食べログは好みの近さをキーに再構築すべきである
今日は、おいしいレストランの探し方について……ではなく、データ分析と、セグメンテーション(ターゲティング)の考え方について軽く。
食べログというと、みなさんご存じ、ランキングと口コミで探せるグルメサイト。私もよく使うのですが、実はここのランキング(星評価)は、ほとんどあてにしていません。
というのも、「どんな人が」評価したのかによって私にとって星の重要度が変わるのに、だれが評価しても同じ価値で計算されているからです。
濃いソースの味付けが好きな人と、白身の淡泊ななかにある味わいを楽しみたい人は、好みの方向がまったく違います。分量が少なくてもいいので質の高い料理を楽しみたい人もいれば、量が少ないと納得いかない人もいます。明るくてにぎやかな雰囲気が好きな人にとっての「楽しい店内」は、落ちついて食事を楽しみたい人にっとっては「やかましい店」になります。
年齢や求めるものは人によってバラバラなのに、それをすべて「星」という評価でまとめてしまっているのが今の食べログなのです。
恵比寿に北海道料理を出す良店があり、以前に知人とそこで食事をしました。食後にその知人が言いました。「食べログではさほど評価が高くなかったから、こんなに良い店でびっくりした」と。その店は、若者向けではない、大人向けの静かな名店でした。
その店はまた別の知人に教えてもらった店なのですが、ほかにもその人が教えてくれて私がすごく気に入った店がありました。だから、私はその人が紹介してくれる店は無条件で信頼するようにしています。
だから、私は食べログに言いたい。
すべての人をいっしょくたにした星評価ではなく、「自分の好みと近い人の評価を重視する、好みの近い人ベースのレコメンデーション」を実現してほしい、と。
実は、そうしたコンセプトはすでにあります。「Retty(レッティ)」というサイトで、「あなたが信頼できる友だちや嗜好の合う人の口コミを通じて、新しいお店との出会いを体験しましょう
」というキャッチフレーズでわかるように、好みの似ている人の情報を中心として扱う仕組みです。
・Retty
→ http://retty.me/
さて、ここまでレストラン探しのときに使うサイトに関する話をしてきましたが、実はこの話題はWebにも幅広く適用できるものです。
アクセス解析データの分析、A/Bテストの結果、サイト上でのレコメンデーションなどはいずれも、全体を見るのではなく、何らかの軸でセグメンテーションすることで、もっと違ったものが見えてくるものです。
たとえば、すでに御社やその商材のことを知っている人と、初めて知った人。再訪問かどうかや以前に商品ページを見たことがあるかによって、どんなコンテンツを見たいかや申し込む(コンバージョンする)モチベーションは違うでしょう。
それを「全体平均として処理」するのは最善なのでしょうか。
アドビのTest&TargetはA/Bテストや多変量解析をもとに最適なコンテンツを自動的に出していくツールですが、そのサービス名は「Test」だけでなく「Target」も含まれています。つまり、全体で1つのA/Bテストをするだけでは不十分で、ユーザーのセグメントによってテスト結果に違いが出るはずだから適切にターゲティング(セグメント分け)するのが重要だというコンセプトが根底にあるのです。
CMSとアクセス解析やA/Bテストツールが統合された「Sitecore(サイトコア)」というツールがあります。このツールはターゲティングをちょっとおもしろい形で実現しています。ターゲットセグメントをいくつかの軸でレーダーチャートとして設定しておけば、「どのターゲットプロファイルに近いか」で自動的にユーザーをセグメント分けしてくれるのです。
Webから少し離すと、セミナーイベントのアンケートなどでも同じです。御社のセミナーに初めて来た人と、セミナー参加が3回目の人では、セミナーを見て感じることも違うでしょう。そうした分析から「うちのセミナーに初めて来た人に説明しますが~」という冒頭のメッセージを入れたほうがいいと判断することもあります。
ビッグデータの時代ですから(それが言いたかった)、ぜんぶまるっと平均して扱うのではなく、もっと「良い結果を生むため」のセグメンテーション、工夫できるようになりたいものですね。
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