誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック

Googleアナリティクスってなぜ無料なんですか? 有料サービスとどう違う?

アクセス解析ツールの標準的な存在になっているが、Googleアナリティクスは、そもそもどういうものなのだろうか?
誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック
丸山先生
医者:丸山先生(35歳・男)
当クリニックの代表。
来栖あきら
研修医:来栖あきら(25歳・男)
イケメンの研修医。
綾瀬ゆい
研修医:綾瀬ゆい(25歳・女)
優しい天然ボケの研修医。

ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る

今回のお悩み
Googleアナリティクスってなぜ無料なんですか? 有料サービスとどう違う?

いまさら聞けないGoogleアナリティクスの仕組み

先日クライアントから、「Googleアナリティクスって、なぜ無料で使えるんですか?」って聞かれました。どう答えればいいのか、とっさに考えつかなくて……。

そういえば僕も「とりあえずGoogleアナリティクスを入れているけど、これだけで大丈夫ですかね?」って聞かれたことがあるよ。

Googleアナリティクスは無料で高機能だから、アクセス解析ツールとして標準のようになっているけど、そういう根本的な疑問を持つ人もいるだろうね。

そもそもグーグルは、さまざまなツールを無料で提供しているけど、アクセス解析の機能という部分だけでも「Googleアナリティクスで本当にいいのか?」「仕組みはどうなっているのか?」などいろんな疑問が沸いてくる。

今回は、改めてGoogleアナリティクスについて考えてみよう。

なぜ無料なのか?

そもそも、Googleアナリティクスはなぜ無料なのか?という疑問がある。来栖君はどう思う?

え!? グーグルからは無料ツールがたくさん出ているから、その一環かな、という感じで思っていて、深く考えたことはないですね。

じつは「良いサイトを増やすため」というのが定説だ。まあ、本当のところはグーグル先生に聞いてもわからないね(笑)。ただ、Googleアナリティクスの歴史を知っておくとよいと思う。

「Urchin」という有料の解析ツールを作っていた会社を、グーグルが買収したのがスタートだ(2005年)。これをもとにして、無料の「Googleアナリティクス」が登場し、発展してきたんだ。

その後2012年になって大規模サイト向けの「Googleアナリティクスプレミアム」という有料プランが登場した。

さらに、Googleアナリティクス全体のデータ収集の仕組みを変えた「ユニバーサルアナリティクス」が登場した、というのが大きな流れだ。

一般的なサイトにとっては、無料で進化しているのが魅力ですね。有料版の登場や仕組みの変更は、アクセス解析に対するグーグルのスタンスが、変わってきているのかもしれません。

ただ、「ずっと無料なのか?」ということは、少し考えておいたほうがいいかもしれない。僕個人は、無料プランは残ると思っているけど、無料版にはリスクもあるんだ。下記の記事などを一読しておいたほうがいいだろう。

何がわかるのか?

さて、そのGoogleアナリティクスでは何がわかるのだろう?

まずは、基本的なこととして、

  • 1日当たりの訪問者数
  • その時間帯
  • アクセスの多いコンテンツ
  • 検索で来たのか、直接URLを入力してきたのか

などがわかりますよね。

  • Google+やFacebookなど、起点となったソーシャルメディア
  • 検索されたキーワード
  • サイト内の動線や滞在時間

などもわかりますよね。

他にもさまざまなことがわかる。ただ、いろんなことがわかるために、レポート画面が複雑になっているから、混乱してしまう人も多いね。

それはクライアントからもよく聞かれます。「メニューがたくさんあるけど、どこから見るべきか?」とか。

1つの考え方として、たくさんのデータが貯まっているのだから、「安心して、見たいところから見ればいい」という答えがある。

むしろ厄介なのは、Googleアナリティクスには残らないデータだ。それは対処していかないといけない。

これはGoogleアナリティクスの仕組みを知ると、必然的にわかると思うので、後ほど説明しよう。

他のツールとの違いは?

アクセス解析ツールって、「Yahoo!アクセス解析」などもありますよね。有料だと「アドエビス」や「Adobe Analytics(旧名:SiteCatalyst)」などもあります。それらとGoogleアナリティクスの違いは何なのでしょうか?

