日別トレンドデータを使うのはどういう場合か? [アクセス解析tips]
Webサイトのアクセスデータは、通常はこれまで解説したような「月次トレンド」と「週次トレンド」を見ていれば十分だが、サイトの種類によっては「日別トレンド」を併せて観測しておいた方がいい場合がある。今回はそうした例をいくつか見てみよう。
ほぼ月に1回のペースでメルマガを発行しているWebサイト
最初に例として挙げるのは、あるメーカー直販ECサイトの例だ。このWebサイトでは、ほぼ月に1回の頻度で、会員向けに定期的にメルマガを発行している(ここで「ほぼ」月に1回としているのは、月刊や隔週刊のメルマガだと、曜日固定でも日にち固定でもなく、月によっては曜日の都合などで発行日が前月や翌月に移動することが実態として多く見られるからである)。図1は、このサイトにおける3月と4月の2か月間の日別の利用者数の推移を示したものだ。青丸で囲ってある日がメルマガを発行した日の利用者数である。効果はどのくらいかということは、一目瞭然だろう。
このサイトはさまざまな商材を多岐にわたって売っているわけではない。この時点では複数のキャンペーンを駆使して売上を伸ばそうという施策を行っておらず、主に会員向けメルマガ施策しか行っていなかった。
ほぼ4週ごとの月1回ペースでメルマガを発送しているこのケースでは、上図のようにある月はメルマガが2回発送されることになる。この例でも、月次で「1日の平均利用者数」「月間のユニーク訪問者数」を見ると、3月が4月を上回っている。
しかし、各メルマガの効果という視点で見れば、最も成功したのは4月に行ったものである。このように特定のイベントの効果が容易にわかる場合は、日別のトレンドグラフを作成してみるとよい。よく言われることだが、何日にどういう施策を開始したかといったメモをアクセス解析のレポートに併記することで、因果関係が視覚化できるわけだ。
もちろん、きちんとキャンペーン分析をすれば、メルマガの効果も精度高く追跡できる。たとえば、静的なページのURLにダミーのパラメータを付けても「?」以下の文字列が無視されるというサーバーの性質を利用する方法がある。
このダミーパラメータにキャンペーン施策を区別する文字列を付与して、どのキャンペーンからの流入なのかを区別するのだ。キャンペーン施策を表す「camp」というパラメータとメルマガを表すmailという値を組み合わせて「?camp=mail」といった文字列をURLの最後に加えることで、このURLのページビュー数がメルマガからのサイト訪問であるとするわけだ。ちなみに、「Web担当者Forum」が毎週発行しているメルマガ「Web担ウィークリー」では、「?」以降にメルマガごとのユニーク番号とリンクを識別するユニーク番号を組み合わせたパラメータを付けて、リンクからのアクセスを識別している。
このようにすれば、上図でベースラインからどのくらい突き抜けているかという大雑把な効果検証ではなく、何人、何ページがメルマガからの流入なのかを特定することで、各メルマガの効果を精度高く比較していくことができるようになる。
最近では、大手サイトから発行されるメルマガの多くで利用されている方法ではあるが、もしまだ導入していないのなら、これを機会に検討してみてはどうだろうか。
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