ブラックSEOとSEOの王道 & 東日本大震災に学ぶ危機管理のあり方 ~HeartCoreクラウドDAYレポート
鈴与シンワートは、セミナー「HeartCoreクラウドDAY2011WINTER」を、2012年12月9日(金)東京国際フォーラムで開催した。当初50名の定員だったところ150名を超える申込者があったため、会場を拡張して開催された。
「HeartCoreクラウドDAY」は同社が定期的に開催しているセミナーイベントで、今回が第2回。Webの活用の第一人者としてWeb担当者Forum編集長の安田 英久 氏と、リスクヘッジの第一人者として危機管理勉強会『齋藤塾』塾長 齋藤 實 氏 (前東京都総合防災部情報統括担当課長)をゲストスピーカーに迎え、それぞれのトピックに関して参加者に情報を提供したほか、同社の提供するCMS「HeartCore(ハートコア)」の製品情報や新しいオプションサービス「BCPオプション」の情報などが解説された。
【基調講演】
ブラックSEO屋の手口とSEOの王道、教えます
最初のセッションは、「SEO」に関するもの。Web担当者Forum 編集長の安田 英久 氏が講演を行った。
安田氏は、まず「ブラックハットSEO」について定義した。ブラックハットSEOとは、SEO効果を上げるために行う行為のうち、検索エンジンの利用規約に違反するようなもの。あくまでも検索エンジンという私企業の定めたルールであり法律で定められているわけではないため、ブラックハットSEOは犯罪ではない。ただし、他人の権利を侵害するようなブラックハットSEOもあり、そちらは法律上の問題を引き起こす可能性がある。
セッションでは、まずSEO企業について、ブラックとホワイトのタイプによって、次の7つに分類した。
- 100%ホワイトハット系
- 成果のためにはブラックもやむを得ず系
- たまたまホワイトハット系
- 無法者ブラックハット系
- 無知ブラックハット系
- 意味なしSEO施策系
- 詐欺的ブラックSEO企業
まず解説したのは、「詐欺的ブラックハットSEO企業」について。たとえば、「成果報酬SEO」として受注した後に何もせず、たまたま検索順位が上がったら自社の成果だとして報酬を請求する企業や、怪しいリンクをクライアント企業のサイトに勝手に仕込む企業などがいることを紹介する。
次に、以前は効果があるとされていたが今は検索順位アップに対して効果がない「意味なしSEO」系の手法を解説。こうした手法は、今や効果がないばかりか、場合によってはペナルティによってサイトが検索エンジンにヒットしないようになる場合がある。
また、Webサイトの管理者には必須の行動として安田氏は、Googleウェブマスターツールにサイトを登録しておくことを勧めた。ウェブマスターツールに登録することで、意図せず行った違反行為に対する警告を受け取れるようになるからだ。
また、SEO事業者を見分ける方法の1つとして、「人気の高い無理目のビッグワードで検索順位1位になるための提案を依頼する」ことを紹介。それに対して営業マンが「やります」と言う業者は、SEOのことを理解していないか、ブラックな手法を厭わないSEO業者の可能性が高い。そういった依頼に対して、達成が難しいこと、そのためにどのような施策が必要かを解説してくる業者のほうが信頼できるとした。
そうしたSEOの「ブラック」「ホワイト」の全体の解説をしたうえで、安田氏は、そもそもSEOとはどういったものか、どうするべきかを解説した。
SEOの目的は、検索結果で1位になることではなく、自社サイトのゴールを達成する可能性の高い訪問者を検索エンジン経由で獲得すること。もちろん、その手段として検索順位は重要だが、検索エンジンのアルゴリズムは年間数百回変更されるので、「検索アルゴリズムに合わせてサイトを調整する」ことよりも、「検索エンジンが目指す方向に合ったサイトを作る」ことを勧める。
検索エンジンが目的としているのは、検索ユーザーに対して、その人が求めているだろう良いコンテンツを提示すること。だから、検索エンジンが高く評価する「価値が高いサイト」を作り続けることが重要なのである。ただし、どれだけ良いコンテンツであっても、検索エンジンがそれを理解できなければ意味がない。そのため、検索エンジンのロボットが理解できるサイトやページを作ることも、併せて重要なのだ。
続いてキーワードの選び方を紹介する。重要なのは人が実際に検索する言葉をキーワードとして選択することであるとして、「印鑑」を例に説明した。業界では正しい呼び名は「印章」であるため、Webサイトで正しい表記をしようとすると、サイト上にも「印章」と書くことになる。しかし、ほとんどの検索ユーザーは「印章」ではなく「印鑑」で検索する。そのため、サイト上で使うキーワードとして選ぶのは「印鑑」とするべきである。自分の顧客のニーズを想像し、検討し、最後にGoogle Insights for Searchなどのツールを使って適正なキーワードを選ぶことが重要であると述べた。
