衣袋宏美のデータハックス

ツールによってコンバージョン値に差が出るのは、なぜ? [アクセス解析Q&A]

アクセス解析ツールと広告効果測定ツールで、コンバージョンの値が一致しない理由は?
衣袋宏美のデータハックス

質問:アクセス解析ツールと広告効果測定ツールを併用しているのですが、コンバージョンの値がかなり違います。この原因は何なのでしょうか?

答え「コンバージョンの定義」がツールによって全然違うので、コンバージョン値が違うのは当然です。しかし、1桁も違うようであれば、ツールの設定ミスなど、何かトラブルが起きている可能性もあります。

解説ツールによって、いくつかの点で、「コンバージョン」の数え方が違っています。

広告効果測定ツールは広告からのコンバージョンをみるが、
アクセス解析ツールは参照元を問わずコンバージョンをみる

Googleアドワーズ広告の「コンバージョントラッキング」やYahoo!リスティング広告の「コンバージョン測定機能」などの広告効果測定系ツールは、広告をクリックしてコンバージョンページを訪れた回数のみをコンバージョンとしてカウントします。つまり、クリックとコンバージョンはセットであり、クリック以外の経路を通ってコンバージョンページにたどり着いたセッションは、コンバージョンとはカウントしないのです。

一方、アクセス解析ツールでは、コンバージョンページのページビュー数をそのままコンバージョンの回数としてカウントします。こちらは入口ページがリスティング広告であろうと、検索エンジンの検索結果ページであろうと関係なく、すべて同じようにコンバージョンになります。

広告効果測定ツールは広告のクリック日とコンバージョン日が違っていても広告のコンバージョンとみなす

また、コンバージョンのカウントの仕方にも違いがあります。アクセス解析ツールでは、コンバージョンした日にカウントするのが普通ですが、広告効果測定系ツールでは、広告のクリックとコンバージョンが同じセッションでなくてもかまいません。たとえば、広告をクリックしたその日のセッションでコンバージョンしなかったとしても、もし後日、改めて訪問があった際にコンバージョンすれば、クリックに結びついたコンバージョンとしてカウントします。これはセッション単位ではなく、ユニーク訪問者で紐づけてコンバージョンを管理しているということでもあります。

つまり、広告効果測定系はセッションをまたいで効果を測定するのに対して、アクセス解析ツールは一般的にセッションをまたぐ集計はしないということです。

広告効果ツールのコンバージョン測定
図1:広告効果ツールのコンバージョン測定では、広告以外から訪問(メールからなど)した人がコンバージョンしても、コンバージョンとみなさないが、複数回アクセスした後にコンバージョンした場合(複数セッションにまたがる場合)でも、最初が広告であれば広告からのコンバージョンとみなす。

アドワーズ広告は広告クリック日に遡ってコンバージョンをカウントする

さらに同じ広告効果測定系ツールであっても、よく使われているYahoo!リスティング広告とGoogleアドワーズ広告では、コンバージョンの数え方が大きく異なるので、注意が必要です。

Yahoo!リスティング広告を含め多くの広告効果測定ツールでは、コンバージョンした日にコンバージョンがカウントされます。しかし、Googleアドワーズ広告の仕様は少し変わっていて、コンバージョンをした日ではなく、直前に広告をクリックした日にさかのぼって、その日の広告のコンバージョンとしてカウントされるのです。つまりコンバージョンした日でなく、コンバージョンに至る原因を作ったクリックに対して、成果がカウントされるということになります。

Yahoo!リスティング広告と広告Google AdWordsのコンバージョンのカウント時期の違い
図2:Yahoo!リスティング広告と広告Google AdWordsのコンバージョンのカウント時期の違い

広告クリックからの何日後まで追跡するかがYahoo!リスティング広告とGoogleアドワーズ広告で異なる

さらに、Yahoo!リスティング広告とGoogleアドワーズ広告では、ユニーク訪問者を特定するためのクッキーの保持期間が違います。広告効果測定系のツールでは、あまり広告効果を長く持続させないように配慮してか、Googleアドワーズ広告のクッキー保持期間は30日、Yahoo!リスティング広告では45日など、あまり長期間クッキーを保持しません。そのため上記の例のようにクリックからコンバージョンまでの間隔が10日であれば、効果としてカウントしますが、もし50日後などと長い場合はコンバージョンとしてカウントしないようになっているわけです。このコンバージョンの有効期間(クッキーの保持期間)は、広告管理システムや広告効果測定ツールによって違いがありますので、それもツール間で数字が違ったりする理由になります。

これに対して、アクセス解析ツールの方はCookieの有効期限を長期間にしているのが普通で、有効期間を30日など短期間にしているという話は聞いたことがありません。そもそもアクセス解析ツールの方では、上でお話ししたとおり、広告のセッションをまたいだコンバージョンの計測ということをほとんど行わない(コンバージョンしたセッションだけがフォーカスされる)ために、クッキー保有期間はコンバージョンを考えるうえではそれほど問題になりません。

広告の間接効果をみる「アシスト」効果が計上されている場合も

最後にもう1つ、広告効果測定ツールで特有なのは、複数の広告効果を評価する「アシスト」というものがあります。コンバージョンが直前の広告クリックに計上されるのに対して、アシストはそれ以前の広告クリックすべてに対して、間接的に広告効果があったとして計上されるのです。

コンバージョンとアシストの違い
図3:コンバージョンとアシストの違い

いずれにしても、複数のキーワード広告で出稿している場合や、アクセス解析ツールと広告効果測定ツールを併用している場合には、どんな行動のときにコンバージョンやアシストがカウントされるのか、よく理解してから数字を見るようにしましょう。

用語集
AdWords / アクセス解析 / アドワーズ / キーワード広告 / クッキー / コンバージョン / セッション / ページビュー / リスティング広告 / 検索エンジン / 訪問 / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

TLS
「TLS」(Transport Layer Security)は、Webサイトを ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]