それはやっぱり提供している会社が違うんだよ(笑)。

それは私たちでもわかります! 真面目に教えてください……。

いや、真面目に答えたつもりだよ。「無料のツールであっても、その会社を信用できるか」という観点もあるから、どの会社が提供しているか、ということは非常に重要だ。

たとえば2007年と昔のデータだけど、この記事を見てほしい。

その後それぞれ進化しているし、「Yahoo!アクセス解析」などここに入っていないものもあるけれど、基本的に見るべき比較点はわかるだろう。

そのうえで、「Googleアナリティクスと他のツールがどう違うのか」「他のツールを使うべきなのか?」という疑問が出てくるかもしれない。

ただ、それを考えるには、そもそも「自分たちがどんなデータを収集したいのか?」ということを理解している必要がある。とはいうものの、これはなかなか難しい質問だから、まずGoogleアナリティクスを導入してみて、足りないデータに気付いたら、他のツールを検討するというのが無難だろう。

幸いにして、「Googleアナリティクス」と「Yahoo!アクセス解析」は、ともに無料だ。もし気になるなら同時に入れればいいし、面倒くさいならどちらか1つだけを試してみればいい。Googleアナリティクスにこだわる必要もない。基本的には、これら2つの情報収集の仕組みは「ビーコン型」と呼ばれるものでいっしょだから、レポート画面などがちょっと違うという認識でいいと思う。

参考までに主な違いを下記に書いておくよ。

GoogleアナリティクスYahoo!アクセス解析
利用条件特になし(Googleアカウントが必要)Yahoo!プロモーション広告の利用者
利用料原則無料(有料プランもあり)原則無料
現況Googleアナリティクスから、より総合的な解析を想定したユニバーサルアナリティクスへ移行を開始。ただし、ユニバーサルアナリティクスはまだベータ版であり、動かない機能もある10月にYahoo!アクセス解析がリリース
アカウント開設方法Googleアナリティクスのサイトからアカウント登録Yahoo!プロモーション広告の管理画面からアクセス
インストール方法JavaScriptのトラッキングコードを入れ込むJavaScriptのトラッキングコードを入れ込む
新機能の顧客属性表示グーグル(DoubleClick)の広告データなどと連携した顧客属性表示(性別・年齢など)
※この機能は2013年11月現在、まだユニバーサルアナリティクスでは使えない
ヤフーの広告データなどと連携した顧客属性表示(性別・年齢・ネットリテラシーなど)
特徴・違いアプリやオフライン媒体の計測、顧客のLTVなど、より本格的な分析ができる項目が目立ってきている「人気ページ」など初心者にもわかりやすいメニュー名が目立つ。またどのような業種・組織からの訪問が多いかなど、Yahoo!独自データを用いたユニークな項目も存在

Googleアナリティクスでできないことって?

さて、次はいよいよ「Googleアナリティクスでは、何ができないのか?」を知ろう。先ほども言ったけど、Googleアナリティクスの基本的な仕組みを知ると、必然的にわかると思う。

以下、インストール作業の順番に従って、各段階で沸き上がる疑問に回答していこう。

1.Googleアナリティクスで、まずサイトのURLなどを設定するのはなぜ?

Googleアナリティクスのサーバー側に、データの入れ物(プロパティ)を用意するためだ。その準備ができると、「トラッキングコード」が発行される。

2.発行されたトラッキングコードを、自社サイトの全ページに貼り付けるのはなぜ?

ユーザーのアクセスデータをGoogleアナリティクスのサーバーに送信するためだ。もしトラッキングコードを一部のページにしか貼らなかったら、一部のデータしか送信できない。

このトラッキングコードはJavaScriptというプログラム言語で書かれている。これを各ページに埋め込むことで、全ページからデータが送信される。

JavaScriptプログラムは各ユーザーのブラウザ上で実行される。したがって、ブラウザが違っていたら、別々に実行されるから違う人とカウントされる。

3.トラッキングコードはどんなデータを収集している?

標準では、ページのURL、ページのタイトル、リファラ、OSやブラウザの種類とバージョン、画面の解像度などだ。JavaScriptで収集できるデータに限られる。

4.トラッキングコードはどんなデータを送信している?

