企業ホームページ運営の心得

価格のない売り場に立ちすくむ客。LPOは本屋と図書館

価格は購入意思を持つ顧客に基準を提示することで、客に無駄な時間を使わせないためことにもなります
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百十九

ひやかし客が増えても

LPOの必要性を尋ねられたとき、わたしは次のような例を挙げて説明しています。

図書館と本屋の違いです

図書館の多くは公営です。最近では来館者数や、貸し出し実績などで評価する自治体もあるようですが、来場者がゼロだからといって翌月すぐに閉館することはありません。貸し出しがなかったとしても、館内で催されたイベントに人が集まれば、自治体の住民サービスとしては成立しています。

一方、本屋は本の販売で生計を立てています。本の売り上げがゼロなら、来月の家賃すら払えなくなるかもしれません。本屋は「買う」ことで商売が成り立っており、立ち読みする客が1万人訪れても意味がないのです。

アクセス数(来館者数)が増えれば良いというアプローチが「図書館」で、単純にキーワードの上位表示を狙うだけの「SEO」はこちらに近く、店を訪れた客に購入してもらうところまでを考える「本屋」のための仕掛けや方法論が「LPO」ということです。

訪問者は多い方が良い。ここで思考停止しているあなたのために今回は超簡単なLPOについて。

経済が破綻する前に

いきなり結論を述べますが、超簡単なLPOとは「価格を掲載」することです。可能なら冒頭のできるだけ目立つ位置に配置します。これによって「売る気」があると宣言します。反対にだらだらと説明ばかりが続くサイトでは「売る気がない(売っていない)」と「戻るボタン」をクリックされることもあるからです。

すべての衝動買いがなくなったら、経済は明日にも破綻する

とはマーケティング業界における有名なジョークであり、一面の真実を指摘しています。「欲しい」という衝動に駆られてサイトに訪れた客の気持ちを阻害してはなりません。多くの客にとって「価格」とは「手が届く値段かどうか」を判断する最初の基準なのです。

3,000円を書籍は安い? それとも高い?

たとえばWebサイト制作の価格は、仕様や業者の方針によってさまざまで正しい価格などありません。かつて本サイトで物議を醸した「相場早見表」にも大きな開きがありました。一方で客の出せる金額はおおむね決まっています。30万円の予算を考えていた会社が、1,000万円の業者に発注することはないのです。支払い能力の差ではなく「価値観」の違いで、個人においても同じです。そして価値観が異なれば「客」にはなりません。

わたしが躊躇なく購入する本の価格は、専門書なら3,000円台、一般書籍なら2,000円、コミックなら600円です。これより高いから買わないということではありませんが1つの基準です。3,000円台の専門書は安い部類ですが、アマゾンの納品書を見る度に妻は「高いね」と目を丸くします。専門書の出版社にとって彼女は「客」ではないのです。

価格を最初に掲示するのは、購入意思を持つ顧客に「基準」を提示することであり、価値観の合わない客に無駄な時間を使わせないための「気遣い」ともいえます。

図書館に客はいない

価格を掲示する意味も、図書館との比較で浮き彫りとなります。書店で本を買う際は、表紙から目次に目を通し、興味がわけば「価格」をチェックしてから、いくつかのトピックを読み、金額に見合う内容かを「値踏み」します。手順の前後が入れ替わっても、だいたい同じで、本好きにはある意味一番楽しい時間です。一方、図書館で「価格」をチェックすることはありません。無料で閲覧でき、借り受けることのできる書籍の価格を気にする必要がないからです。

価格がLPOである理由は「ここは売り場です」という宣言だからです。いきなりの価格提示に帰って行く人もいるでしょうが、気にすることはありません。「買う気のない人間は客ではない」のです。一方でクレジットカードを握り締めネットを彷徨っている「お客様」もいます。某ショッピングモールのように「品切れ」でも、「検索結果」に表示されるサイトをたらい回しにされた後なら感激もひとしおです。

SEOやリスティング広告にも

価格の掲示はSEOやリスティング広告でも有効です。SEOなら見出しの下に表示される「スニペット」対策としてHTMLの「meta description」や、コンテンツの冒頭に価格を入れておきます。また、リスティング広告を利用していて「アクセスはあるけど成約しない」というなら、説明文に必ず価格を明記してください。

あなたがリスティング広告を出稿する目的はどちらでしょうか。

  1. 来訪者の増加
  2. 購入希望者の増加

LPOとは到着させるページの選定から始まっており、誘導するための看板=広告でも仕掛けるものです。「枯れ木も山の賑わい」といいますが、リスティング広告は金を払って客を連れてくるものです。わざわざ「買う気のない客」にお金を払うことを「無駄金」といいます。

訪問者は多い方が良い……のですが、将来にわたって「客」にならない訪問者を100万人集めても意味がないことは、LPOを考える上で重要です。

ゴールが違うから結果が異なる

価格を掲載するとライバル社が真似をすると警戒する企業は少なくありません。同業者も同じことを考え、暗黙の業界慣習として価格が非公開になった業界のお客は不幸です。だれも客を見ていないのですから。ちなみに、こんなときは「参考価格」や「限定特価」といったお茶の濁し方もありますが、こちらについてはいずれ機会があれば紹介します。

ポータルサイトやコミュニティサイトは「図書館型」と分類してもいいでしょう。利用者を集めることを目的として蔵書を増やしイベントを開催します。サイトではコンテンツを増やし、新機能を追加するようなものです。本屋にこれらの努力が不用というのではありませんが、目指すゴールが違います。人を集めることではなく、「客」を集めることなのです。だから漫然とコンテンツを増やしたり、ガジェットを追加したりと、図書館と同じベクトルで努力しても、望む結果が得にくいのは当然です。

想像してください。「価格のない売り場」を。だれもが不気味に思い、そこを通り過ぎることでしょう。あるいは「時価」の寿司屋。わたしは「明朗会計」を選びます。

今回のポイント

価格を明示することで売っていることをアピール

購入できる価格は客によって決まっている

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