初代編集長ブログ―安田英久

やはり最大の問題は著作権? CMはコンテンツたり得るのか?

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やはり最大の問題は著作権? CMはコンテンツたり得るのか?

パネルディスカッションでは積極的な意見交換が行われた
パネルディスカッションでは積極的な意見交換が行われた

ここからはパネルディスカッションということで、各人がさまざまな意見を述べていくことに。やはりまず課題となったのは、「著作権と勝手広告の兼ね合い」の問題だった。

芸者東京の田中氏は「著作権は、(制作者側である)自社で全部持つべきだ」としたうえで、「Flashはパロディと一発ネタしかない。大きな物語を語りたいときには一定の時間・没入感が必要」として、小手先に頼らない制作スタンスをとるべきだとした。仮にパロディなどを行うにしても、特定の作品をパクるのではなく、ジャンルそのものをパクる、いわゆる本歌取りスタイルであるべきだと問題提起した。

一方でエニグモの有田氏は「著作権侵害や誹謗中傷は起きないようにチェックし、音楽などは連絡してクリアしている。素材を提供することで問題は回避している」としつつ「著作権を侵害している物がおもしろかったりする。内緒だけど評価1位とかを獲得したり……」という実状を明かし、“クリエイター魂”と著作権の兼ね合いの難しさを覗かせた。

クリエイターである側のムービーインパクト神酒氏は「勝手広告のルール、出す側のリテラシーとして侵害しない。ロゴなども本物は使わない」と、プライドやリテラシーなど、作り手側の意識の問題である、という認識を示した。

それに対してリクルートの長友氏は「この時代感の中ですべてをクローズにはできない。誰のために何を守るか、ビジネスの見方をしたときに金になればいいのでは、という考えもある。企業側が姿勢を表明していく責任があるだろう」と、企業側の意識にも踏み込んだ意見を示した。

メタキャストの井上氏は「CGAや勝手広告は、やはり動画の中でも人気がある。著作権については、ニコニコ動画などでも見られるように、後付けでもいいから認めようという“後付けフェアユース”的動きがある。そこでやはり大事なのは“愛があるかどうか”なのではないかと思う」とした。

これらは、オマージュの基本的な姿勢であり、パスティーシュやパロディなど、二次創作すべてが対面する古典的な問題だ。企業にとって収益となるのに愛がない作品。愛はあるのに企業に収益はもたらさない作品。そして愛があって収益ももたらすのに、ときに法律などにより認められない作品。現在の情勢はたまらなく複雑だ。それは制作者はコンシューマなのかクリエイターなのか、出来上がった制作物はアドなのかアーティスティックなコンテンツなのかという問題でもある。これについては「明確に線があるはず。コマーシャライザーはたとえ、個人が作ったものであってもアドである」と長友氏がする一方で、「物が良ければ売れるはず。つまり良いコンテンツであれば、それだけで売れるはずだ」と田中氏がするなど、ゲストスピーカーの中でも、それぞれの立場により意見がわかれた。

モデレータの橋本氏はpixivの驚異的な伸びに言及しつつ、「描いても良いよ/描いてみたのタグが、緩やかなクリエイティブコモンズになっている。絵を描く過程を示す仕組みもpixivにはある。このように著作権を明確にしたうえでクリエイティビティをインスパイアする仕組みがあれば、どんどん増えていくのでは」として、解決策の一例を提示した。

CGAはまだまだ胎動期。これからのモデル構築に期待

古くは杉山登志から始まり、近年なら川崎徹や佐藤雅彦のような著名な広告業界人、CMクリエイターがいた。しかしここ最近は、特定個人のCMクリエイターで、一般人にもリーチするような人物はあまり登場していない。時代の趨勢だけでなく、メディアを取り巻くさまざまな規制、そしてなによりインターネットの普及といった要素が、CM業界にも大きな影響を及ぼした結果かもしれない。

昔のように、インパクトあるCM、クリエイター魂に溢れたCMを生み出すのは、ひょっとしたらCGA畑から出てくるかもしれないと思わせるカンファレンスであった。

ただそのためには、CGAならではの安定したビジネスモデルや商業サイクルが必須となる。これについては、各社さまざまな方策を摸索しているのが現状だ。この秋以降も、filmoを初め各社が新サービスを投入するという。しばらくは注視しておくべき分野だろう。

カンファレンス後の懇親会の模様
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