衣袋宏美のデータハックス

メルマガの効果測定はどうすればいい? [アクセス解析Q&A]

メーラーからのアクセスは参照元が取れないと言われるが、メルマガはどのように効果測定すればよいのか?
衣袋宏美のデータハックス

質問:メルマガを定期的に発行して集客しているのですが、メーラーからのアクセスは参照元が取れないと聞きました。どのように効果測定すればいいのでしょうか?

答え参照元情報を利用せず、リダイレクトやダミーパラメータなど別の効果測定手法を用いましょう。

解説メルマガとして送られたメールは、メーラー(メールソフト)で見る場合とWebメールで見る場合があります。Webメールで見てクリックした場合は、参照元情報が付くので効果測定は不可能ではありませんが、メーラーを見てクリックした場合の流入は「参照元なし(ノーリファラ-)」の中に含まれてしまい、判別できません

Webメールでも、見ていたメールがメルマガなのか、知り合いから送られてきたメールなのかまでは判断できません。また、さまざまな無料メールサービスが提供されているため、多くのサブドメインに分散するという欠点があります。たとえば、Yahoo!メールであれば、jp.f*.mail.yahoo.co.jpやjp.mg*.mail.yahoo.co.jpといったパターンのサブドメイン(*は数字)が多数使われていますし、マイクロソフトのWindows Live Hotmailはka101w.kaw101.mail.live.comというサブドメイン、gooメールはamigo.mail.goo.ne.jp、infoseekメールはemail.www.infoseek.co.jpといった具合です。これらを「Webメールからのアクセス」としてまとめるのは面倒です。

このような場合、どのようにして効果測定するのがよいのでしょうか? 大きく分けて、次の2つの手法がよく用いられています。

  1. リダイレクトさせる方法
  2. ダミーパラメータを使う方法

リダイレクトさせる方法

1つはリダイレクトさせる方法です。メルマガには、本物のURLに飛ばすだけの「リダイレクト用URL」を記載しておき、このリダイレクトファイルが何回呼び出されたかをカウントすることで、メルマガのリンクが何クリックされたのかを計測します。[戻る]ボタンなどによって再読み込みされるようなことがなければ、元のメールリンクや広告などが何回クリックされたかを精度高く計測することが可能です。

ダミーパラメータを使う方法

もう1つはダミーパラメータを使う方法です。ダミーパラメータとは、静的なページのファイル名(「**.html」あるいは「/」など)の後に付ける「?」から始まる文字列のことで、必要がなければ「?」以降の文字列は無視されるという性質を利用して付けるパラメータのことを指します。

何クリックされたかを知りたいという程度の計測であれば、メルマガに記載しておくリンクのURLに「?mail=20100720」などのダミーパラメータを付けるだけでも、十分事足ります。この例では2010年の7月20日に出したメルマガからのリンクという意味合いでパラメータを付けるわけです。

本来のURL:
http://www.example.co.jp/news.html

ダミーパラメータを付けたURL:
http://www.example.co.jp/news.html?mail=20100720

また同じメルマガ内に、同じURLのリンクが複数ある場合は、それらを区別できるように?mail=20100720-1、?mail=20100720-2などと付けるルールを決めておけば、上の方のリンクから来たのか、下の方のリンクから来たのかも区別できるようになります。

メール冒頭に記載するURL:
http://www.example.co.jp/news.html?mail=20100720-1

メール中程に記載するURL:
http://www.example.co.jp/news.html?mail=20100720-2

メール末尾に記載するURL:
http://www.example.co.jp/news.html?mail=20100720-3

このように準備して、それぞれのパラメータの付いたURLへのセッションをカウントすればいいのです。ただ注意したいのは、アクセス解析ツールによっては、こうして付与したパラメータを自動的に省いて集計してしまうようなものもあることです。利用しているアクセス解析ツールが、URLを加工せずに集計をしてくれるかを確認する必要があります。ツールによっては、意味のあるパラメータだけを残すといった処理をする設定ができるものもあります。

あとは高度なツールであれば、さまざまなキャンペーンを同じような軸で分析できるようになっているものもあります。たとえばGoogle Analyticsでは、次のような複数のパラメータ(変数名と値)を&で繋げてURLに付けることで、複数の情報を分析軸にすることが可能になります。

?utm_source=weeklymail&utm_medium=mail&utm_term=keyword&utm_content=header&utm_campaign=20100722
パラメータ名意味Google Analytics上の対応するレポート
utm_medium媒体の種類「mail」(メールの場合)など[トラフィック]>[全ての参照元]の「メディア」
utm_source掲載媒体「weeklymail」など媒体名を入れる[トラフィック]>[全ての参照元]の「参照元」
utm_termキーワード検索キーワードなどを入れる(メール解析では使わないことも多い)[トラフィック]>[キーワード]
utm_contentクリエイティブの種類バナーサイズやA/Bテストの区別などを入れる。メール解析ではメール内のリンクの場所などを入れておく[トラフィック]>[広告の種類]
utm_campaignキャンペーン名「20100722」のように、メルマガのどの号かを入れるといい[トラフィック]>[キャンペーン]

しかしこのダミーパラメータを使う方法はSEO(検索エンジン最適化)的にはリンクの分散のリスクがあります。リンクが分散しないようにするには、Webページ側のHTMLに「canonical属性値」というものを記述するようにします。HTMLファイルのhead要素内に「<link rel="canonical" href="http://www.example.co.jp"/ >」(hrefにはパラメータなしのURLを記述)のようなタグを、ページ別に記述しておくのです。こうすると、検索エンジンは、このページへのリンクをすべて「?」以降のパラメータがないURLへのリンクとして扱ってくれるのです。

ただし、これは検索エンジンに知らせたということであって、たとえば誰かのブログに「?」付きURLをそのままコピペされてしまい、そのリンクをクリックしてやって来た場合は、該当のメルマガやキャンペーンの効果に加算されてしまいますのでご注意ください。

用語集
HTML / SEO / アクセス解析 / キャンペーン / クリエイティブ / セッション / リンク / 検索エンジン
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