SEMマスターのリスティング広告ノウハウ伝授

目標達成のためのリスティング広告2つの戦略モデル

リスティング広告の戦略のモデルを、よくあるコンサルティング内容から紹介

リスティング広告において、目標設定が重要なのは、前回の記事で解説したとおりです。しかし、リスティング広告において目標設定はあくまでも出発点に過ぎません。設定した目標を達成するためには、さまざまな視点からの戦略を立て、実行することが重要です。

今回はその戦略のモデルを、よくあるコンサルティング内容から紹介していきます(この記事では、前回解説した「目標CPA」「目標コンバージョン数」を設定していることを前提としています)。

戦略その1
目標CPA(顧客獲得単価)を達成させる戦略

目標CPAを達成させるのは意外と簡単です。

戦術 目標CPCを定めて入札する

ランディングページのコンバージョン率(CVR)がすでにわかっているのならば、下記の計算式で目標CPC(平均クリック単価)になるよう、入札価格を調整するだけです。

●公式
CVR × 目標CPA = 目標CPC

たとえば、目標CPAが2,250円で、過去の実績からコンバージョン率(CVR)が平均で8%の場合、

0.08 × 2,250円 = 180円

となるので、入札するクリック単価を180円以下に設定するのです。

もちろんランディングページのCVRは時期的なものや参照元によって変動しますので、ある一定期間で再度計測し、適正なCPCをその都度算出する必要があります。

ただし、この戦略を用いる場合には注意点があります。CPCを安く設定しすぎると、入札するキーワードによっては広告の表示回数が激減し、コンバージョン数を確保できなくなる場合があるのです。

どれだけCPAが安くても、コンバージョン自体が少なすぎては意味がありません。運用しながら、獲得単価とコンバージョン数のバランスがとれるクリック単価を、目標CPCの範囲内で探ってみましょう。

損益分岐点を超える入札価格で入札することのないように、あらかじめ適切なCPCを目標CPAから導き出すのが、この戦略の主眼です。

戦略その2
現状のCPAを安くする

ある目標を達成する戦術は1つとは限りません。予算、手間などから最善の戦術を選んで実行しましょう。戦術の選択肢が増えれば増えるほど、リスティング広告上級者に近づきます。

CPAを安くするための戦術もいくつかあります。それぞれメリットとデメリットを理解して、どの戦術を使うか選んでください。

戦術① キーワードを完全一致にする

部分一致と完全一致

どんなキーワードで検索された場合にリスティング広告を表示するのかを指定する仕組みで、リスティング広告サービスの入札設定から指定できる。

たとえば「テニス シューズ」というキーワードに入札している場合、部分一致の設定では「テニス」「シューズ」「テニス シューズを購入」「テニス スニーカー」などの検索で広告が表示される。完全一致の設定では、「テニス シューズ」の検索では広告が表示されるが、「テニス」「シューズ」「テニス シューズを購入」などでは広告が表示されない。

キーワードの一致方法を変えることで予算を削減する方法があります。

ふつうにリスティング広告で出稿している方は、キーワードの大部分が「部分一致」の設定になっていることでしょう。部分一致ではさまざまな検索で広告が表示されるため幅広く訴求できるというメリットがある反面、あまりニーズが高くない検索や想定外のキーワードで検索されたときにも広告が表示されてしまうというリスクもあります。つまり、広告の表示回数を増やす代わりに効率が(多少)悪くなっているのです。

ユーザーが検索をするであろうキーワードを細かく調査し、キーワードマッチを完全一致として入札することで、検索ニーズに対してピンポイントで訴求でき、CPAをより安く抑えることができる場合があります。

ただし、完全一致では、部分一致に比べると広告の表示回数が激減してしまう場合が多く、生半可な知識で行うと裏目に出る場合もあります。

ユーザーの検索ニーズやリスティング広告の仕組みに関する十分な知識がある場合や、手間を惜しんで作業ができる時間がある場合にのみ有効な手段だといえるかもしれません。

戦術② 部分一致で除外キーワード(対象外キーワード)を利用する

完全一致にしなくても、部分一致で「除外キーワード(対象外キーワード)」を上手に利用する方法も非常に有効です。入札したキーワードに関係するが商材には関係のないキーワードを除外設定することによって、無駄な露出を抑制することができるのです。

具体例を示しましょう。たとえば、浜茹での蟹を扱っているネットショップが「カニ」や「蟹」というキーワードに部分一致で入札している場合、「カニかまぼこ」「カニ歩き」や「蟹工船」といった検索をするユーザーには広告を表示したくないでしょう。その場合、「かまぼこ」「歩き」「工船」を除外キーワードとして登録すれば、無駄なクリックも発生しなくなるというわけです。

戦術③ 地域セグメント(地域ターゲティング)を設定する

効果の高い都道府県だけに広告配信をセグメントし、予算内で効率的にCPAを獲得する方法も非常に有効な場合があります。

たとえば、アクセス解析データで「北海道の人はコンバージョン率が高い」ことがわかっていれば、北海道の人だけに広告を表示するように設定するのです。

戦術④ 品質スコア(品質インデックス)を改善する

品質スコア(品質インデックス)を改善すると、クリック単価(CPC)を安くしても今までと同じ掲載順位を維持しながら広告を出せるようになり、結果的にCPAを安くできます。

Yahoo!リスティング広告、アドワーズ共に基本的には下記のような計算式で広告掲載順位が導き出されています。

品質 × 入札価格 = 広告ランク

つまり、品質を高くすれば、入札単価を下げても今までと同じ掲載順位になるのです。

品質スコア(品質インデックス)を改善するには、まずはクリック率を高めることです。また、広告グループからクリック率の低い広告を除外する方法も有効です。まずはYahoo!リスティング広告やGoogleアドワーズ広告のヘルプを確認してみてください。

まとめ - 目標あってこその戦略

実際にはここにあげた以上に効果的な戦略や戦術は存在しますし、いくつかの戦術を掛け合わせて実行することで更なる効果を出すこともできます。

リスティング広告は一見するとだれでも簡単に運用できそうですが、実は複雑で難しいものなのです。だからこそ、運用者はさまざまな戦術の選択肢を持っていることが重要になってくるのです。

あらかじめより具体的な目標を掲げ、それに対して最善である戦略を導き出し、適切な戦術を組み合わせて目標を達成するためのプランを描けるようになるのが、今後のリスティング広告には必要不可欠なのです。

用語集
CPA / CPC / CVR / アクセス解析 / アドワーズ / インデックス / クリック率 / コンバージョン / コンバージョン率 / リスティング広告 / 顧客獲得単価
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