トラッキングコードの一部のプログラムが、先ほど収集したデータを、Googleのサーバーに送信している。またコードをカスタマイズすれば、カスタマイズしたデータを送信することもできる。

Googleサーバー側では、そのデータをもとに「だれが(匿名)」「いつ(時刻)」「どのページを」見たかという情報が保存される。

5.どうやってレポートが作成される?

収集したデータは、一度Googleサーバー側で処理される。その作業が完了すると、管理画面のレポートとして見られるようになる。

したがって、レポートにデータが表示されるには最大24時間程度の時差がある。

なお、リアルタイムレポートは、少しの時間差はあるが、アクセスされた瞬間のデータを見られるようになっている。

なんとなくわかりました。つまり、JavaScriptで収集できないデータは取得できないのですね。

それに、Googleアナリティクスに保存されているのは「だれが、いつ(時刻)、どのページを見た」という情報だけだから、特定ページのキャッチコピーや商品概要を熟読しているかどうかまでは、そのままではわからないんだよ。

だいぶわかってきたね。もしそういったデータが必要ならば、基本的には別のツールを検討する必要がある。そういう経験を経て、有料のツールなどが検討範囲に入ってくるんだ。

応用するために必要な知識な何か?

最後に、Googleアナリティクスの応用を考えてみよう。基本的に、応用は下記の3つの観点にわかれる。

  • Googleアナリティクスの管理画面を、より使いこなしていく
  • Googleアナリティクスのデータ収集方法を、もっとカスタマイズしていく
  • Googleアナリティクスで収集したデータを、別のシステムのデータと統合して扱えるようにしていく

どれも難しく感じますけど、特にデータ収集方法のカスタマイズは時々記事になっていますが、見るだけで頭が痛くなりますね。

先ほど綾瀬さんが言ってくれたけど、GoogleアナリティクスはJavaScriptを活用している。なので、もし応用したいならば、先にJavaScriptの知識を付けると、Googleアナリティクスをより使いこなせるよ。

JavaScriptですか……。jQueryとかも必須の技術になってきたし、そろそろ勉強しなきゃダメですかね。

解析が楽しくなってきたなら、JavaScriptはぜひ身に付けてほしい知識だね。技術的な視点が身についてくれば、解析に対する苦手意識も減ってくるはずだよ。

管理画面の使いこなしはどうしたらいいですか?

これは慣れもあるね。僕がどうこういうより、衣袋教授の連載を読んでぜひいろいろ試してほしい。

Googleアナリティクスのデータを他のシステムのデータと統合するということについては、高度なプログラミングの知識などが必要だ。だからここでは解説しないが、やろうと思えばかなりのことができるのも確かだ。

まとめ

今回は基本に立ち返り、改めていまさら聞けないGoogleアナリティクスの仕組みを説明してみた。ふだん何気なく使っているツールも、その背景を知ることでより使いこなせることは多い。ぜひ今回説明した部分を踏まえて、Googleアナリティクスを使いこなそう。

今日の処方箋

お悩みGoogleアナリティクスってなぜ無料なんですか? 有料サービスとどう違う?

アドバイス今回は、クイズを出題。以下のYes/No問題に答えてみましょう。

  1. 12【2分】 Googleアナリティクスで収集できるのは、JavaScriptで収集できるデータだけである

    Yes? No?

  2. 34【2分】 トラッキングコードは、まずトップページにだけ貼ればよい

    Yes? No?

  3. 5【1分】 Googleアナリティクスで保存されるデータは、基本的に「だれが、いつ、どのページを見たか」というデータである

    Yes? No?

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講座の内容

  • 第1章 概要、仕組み
  • 第2章 戦略の立て方(まず何から始めるべきか?)
  • 第3章 広告を出稿してみよう(検索広告編)
  • 第4章 コンテンツ広告を知ろう
  • 第5章 初心者でも美しい運用で利益を出そう
  • 第6章 よくある質問

講座概要

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  • 受講料: (ウェブ担当者通信プレミアムメンバー以外)8,400円(税込、講座+教材の場合は1万214円)
  • 定員: 20名
  • 主催: ウェブ担当者通信
  • 詳細情報と申し込み: http://webtan-tsushin.com/kouza/listing_basic.html

※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作

用語集
Googleアナリティクス / JavaScript / LTV / PPC / アクセス解析 / ソーシャルメディア / リスティング広告 / 訪問 / 訪問者
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