リスティング広告の成果を上げる“アカウント設計力”
前回の記事では、目標達成のためのリスティング広告戦略を解説しました。しかし、どんな戦略であれ、実行しなければ意味がありません。今回は、実際に施策を行う際に行わなければいけないリスティング広告のアカウント設計を解説します。
あなたのリスティング広告アカウントでは、どのようなルールでキャンペーンや広告グループが作られていて、どのようなルールで予算を配分していますか?
もし「製品カテゴリに応じてグループ化」「予算は全体でまとめて」という場合は、この記事が参考になるでしょう。限られた予算でリスティング広告をうまく運用して成果を出すには、「アカウント設計」が非常に重要なのです。
アカウント設計①
検索キーワードごとのモチベーションを理解する
リスティング広告のアカウント設計の第一歩は、ユーザーのモチベーションに応じたキーワードの分類です。
検索キーワードには、検索ユーザーのさまざまなニーズが隠されていますが、リスティング広告における「キーワード」にはユーザーのモチベーションが隠されています。
ユーザーのモチベーションの具体的な例を、お中元の「お酒」「おつまみ」などの商品を主体として扱っているショップの場合で見てみましょう。
このショップはお中元の商品を扱っているのですから、キーワードには「お中元」関連のものがあります。しかし、キーワードによって検索ユーザーのモチベーションは異なります。モチベーションによって、検索ユーザーはいくつかのグループに分けられるはずです。
たとえば、
- 「お中元」と検索をするユーザー
- 「お中元 人気」「お中元 喜ばれる」と検索するユーザー
- 「お中元 ビール」「お中元 生ハム」と検索するユーザー
では、それぞれモチベーションが違うだろうことは想像できますよね。
お中元に限らず、キーワードのモチベーションは、何段階かに明確に分類できます(下図)。
そして、どのグループのキーワードで検索してきたかによって、コンバージョン率も変わります。一般的には、具体的な商品に近いキーワードで検索してきた人、つまり購入意欲の高いユーザーほどコンバージョン率(CVR)が高くなる傾向があります。
まずは、ユーザー(キーワード)をモチベーションごとにグループ分けして、各モチベーションのレベルに対応するキャンペーンを作っていきましょう。
そうすると、モチベーション別のグループ分類に基づいて、各キャンペーンに予算設定をしたり、キーワードへの入札の強弱をつけたりできるようになるのです。
こうした適切な重み付けが、リスティング広告で費用対効果を上げるには必要不可欠なのです。
アカウント設計②
限られた予算の中での予算配分
こうした分類によるアカウント設計は、どうして重要なのでしょうか?
たとえば、リスティング広告に投下できる予算が1か月あたり30万円しかない場合を考えてみましょう。この場合、いかに30万円を効率良く使えるかが重要になります。
30万円を1か月で使うのであれば、単純計算で30万円÷30日=1万円ですので、1日で使用できる予算はおおよそ1万円となります。
では、上図で表したカテゴリすべてに、均一にこの1万円を配信することが正しい戦術となるでしょうか?
答えは「NO」です。改めて前出の図を見てみましょう。ここでは、ユーザーのモチベーションごとにグループを分けており、グループによってコンバージョンのしやすさが異なります。
1日1万円という限られた予算内での施策で、コンバージョンしやすいキーワード(A)とコンバージョンしにくいキーワード(C)に均一に予算を配分するということは、効果を出しやすいキーワード(A)の露出を抑制してしまうという、リスクの高い戦術です。
ここでの効率の良い予算配分は、次のようなものになります。
- コンバージョンしやすいキーワード(A)を可能な限り露出する
- 予算から(A)の費用を引いた残金のなかから、比較的コンバージョンしやすいキーワード(B)を出稿する
- それでも予算が残るようなら、コンバージョンしにくいキーワード(C)にあてる
もし(A)だけで1日1万円の予算を超過してしまう場合には、1日の予算を見直すか、または1か月の予算を見直すべきでしょう。
まとめ ―― アカウント設計の重要性
コンバージョンに繋がりやすいものには予算を割き、そうでないものには余計な予算を割かない。それを繰り返すことで、限られた予算を、より効率的に利用できるようになります。
しかしながら、こういったアカウント設計は最初から確実に行えるわけではありません。まずは仮説を立て、実行、検証、再度仮説を立てることを繰り返し、どのキーワードが効率良くコンバージョンするのかを検証しながら、アカウント設計を行う必要があります。
限られた予算内でリスティング広告の成果を上げるために、アカウント設計は非常に重要な視点であり、これからのリスティング広告担当者には欠かせない目線です。
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