企業ホームページ運営の心得

不動産業はいいカモ? “見える化”による野菜の実際

生産者の顔写真付きの野菜売り場がありますが、ホームページにも応用できます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百参十八

基本に忠実であること

「ありがとうございます」

今日もお客さんからこう題したメールが届きました。差出人はたびたび本稿で紹介する埼玉県春日部市の「だるま不動産」の浜田さん。ヤフーとグーグルの検索結果で上位をキープし、問い合わせや受注が着実に増えていると文章が弾みます。こちらこそありがとうございますと返信します。成功実績が次の仕事につながる商売ですし、それをネタにできるのですからありがたい話です。

何事も基本が大切だといいますが、ホームページでもまったく同じです。コンテンツを充実させSEOを施す。極論すればこの2点をしっかり行うだけで成功確率は飛躍的にアップします。コンテンツは実際の商売での客とのやり取りを文字にするだけで、動画やインタラクティブな仕掛けなど不要、ブログも更新が止まるぐらいなら手を出さない方が無難です。SEOは内部対策と相互リンクでも十分な効果を期待できます。そして忘れてはならないコンテンツが「顔写真」です。

ビッグキーワードなんていらない

だるま不動産が戦う不動産業界は、デベロッパーから個人商店までがパイを奪い合う熾烈な市場で、潤沢な資金を持つ大企業が検索連動型広告の価格を吊り上げ上位を独占します。ところが、営業戦略上のキーワードと地域名などを組み合わせた「内部対策」だけで、あっけないほど簡単に自然検索結果の上位をゲットできます。これは見た目を重視する不動産屋が多く、内部対策が疎かにされているからです。さすがに「ビッグキーワード(検索エンジンで多く探されるキーワード)」での上位進出は難しいですが、そもそも「マンション」「新築住宅」といったビッグワードをネットで検索する目的は、ニュースやトリビア探しであって客ではないので影響はごくわずかです。

ペルソナ(想定客)を再構築し、問い合わせ方法をメールから電話にしたことは以前紹介しました。この時「顔写真」も掲載するようにしたのも効果を上げた一因です。

小栗旬など敵じゃない

だるま不動産が得意とする任意売却や競売代行は、不動産ローンの支払いが滞ることが原因で、「顔出し」した理由はこの仮説からです。

「ペルソナの心は不安で一杯ではないか。サラ金や闇金から督促の電話が鳴り響き受話器の向こうで身を縮めて震えているのではないか」

督促の電話のベルは恐喝に聞こえます。顔が見えないことで恐怖が増幅されます。顔出しに浜田さんは「私なんかの顔じゃ」と難色を示しました。客を口説いてコンテンツを創り出すのもホームページ屋の仕事です。「人柄が顔に表れており、そこがいい」と説得します。しぶしぶOKし公開してから2か月後のことです。

「ホームページを拝見し、とてもお優しそうで頼りになりそうとお見受けしました。相談にのってください」

こういっては浜田さんに怒られてしまいますが、商売人がイケメンである必要はありません。客を安心させる笑顔があれば眉間にしわを寄せた小栗旬より商売向きです。

消費者は合理的ではない

顔を知ることで客は安心します。なんとなく。ポイントは「なんとなく」です。「顔が見える野菜」を例にとり逆説的に説明します。

スーパーマーケットなどで生産者の顔写真が掲示され、その前に商品が並べられている野菜売り場があります。新鮮や安心を伝える目的ですが、ちょっと待ってください。そもそも写真の生産者が本当に作ったかどうかの証拠はありません。私の事務所の前には小さな畑があり、徒歩1分の場所に大きなビニールハウス農園もあって、足立区では「農」が身近にあります。

ですが「鈴木さん(仮名)が作りました」と、生産者である鈴木さんが、パチンコ屋で台を叩き、居酒屋でくだを巻く姿を見ることがあります。また、ある畑ではくわえタバコでのホウレンソウ収穫はいつもの風景です。つまり

「生産者の写真と野菜の品質・安全性に直接の因果関係はない」

はずなのですが……顔出しNGよりも美味しそうな気はします。なんとなく。

不動産業はいい鴨?

まとめに入る前に少し余談を。地元の不動産屋がホームページをリニューアルしました。CMSによって自分たちで更新ができるという触れ込みです。有名な不動産サイトを彷彿とさせるお洒落な仕上がりに社長は満足します。費用はそれなりにかかりましたが、毎月百万円を越える「チラシ代」と比較すれば安いものと納得します。1年が経ち、更新はまちまちです。たまに更新するとテンプレートのデザイン上、登録した物件情報はすべてホームページ(トップページ)に追加されるのでお洒落にまとまっていたレイアウトは縦長にだらしなく伸び続けます。業者に相談すると変更するには追加費用がかかるといわれ、リニューアル分の費用回収もできない現状から見送ります。自分たちで更新できるからといって、それがホームページを運営する上での最適解ではないのです。

実は今月末に最終回を迎えるマンガ「Web担当者 三ノ宮純二」に盛り込んでいるエピソードの多くは実話がベースで、日頃100万円単位のお金になれている不動産業者の金銭感覚はIT業者にとっては蜜の味です。

総じてOKとなるも最終確認を

顔写真とは客にとっての「見える化」です。サービスについて素人の客でも「人柄」なら理解できます。つまり顔写真を信頼の「よりどころ」にするということです。

顔写真はほとんどの業種で効果がありましたが、残念ながら万能ではありません。化粧品や宝石、または「コンサルタント」などのイメージを売る商売には不向きな場合もあります。さらにダイエット食品の販売責任者が巨漢では売り上げに影響することでしょう。また「懲りすぎた写真」が悪影響になることは私のサイトで実験済みです。アクセス解析から訪問者の嘲笑が聞こえてくるほど失敗しました。顔写真はスナップ写真で十分です。店内を想像してみてください。そこに「懲りすぎた自分の写真」を張っているのはホストクラブやキャバクラといった風俗店ぐらい……。まあですから、風俗店なら「アリ」ということです。

今回のポイント

顔をだすことで客は安心する。

笑顔は二枚目よりも三枚目を輝かせる……と、思う。

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