Googleアナリティクスってなぜ無料なんですか? 有料サービスとどう違う?
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
Googleアナリティクスってなぜ無料なんですか? 有料サービスとどう違う?
いまさら聞けないGoogleアナリティクスの仕組み
先日クライアントから、「Googleアナリティクスって、なぜ無料で使えるんですか?」って聞かれました。どう答えればいいのか、とっさに考えつかなくて……。
そういえば僕も「とりあえずGoogleアナリティクスを入れているけど、これだけで大丈夫ですかね?」って聞かれたことがあるよ。
Googleアナリティクスは無料で高機能だから、アクセス解析ツールとして標準のようになっているけど、そういう根本的な疑問を持つ人もいるだろうね。
そもそもグーグルは、さまざまなツールを無料で提供しているけど、アクセス解析の機能という部分だけでも「Googleアナリティクスで本当にいいのか?」「仕組みはどうなっているのか?」などいろんな疑問が沸いてくる。
今回は、改めてGoogleアナリティクスについて考えてみよう。
なぜ無料なのか?
そもそも、Googleアナリティクスはなぜ無料なのか?という疑問がある。来栖君はどう思う?
え!? グーグルからは無料ツールがたくさん出ているから、その一環かな、という感じで思っていて、深く考えたことはないですね。
じつは「良いサイトを増やすため」というのが定説だ。まあ、本当のところはグーグル先生に聞いてもわからないね(笑)。ただ、Googleアナリティクスの歴史を知っておくとよいと思う。
「Urchin」という有料の解析ツールを作っていた会社を、グーグルが買収したのがスタートだ(2005年)。これをもとにして、無料の「Googleアナリティクス」が登場し、発展してきたんだ。
その後2012年になって大規模サイト向けの「Googleアナリティクスプレミアム」という有料プランが登場した。
さらに、Googleアナリティクス全体のデータ収集の仕組みを変えた「ユニバーサルアナリティクス」が登場した、というのが大きな流れだ。
一般的なサイトにとっては、無料で進化しているのが魅力ですね。有料版の登場や仕組みの変更は、アクセス解析に対するグーグルのスタンスが、変わってきているのかもしれません。
ただ、「ずっと無料なのか?」ということは、少し考えておいたほうがいいかもしれない。僕個人は、無料プランは残ると思っているけど、無料版にはリスクもあるんだ。下記の記事などを一読しておいたほうがいいだろう。
何がわかるのか?
さて、そのGoogleアナリティクスでは何がわかるのだろう?
まずは、基本的なこととして、
- 1日当たりの訪問者数
- その時間帯
- アクセスの多いコンテンツ
- 検索で来たのか、直接URLを入力してきたのか
などがわかりますよね。
- Google+やFacebookなど、起点となったソーシャルメディア
- 検索されたキーワード
- サイト内の動線や滞在時間
などもわかりますよね。
他にもさまざまなことがわかる。ただ、いろんなことがわかるために、レポート画面が複雑になっているから、混乱してしまう人も多いね。
それはクライアントからもよく聞かれます。「メニューがたくさんあるけど、どこから見るべきか?」とか。
1つの考え方として、たくさんのデータが貯まっているのだから、「安心して、見たいところから見ればいい」という答えがある。
むしろ厄介なのは、Googleアナリティクスには残らないデータだ。それは対処していかないといけない。
これはGoogleアナリティクスの仕組みを知ると、必然的にわかると思うので、後ほど説明しよう。
他のツールとの違いは?
アクセス解析ツールって、「Yahoo!アクセス解析」などもありますよね。有料だと「アドエビス」や「Adobe Analytics(旧名:SiteCatalyst)」などもあります。それらとGoogleアナリティクスの違いは何なのでしょうか?
それはやっぱり提供している会社が違うんだよ(笑)。
それは私たちでもわかります! 真面目に教えてください……。
いや、真面目に答えたつもりだよ。「無料のツールであっても、その会社を信用できるか」という観点もあるから、どの会社が提供しているか、ということは非常に重要だ。
たとえば2007年と昔のデータだけど、この記事を見てほしい。
その後それぞれ進化しているし、「Yahoo!アクセス解析」などここに入っていないものもあるけれど、基本的に見るべき比較点はわかるだろう。
そのうえで、「Googleアナリティクスと他のツールがどう違うのか」「他のツールを使うべきなのか?」という疑問が出てくるかもしれない。
ただ、それを考えるには、そもそも「自分たちがどんなデータを収集したいのか?」ということを理解している必要がある。とはいうものの、これはなかなか難しい質問だから、まずGoogleアナリティクスを導入してみて、足りないデータに気付いたら、他のツールを検討するというのが無難だろう。
幸いにして、「Googleアナリティクス」と「Yahoo!アクセス解析」は、ともに無料だ。もし気になるなら同時に入れればいいし、面倒くさいならどちらか1つだけを試してみればいい。Googleアナリティクスにこだわる必要もない。基本的には、これら2つの情報収集の仕組みは「ビーコン型」と呼ばれるものでいっしょだから、レポート画面などがちょっと違うという認識でいいと思う。
参考までに主な違いを下記に書いておくよ。
Googleアナリティクス | Yahoo!アクセス解析 | |
---|---|---|
利用条件 | 特になし(Googleアカウントが必要) | Yahoo!プロモーション広告の利用者 |
利用料 | 原則無料(有料プランもあり) | 原則無料 |
現況 | Googleアナリティクスから、より総合的な解析を想定したユニバーサルアナリティクスへ移行を開始。ただし、ユニバーサルアナリティクスはまだベータ版であり、動かない機能もある | 10月にYahoo!アクセス解析がリリース |
アカウント開設方法 | Googleアナリティクスのサイトからアカウント登録 | Yahoo!プロモーション広告の管理画面からアクセス |
インストール方法 | JavaScriptのトラッキングコードを入れ込む | JavaScriptのトラッキングコードを入れ込む |
新機能の顧客属性表示 | グーグル(DoubleClick)の広告データなどと連携した顧客属性表示(性別・年齢など) | ヤフーの広告データなどと連携した顧客属性表示(性別・年齢・ネットリテラシーなど) |
特徴・違い | アプリやオフライン媒体の計測、顧客のLTVなど、より本格的な分析ができる項目が目立ってきている | 「人気ページ」など初心者にもわかりやすいメニュー名が目立つ。またどのような業種・組織からの訪問が多いかなど、Yahoo!独自データを用いたユニークな項目も存在 |
Googleアナリティクスでできないことって?