最後に最も重要なこととして、ロングテールSEOを解説した。最近はトップページではなく、末端のページに利用者がランディングすることが多いため、トップページ重視ではなく各ページ重視でサイトを充実させるSEOだ。見込み客がもつさまざまなニーズに対して適切な検索キーワードを調べ、各キーワードに対応したコンテンツページを作ってそこをランディングページとし、そこからサイトのゴールへと来訪者を導く動線を作っていく手法だ。そうしたロングテールSEOのためにはコンテンツを多く作る必要があるが、社員で書き続けるのが難しい場合は、外部のライターに委託するのも方法であると述べた。
【デモンストレーション】
オールインワン型次世代CMS「HeartCore」のご紹介
続いて株式会社ジゾン 代表取締役社長/CEO 神野 純孝 氏が登壇し、コンテンツ管理システム「HeartCore」のデモと説明を行った。HeartCoreはジゾンが開発したCMSで、鈴与シンワートはその販売や、SaaS版のサービス提供を行っている。
神野氏によると、最近の傾向として68%が末端ページランディングすることが多い。そこからトップページに遷移する人は8%だけである。よって末端のページを充実させることが重要である。末端のコンテンツを効率的に作成するためには、「HeartCore」のようなコンテンツ管理システムが必要である。また、多くの末端ページのSEOを行うためには「HeartCore」の自動SEO機能が有効であると述べた。
「HeartCore」がEコマースサイトでの理由が多い理由は、商品点数が多い場合には、それぞれにSEO機能を強化するのは手間も費用も掛かるため、「HeartCore」の自動SEO機能が効果的だからである。
- ※HeartCoreの詳細と資料については以下を参照。
http://www.shinwart.co.jp/hc/main/
【特別講演】
東日本大震災に学ぶ、危機管理のあり方
~企業が取るべき対策とは?~
続いて危機管理勉強会「齋藤塾」の塾長 齋藤 實 氏 (前東京都総合防災部情報統括担当課長)が登壇。ここでは、東日本大震災時に東京都災害対策本部の広報班の責任者として、プレス対応等をした経験を振り返りながら、企業の危機管理に対する考えを講演した。
平常時は仕事を継続するためには電気とネットワークが生きていることが不可欠である。想定外の震災が起きたときは電気・ネットワークだけでなく、水道やガスなども止まってしまうことを想定しておく必要がある。そのような想定外を想定して対応するためには、複雑なBCP対策(事業継続計画)を実現するよりもシンプルでも効果的な危機管理を行う必要がある。
BCP対策が最も普及している業界は金融機関であり、もっとも普及していないのは医療と社会福祉である。しかし、3月11日の震災時に機能したBCP対策がどれくらいあるかといえば、ほとんど機能しなかったといえる。BCPの初動は安否確認と被害状況の確認である。しかし、3月11日の震災時はネットワークがつながらなかったので、安否確認と被害状況の確認ができなかった。今後の危機管理では想定外を想定するべく、ネットワークが稼働していないことを前提に危機管理の在り方を考えるべきである。また、震災時は平常時とは違うため、事業責任者の指示がなくても動けるような小さな組織単位で対応ができるようにするべきであるといったことを解説した。
【新サービス解説】
「HeartCore_SaaS BCPオプション」のご紹介
最後に、鈴与シンワート株式会社 情報サービス事業本部 企画推進室 CMSビジネス推進 部長 松田 高明 氏が登壇。12月6日に販売開始した「HeartCore_SaaS BCPオプション」を解説した。
「HeartCore_SaaS BCPオプション」は、不慮の災害などでWebサーバーが停止した際に、遠隔地のバックアップサイトで20分以内の迅速復旧を可能にするためのもので、同社が提供するHeartCoreのSaaS版で利用できる。
Webサイトは会社の玄関であり、震災時といえどもWebサーバーがダウンしていれば、事業継続計画ができていない会社とみられ、会社の信頼を落とすこともある。また、震災時に社員や顧客への情報発信ツールとして重要な役割をすることから、WebサイトにもBCP対策が必要不可欠であると述べた。
鈴与シンワートのBCPオプションは下図の通り、ベストエフォート回線などの低コストな回線を使用し、関西地区にレプリケーションを行い、有事に際してはシステム規模にかかわらず20分以内のシステム復旧を実現できるもの。
同BCPオプションは最新のバックアップ&リカバリ技術を採用した低コストの次世代BCP対策ソリューション。本BCPオプションを利用することにより、エンタープライズ向けマーケティングCMS「HeartCore_SaaS」のBCP対策がより完全になり、想定外の震災に対しても万全の体制で運営できるようになると述べた。
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