っていますかね。

こういった流れを把握することを「トレンドの把握」と言うんだ。外部の環境変化を図るには、「Googleトレンド」も役に立つから覚えておこう。

Googleトレンド
「Googleトレンド」では、特定のキーワードについて、過去~現在までの検索数の変化がわかる。ある程度検索ボリュームがある単語でないと調べられない場合もあるが、うまく使えば役に立つだろう。 たとえば「Facebook」というキーワードを調べてみると、検索しているユーザー数が、2008年後半から一気に増加したことなどがわかる。

まとめ

何かが減少すると、不安になるので原因を知りたくなると思う。

しかし、いったん落ち着いて、その減少が、自分たちの目標に直接結びついているかどうかを考えよう。目標達成のためには、うまくいっているところを伸ばすほうがよいこともあるからね。

一方で、何が減少しているのかは、データを揃えて把握しよう。減った減ったというが、具体的に「何」が減ったのか。そして、近年のトレンドを把握する。そうすると、不安が消え、やがて対処方法が見えてくる。ときには、いったん様子見という判断をすることもあるだろう。

そして、ぜひ顧客の声は定期的に聴くようにしよう。数年前の声と、最近の声が違っていることもよくある。それは外部環境が変化したということなので、環境の変化を意識した対策をとろう。

今日の処方箋

お悩みなぜか火曜日に限ってアクセスが落ち込みます。どういう原因が考えられますか?

アドバイス原因を知りたいという気持ちはわかりますが、いったん落ち着いて、目標と関係があるかどうか考えましょう。別の施策をとったほうが、目標達成が早いこともありますよ。その上で、詳細データを1つずつ揃えて見てみましょう。具体的には、「何」のアクセスが減ったのか、詳細を確認していきます。 以下3ステップで進めましょう。

  1. 12【2分】 日付の比較機能を使用する

    通常日と、変化した日の2つを選んで、比較機能を使用します。

    参照元を確認する
    比較機能で過去と比べる
  2. 34【2分】 すべてのトラフィックで、減ったトラフィックを比較する

    [トラフィック]>[参照元]>[すべてのトラフィック]を見て、どのトラフィックが減ったのかを確認します。

    参照元を確認する
    参照元を確認する
  3. 5【1分】 具体的に減ったキーワードを確認する

    [トラフィック]>[検索]>[オーガニック検索]を見て、キーワードごとの検索トラフィックの変化を確認します。

    キーワードの変化を確認する
    キーワードの変化を確認する
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SEOやソーシャルなど各分野の著名人が講師を務める、ウェブ担当者向けの通信講座「ウェブ担当者通信」(主催:ホームページ診断クリニック代表・丸山耕二)は、7月6日(金)よりメールマガジン「週刊!ウェブ担当者e通信」を発行します。毎週金曜日発行で、購読料は無料となります。

「週刊!ウェブ担当者e通信」は、ウェブ担当者向けの無料メルマガで、その週のニュースなどを中心に構成されています。「情報が速くて多すぎるウェブ業界において、あえて情報を絞る・厳選する」形でお届けしていき、ウェブ担当者の日々の業務を助けることを目的としています。

主なコンテンツとしては

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などを順次掲載・配信する予定です。

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http://webtan-tsushin.com/mailmaga.html?md=webtan

この「ウェブ担当者通信」は、Web担当者Forumが運営しているものではなく、この連載の筆者である丸山耕二が企画しているものです。

【本件に関するお問い合わせ先】

  • ホームページ診断クリニック ウェブ担当者通信事業部
  • 担当 : 丸山・児玉
  • TEL  : 050-5534-5501
  • FAX  : 03-4578-2011
  • E-mail: support@webtan-tsushin.com

※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作

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