「放送コンテンツ」の製作環境はいまだ問題アリ、書面で発注していないケースが4割近く?【総務省調べ】

書面での発注、制作費の協議、著作権の帰属、業務の範囲について、放送事業者と番組製作会社で大きなギャップ。

総務省は、「放送コンテンツ」の製作(制作)環境について、放送事業者・番組製作会社それぞれにアンケート調査した結果を発表した。

総務省は、放送コンテンツの製作環境の改善、製作意欲の向上などを目的に、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」を2009年に策定・推進するとともに、フォローアップの調査を定期的に実施している。今回の調査結果は、その最新版となる。なお総務省は、本年夏を目途にガイドラインの改訂を行う予定。

放送事業者・番組製作会社、コンテンツ制作受発注の認識に大きなギャップ

この調査では主に、「書面の交付」「取引価格等の決定(事前協議の有無)」「著作権の帰属(著作権の譲渡等の有無)」「取引内容の変更およびやり直し」の実態について、放送事業者・番組製作会社それぞれに質問した。

まず「コンテンツ製作の委託に際して、下請法の対象となる取引において、発注書面等の交付をしているか?」と聞くと、放送事業者側は「常に発注書を交付していた」73.1%、「おおむね発注書を交付していた」13.3%で、合計8割超が発注書を交付しているとした一方、放送事業者・番組製作会社側の「常に発注書を受けていた」「おおむね発注書を受けていた」という回答は、放送事業者で合計75.9%、番組製作会社で合計62.5%まで低下していた。中間におけるずさんな対応、あるいは発注側と受注側の意識差が浮き彫りになった形だ。

同様に「取引価格等の決定(事前協議の有無)」について聞くと、放送事業者側が「十分な協議をした」「おおむね十分な協議をした」が合計90.5%なのに対し、番組製作会社側は62.5%まで低下。「著作権の帰属(著作権の譲渡等の有無)」でも、「完全製作委託型番組の製作委託をした際、番組制作会社が著作権の保有を希望したにも関わらず、譲渡を受けたことがあるか?」を聞くと、番組製作会社側が「あった」7.3%だったのに対し、番組制作会社側は「あった」14.8%と倍以上に増加している。

さらに「取引内容の変更およびやり直し」について聞くと、「番組の予告編の本数増加やホームページの作成といった、当初の発注書になかった業務を追加発注された」「一方的に、内容の一部または全部の修正を求められた」「内容確認を行ったにもかかわらず、継続して作業を行わせ、その後やり直しを要請された」「レギュラー契約で年間放送してい番組について、製作委託していた本数が取り消された(再放送にされた)」といった声があがった。こうした内容について、放送事業者側は「なかった」89.3%としているが、番組制作会社側は「なかった」は51.8%に留まるなど、認識のギャップが目立つ調査結果となっている。

なお同調査では、支払い期日、発注書の保管期間、二次使用料収益の配分額の決定方法、アニメ分野における製作取引・製作委員会における役割分担・印税の扱いなど、さらに詳しい調査を行っている。

調査概要

  • 【調査内容】「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」フォローアップ調査
  • 【調査対象】放送事業者555社(地上基幹放送事業者128社、衛星系放送事業者82社、CATV事業者345社)、番組製作会社1,112社
  • 【調査方法】調査対象社に郵送等で通知し、インターネットにて回答
  • 【調査期間】2020年2月13日~3月13日
  • 【有効回答数】放送事業者346社(対象社数555社のうち510社が回答)、番組製作会社214社(対象者数1,112社のうち299社が回答)
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