本連載の第1回で月次データを見る際の注意点を説明したが、今回は週次データの見方について述べていきたいと思う。
ページビュー(PV)数、セッション数の月次データを見る場合、「月次の絶対値」を見るだけだと過ちを犯す可能性が高くなる。月ごとに日数のばらつきがあるためだ。しかし、週次データは日数が7日間と固定されているという点では、日数の違いによるデータの変動はないというメリットがある。また、月次データでは少し間が空きすぎだが、かといって毎日データを見るまでもないという規模のサイトであれば、週次データのトレンドを追っていくという方法は重宝するだろう。
週次トレンド・データも万能ではない
とは言っても、週次データにも落とし穴がないわけではない。図1を見てみよう。これはあるビジネスマン向けサイトの「訪問回数のデータ」をグラフ化したものである。期間は6月から7月にかけての8週間分だ。第7週、すなわち7月の第3週だけ大幅に減少しているが、この理由がおわかりだろうか?
答えは休日の存在だ。7月の第3月曜日は「海の日」で毎年お休み。休日が1日増えただけで、週次のデータではこれだけの変動が生じるのである。一般に、ビジネスマン向けのサイトは、平日に比べて休日の利用が非常に少ないという特性があるため、週の間に祝祭日があるかないかで大きく変動する。エンタメ系などで平日も休日も同じようなアクセス規模があるサイトではこのような現象は顕在化しないが、ビジネス向けサイトではこのようなことが頻繁に起こるので、普通に週ごとの合計を集計しただけのデータは、週次のKPIとしてはいささか使いづらい。
週次データのKPIは何にすべきか?
では、週単位でトレンドを追っていく場合に適切なKPIは何だろうか。下の図2は、このサイトの6・7月の毎日の訪問回数をプロットした折れ線グラフを、曜日で揃えて重ねてある。青線が6月、赤線が7月だが、見ていただければわかるとおり、平日と休日のアクセスの規模は毎週大きな変動がないと判断できる。
こうしたことを考慮に入れると、週次データを見る場合のKPIは、平日と休日に分けるのが望ましい。「平日1日当たりの平均訪問回数」と「休日1日当たりの平均訪問回数」などが有効だろう。たとえばこのサイトの場合は、6月の平日1日当たりの平均訪問回数が711件なのに対し、休日1日当たりの平均訪問回数は106件。7月もそれぞれ728件、108件で、6・7月とも、休日の数字が平日の数字の約7分の1前後となっており、週中の祝祭日の有無による影響がなく、KPIとして有効であることを示している。
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この記事の筆者
衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)
1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社へ。調査部、インターネット視聴率センター長などを経て、2000年ネットレイティングスへ。視聴率サービスやアクセス解析サービスの立ち上げに尽力。2006年株式会社クロス・フュージョンを設立し代表取締役に。2023年活動停止。
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