企業ホームページ運営の心得

会議を制するマワシ力。質問ありますかという愚問

会議参加者が素人であるほど、進行役のマワシ力が必要とされます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百参十九

よくある最悪の質問

各部から代表者が招集され、役員ご臨席でホームページリニューアルの社内会議が開催されました。リニューアル案をWeb担当者がプレゼンします。プロジェクターにパワーポイントで作った資料と、サンプルサイトが交互に映し出して説明を被せます。プレゼンが終わりお約束の「質疑応答タイム」です。

「何か質問があれば」

この発言の後、静寂に包まれるのはよくあるシチュエーションです。そこで質問を促すために「なんでも結構です」と加えます。会議の静寂を破ったのは古参の役員で「リニューアルの目的は?」と爆弾を投下します。これを口火に出席者からホームページへの不満と不信が語られ、長老キャラの相談役から、足を使わずにWebを使うとする姿勢が「さぼり」だとお説教が始まりました。

……こんなシーンをマワシ力で回避します。

本能的に否定する

こうなると批判が炎上へと移行します。色遣いが地味だ、本社の写真が小さい、文章が長すぎる。ついには「そもそもホームページは役に立つのかね」と爆弾が炸裂し、否定的な空気が会議室に充満し、Web担当者にとっては地獄のような時間が流れます。

いまどき「Web否定」など時代錯誤もいいところ……というのは我々Web担のように、Webが日常生活に組み込まれているものの感覚です。ネット通販すら利用したことがない人はまだまだ多く、1日パソコンの電源を入れない人は珍しくありません。そんな彼らの行動様式はこうです。

「知らないことは否定する」

否定は一種の防衛本能で、Webに関しては利用度に連動します。

フリートークはフリーじゃない

また「ネットで検索」ぐらいは利用しても、HTMLやSEOに詳しい人は少数派です。社内ではWeb担当者が一番詳しいと考えていいでしょう。その状況においてフリートークで「質問」を募集して、ネガティブに傾斜するのは先ほどの防衛本能だけではありません。「知らないと思われたくない」という心理がそうさせます。本来は別次元の議論を強引に召還してバトルしようとするのは、無言により無能とみられることを怖れるサラリーマンの処世術です。それはまるで遊戯王カードについて質問を求められ「仮面ライダーバトル ガンバライドカード」で答えるかの如くです。

端的に述べれば「議論してる風」に過ぎないのですが、「無言よりはマシ」と考える人に主導権を渡しては議論が迷走します。テレビ番組の「フリートーク」に「まわし役」がいるように、Webの社内オーソリティであるWeb担当者が「まわし役」を演じなければなりません。つまり「マワシ力」の出番です。失礼しましたゴシック系のフォントだとわかりづらいですね「まわし力(りょく)」です。

議論を整理するまわしの力

まわし力は「質問」の求め方に現れます。「何か質問があれば」は論外。そもそも「適切な質問」は一定の知識がなければできません。たとえば「料理研究家」のシンポジウムで煮物料理は乱切り、拍子木切り、銀杏切りのどれがもっとも味がしみこむかという議題が成立するのは、切り方を参加者全員が切り方を知っているからで、Webを理解していない人にフリーハンドで質問を求めるから迷宮に迷い込むのです。

コンセプト、配色、文章などの具体的な項目をあげて質問を求めます。これによって「議論の分散」を回避し、ガンバライドカードの侵入を阻止します。気取って言えば「議論を整理する」です。課題を絞り、議論すべき内容にスポットを当てるということです。

ウザイを優先させるのか

ホームページ内のメニュー(他のコンテンツへのリンク)は多い方がクリックされやすく、特にページの最上部と最下部に配置しておくのがベターです。ページ最下部までスクロールして次へのメニューが見つからずに、ブラウザの「戻る」ボタンでサイトそのものから離脱されるのを防ぐためです。ところがこのメニューの多さを「ウザイ」という人がいます。これは主観に過ぎませんが、知識のない素人には主観しか判断基準がありません。

ですが「まわし力」のレベルを上げると簡単に回避できます。具体的な項目をあげ、質問を募る際に「ウザイほど設置している理由」を明示してしまうのです。コンセプトの根拠や、配色の意図するところ、すべてのセールスポイントを網羅するために長文になったと説明してから質問を求めます。プレゼン段階で十分に説明したと思っても、短時間で素人が完全理解したと思うのは傲慢です。そこであえて繰り返すのです。

「……といった理由でリニューアルとなったわけですが、コンセプトについて質問はございますか?」

上手なMCはみんな使っています。

自由な議論という虚構

ある地方自治体が市民を交えた「交通政策委員会」を設置しました。都市交通の専門家という大学教授が議長に就任し会議が始まります。役人からの説明は既存交通網の説明に終始し、議長はこれに学術的な補足をいれます。市民は大学教授の講義を聴きに来たわけではなく、自分たちの街のために時間を割いており、選出された市民の1人が「呼ばれた意味」を訊ねました。

議長は「市民目線から、なんでも質問してください」と答えます。そこで市民はそれぞれの立場から「観光客向けの交通整備」「子育て支援のための公共交通」「地元公共交通機関の不備」と質問すると、議長は不快感を隠そうともせず、

「それらは本論ではない」

と切り捨てます。曰く、各論に追われては本論の結論がでないので遠慮しろ。この日の本論とは「役人の説明」。つまりは市民は黙っていろということです。自由に質問しろといったのは誰でしょう?

冒頭の「何か質問があれば」とだけの呼びかけに、口火を切った役員を責められるでしょうか。大学教授は「説明にあった●●への質問はありますか」と検討すべき議論を整理すべきでしたし、Web担当者にも同じ配慮が求められます。

会議の参加者が素人であればあるほど「マワシ力」が求められます。

今回のポイント

漠然とした投げかけは暴発することがある。

会議をまわせば会議は踊り出さない。

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