さて、次はいよいよ「Googleアナリティクスでは、何ができないのか?」を知ろう。先ほども言ったけど、Googleアナリティクスの基本的な仕組みを知ると、必然的にわかると思う。
以下、インストール作業の順番に従って、各段階で沸き上がる疑問に回答していこう。
1.Googleアナリティクスで、まずサイトのURLなどを設定するのはなぜ?
Googleアナリティクスのサーバー側に、データの入れ物(プロパティ)を用意するためだ。その準備ができると、「トラッキングコード」が発行される。
2.発行されたトラッキングコードを、自社サイトの全ページに貼り付けるのはなぜ?
ユーザーのアクセスデータをGoogleアナリティクスのサーバーに送信するためだ。もしトラッキングコードを一部のページにしか貼らなかったら、一部のデータしか送信できない。
このトラッキングコードはJavaScriptというプログラム言語で書かれている。これを各ページに埋め込むことで、全ページからデータが送信される。
JavaScriptプログラムは各ユーザーのブラウザ上で実行される。したがって、ブラウザが違っていたら、別々に実行されるから違う人とカウントされる。
3.トラッキングコードはどんなデータを収集している?
標準では、ページのURL、ページのタイトル、リファラ、OSやブラウザの種類とバージョン、画面の解像度などだ。JavaScriptで収集できるデータに限られる。
4.トラッキングコードはどんなデータを送信している?
トラッキングコードの一部のプログラムが、先ほど収集したデータを、Googleのサーバーに送信している。またコードをカスタマイズすれば、カスタマイズしたデータを送信することもできる。
Googleサーバー側では、そのデータをもとに「だれが(匿名)」「いつ(時刻)」「どのページを」見たかという情報が保存される。
5.どうやってレポートが作成される?
収集したデータは、一度Googleサーバー側で処理される。その作業が完了すると、管理画面のレポートとして見られるようになる。
したがって、レポートにデータが表示されるには最大24時間程度の時差がある。
なお、リアルタイムレポートは、少しの時間差はあるが、アクセスされた瞬間のデータを見られるようになっている。
なんとなくわかりました。つまり、JavaScriptで収集できないデータは取得できないのですね。
それに、Googleアナリティクスに保存されているのは「だれが、いつ(時刻)、どのページを見た」という情報だけだから、特定ページのキャッチコピーや商品概要を熟読しているかどうかまでは、そのままではわからないんだよ。
だいぶわかってきたね。もしそういったデータが必要ならば、基本的には別のツールを検討する必要がある。そういう経験を経て、有料のツールなどが検討範囲に入ってくるんだ。
応用するために必要な知識な何か?
最後に、Googleアナリティクスの応用を考えてみよう。基本的に、応用は下記の3つの観点にわかれる。
- Googleアナリティクスの管理画面を、より使いこなしていく
- Googleアナリティクスのデータ収集方法を、もっとカスタマイズしていく
- Googleアナリティクスで収集したデータを、別のシステムのデータと統合して扱えるようにしていく
どれも難しく感じますけど、特にデータ収集方法のカスタマイズは時々記事になっていますが、見るだけで頭が痛くなりますね。
先ほど綾瀬さんが言ってくれたけど、GoogleアナリティクスはJavaScriptを活用している。なので、もし応用したいならば、先にJavaScriptの知識を付けると、Googleアナリティクスをより使いこなせるよ。
JavaScriptですか……。jQueryとかも必須の技術になってきたし、そろそろ勉強しなきゃダメですかね。
解析が楽しくなってきたなら、JavaScriptはぜひ身に付けてほしい知識だね。技術的な視点が身についてくれば、解析に対する苦手意識も減ってくるはずだよ。
管理画面の使いこなしはどうしたらいいですか?
これは慣れもあるね。僕がどうこういうより、衣袋教授の連載を読んでぜひいろいろ試してほしい。
Googleアナリティクスのデータを他のシステムのデータと統合するということについては、高度なプログラミングの知識などが必要だ。だからここでは解説しないが、やろうと思えばかなりのことができるのも確かだ。
まとめ
今回は基本に立ち返り、改めていまさら聞けないGoogleアナリティクスの仕組みを説明してみた。ふだん何気なく使っているツールも、その背景を知ることでより使いこなせることは多い。ぜひ今回説明した部分を踏まえて、Googleアナリティクスを使いこなそう。
お悩みGoogleアナリティクスってなぜ無料なんですか? 有料サービスとどう違う?
アドバイス今回は、クイズを出題。以下のYes/No問題に答えてみましょう。
- 【2分】 Googleアナリティクスで収集できるのは、JavaScriptで収集できるデータだけである
Yes? No?
- 【2分】 トラッキングコードは、まずトップページにだけ貼ればよい
Yes? No?
- 【1分】 Googleアナリティクスで保存されるデータは、基本的に「だれが、いつ、どのページを見たか」というデータである
Yes? No?
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