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FlashとSEO——検索エンジンとFlashが仲良くできないこれだけの理由

グーグルがFlashをインデックス化するってことで(関連日本語記事:Google、新しいFlashインデックスアルゴリズム公開Google Flashインデックス Q&A)、Flashを使うデザイナーは、自分が作るコンテンツがSEOフレンドリーになったといって喜んでいる。その気持ちは、すごくよくわかる。でも悪いけど、僕は騙されないよ。Flashコンテンツはウェブページを構成するHTMLとは根本的に違うし、Flashコード内部のリンクやテキストリンクが解析できるからといって、Flashが検索エンジンに快く迎え入れられたことにはならない

確かに、グーグルがFlashを深く研究しているのはすばらしいと思うけど、ウェブ制作者がFlashベースのコンテンツやFlashを埋め込んだコンテンツについて慎重になるべきなのは、昔も今もたいして変わっていないと僕は思っているんだ。

実はね、僕は以前Flashデザイナーだったんだ(SEOmozを立ち上げる前さ)。今でも、グラフィックスやワイヤフレームやコンテンツを全部Flashで作ったりしている(このデモは僕がSEOmozのプロ用コンテンツとしてぱぱっと作ったものだ)。今ではもう筋金入りのFlashマニアでもActionScript開発者でもないけど、Flashが有効なSEO戦略ではないってことは、確信を持って言える。

その理由を挙げていくと……

  1. 1つのURLに複数のコンテンツが乗っかっている

    これはAjaxを使ったコンテンツでもぶつかる問題だね。個性的なFlashサイトを作るために、奇抜な形のフレームを使うとか、動画の中に動画を埋め込むとか、いろんなことができるけど、そういった個々の要素に直接リンクする方法はまだない(Flashデザイナーが特に注意を払ってリンクできるようにした場合は別だけど。ただそうした場合でも、ほとんど必ずと言っていいくらい、リンクできていない部分がある)。

  2. テキストコンテンツがきちんとまとまっていない

    グーグルは、SWFファイルからの出力をインデックス化して、含まれている単語やフレーズを解析できるけれど、Flashの場合、テキストはきちんとした形で<h1>や<p>タグに入っていないことが非常に多い。グラフィックエフェクトをかけるためにフレーズがばらされていたり、出力の順番がバラバラだったりするんだ。

    もっと悪いことに、テキストにエフェクトをかける場合、文字をアニメーション化するために単語を一文字ずつ「バラバラに」しなければならないこともある。検索エンジンはまだ、バラバラになった文字列から元の文章を組み立てられるほど賢くはないと思うな。

  3. Flashコンテンツ内に埋め込まれるFlashコンテンツもある

    Flashコンテンツの中には、呼び出し元となるFlashページ内部に埋め込まれた別のFlashコンテンツからしかリンクされていないものも多い。こういうリンクのつながり方では、サイトの内部からも外部からも埋め込まれたFlashコンテンツにリンクが張られていないため、受け渡せるPageRank(リンクジュース)も非常に少なくなってしまう。

    こういったFlashコンテンツが何とか主インデックスに残れたとしても、どんな語で検索したって検索上位にに現れることはないだろう。

  4. Flashコンテンツがクロール可能かどうか、確認する手段がない

    FlashコンテンツでSEOをやる場合、うまくいきますようにと祈りながら使うしかない。HTMLで書かれたコンテンツやリンクなら、検索エンジンにどう見えているかを理解し、テストすることもできるけど、グーグルのFlashクロール技術はプロプライエタリなものなので、僕の知る限り「サイトのFlashファイルがクロール可能かどうかテストする」手段はない。だから検索エンジンが君のコンテンツをどう解析するかは闇に包まれたままだ。

  5. FlashはHTMLのように外部リンクを稼げない

    理由はどうあれ、ウェブにおける慣例として、Flashメディアではリンクラブを獲得できない。Flashだけでできたサイトは、トップページへのリンクはたくさん取れるかもしれないが、それ以外のページにはほとんどリンクを張ってもらえない。埋め込みFlashコンテンツの場合、実際にリンクしてもらえるのは、そのコンテンツを埋め込んであるHTMLページの方だ。

    簡単な例として、HTMLで書かれたブログ記事やニュースを考えてみよう。そういった記事なら、気に入ってくれた人が内容の一部を自分のページにコピー&ペーストしてリンクを張ったりすることがあるけれど、Flash内のテキストではそうはいかない(Flashデザイナーがちゃんと作っていない限り、コピー&ペーストは難しい)し、いわゆる「リンケラティ」の間でもわざわざFlashからコピー&ペーストする人は少ない。

  6. SEOの基本要素が抜け落ちることが多い

    アンカーテキスト、見出し、太字、強調文字、画像のaltタグ、それにtitleタグも、Flashに正しく組み込むのは容易ではないし、デザイナーときたら十中八九、正しく組み込もうともしない。SEOを意識してFlashを制作するのがHTMLの場合と比べて難しいというだけじゃなく、Flashデザイナーの世界にはそういう文化がないってことなんだ。

  7. Flashの大部分はまだクロールできない

    グーグルによると、クローラはFlashを呼び出すJavaScript(Flashベースサイトの多くで採用されている方法)を実行しないし、Flashから呼び出される外部ファイルのコンテンツ(これまたFlashベースのサイトにはよくある)をインデックス化しないらしい。こういう制約があるから、ビジターが目にするものとGooglebotがインデックス化できるものとの間には大きな差が生まれてしまうのさ。

もちろん、Flashコンテンツがグーグルで上位にランキングされているのを見ると嬉しくなる(たとえば「break apart flash letters」での検索結果を見てみよう。これは、上で説明した2番目のポイントを考えるうえでいい例だね)。ただし、グーグルにFlashをクロールする機能が付いたことを知ったFlashデザイナーが、早速やりましょうと誘いをかけてきたとしも、軽々しく承諾しちゃいけないよ。

僕はFlashが好きだ。いまだに仕事で使っているし、Flashをうまく使っているすばらしいサイトやアプリケーションもたくさんあると思っている。でも、FlashコンテンツでSEOもうまくできると考えるのは、シアトルで夏に挙式しても雨に降られることはないだろうと思うようなものだ。もちろん期待どおりに運ぶこともあるが、誰もそれを賢い選択だとは言わないだろう。

Flashコンテンツをできるだけアクセスしやすく、さらにSEOにも優しくしたいと思うのは立派な考えだ(そして、そう願うなら、ジョン・ホックマン氏の『SEOフレンドリーなFlashの作り方(How to SEO Flash)』を読むところから始めるといい)。しかし、Flashを中心としてウェブサイトのコンテンツを組み立てるというのは、悲惨な結果になるのでやめた方がいいな。

追伸:この話題については、イアン・ルーリー氏のブログ「グーグルのFlashインデクス機能、喜ぶのはまだ早い(Google Indexing Flash, Don't Party Just Yet)」や、Ickydimeの「Flashを使った新手のSEOなんて大風呂敷だ(Flash's New SEO is Overhyped)」も併せて読んでほしい。

用語集
ActionScript / Flash / Google / Googlebot / HTML / JavaScript / PageRank / SEO / アンカーテキスト / インデックス / クロール / リンク / リンケラティ / 外部リンク / 検索エンジン
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