初代編集長ブログ―安田英久

内閣府が「ネット調査と訪問調査でどんな差が出るか?」を詳細に報告していた

Web担のなかの人

少し古い記事になるが、内閣府が以下のようなコンテンツを公開していた。

→ インターネットによる国民生活に関する意識調査 ~ 世論調査との比較分析 ~
  http://www8.cao.go.jp/survey/sonota/h19-internet/index.html

わかりやすくいうと、「ネットリサーチを使った調査と、調査員による個別面接聴取による調査とで、どんな違うが出るか調べてみた」というものだ。

2007年7月調査のものなので、2008年版が出たら記事として取りあげようかと思っていたのだが、編集部コラムのネタが切れてきたので出してしまおうと思う。

同じ設問でネットリサーチと訪問調査をそれぞれ行っているのだが、まず、それぞれの調査の共通点と相違点をまとめてみよう。

2つの調査に共通すること

・調査項目

  • 現在の生活について(生活の向上感、満足度等)
  • 今後の生活について(生活の見通し、力点等)
  • 生き方、考え方について
  • 政府に対する要望について

2つの調査で異なること

ネット調査訪問面接調査
調査対象全国20 歳以上69 歳以下の調査会社の登録者(モニタ)3,600 人全国20 歳以上の国民10,000 人
抽出方法無作為抽出法(モニタから)性・年齢別の人口構成に応じて調査対象(依頼)者数を決定層化2段無作為抽出法
1) 調査地点(地区・都市規模別)
2) 対象者(住民基本台帳)
調査時期平成19年7月20日~7月23日(4日間)平成19年7月5日~7月22日(18日間)
調査方法Web画面上での個別記入法調査員による個別面接聴取法
調査実施機関株式会社 マクロミル社団法人 中央調査社
有効回収数(率)1,648 人(45.8%)6,086 人(60.9%)
※各項目に関して細かい補足が元記事にあるので、詳しくはそちらを参照。

回答者の属性はどう違ったのか

では、ネット調査と訪問面接調査でどのような違いが出たのだろうか。まずは、回答者の属性について見てみよう。

  • 回答者の男女構成や年齢構成に関しては、さほど大きな違いはなく、ネット調査のほうが推計人口の数値に近いものとなっているぐらいだ。

    2008/07/22 23:57追記:この部分、「69歳以下の年齢層に関しては、ネット調査のほうが推計人口の数値にほぼ合った形になっている。ただし、ネット調査では70歳以上の回答者が含まれていないことに注意」といった表現が適切ですね。
  • 地域分布に関しては、訪問面接調査のほうが推計人口の数値に近い分布となっており、ネット調査では関東や近畿の回答者の割合が高くなっている。

  • 職業に関しては、ネット調査では管理職、専門技術職、主婦の割合が高く、事務職、労務職の割合が低くなっている。

  • 未・既婚に関しては、ネット調査では、未婚の割合が高く、既婚(離・死別)の割合が低くなっている。

  • 最も特徴が現れたのが住宅形態で、訪問面接調査では持ち家(一戸建)が80.2%に対して、ネット調査では54.8%と大きく異なっている。また、ネット調査では持ち家(集合住宅)や賃貸住宅(集合住宅)の割合が高くなっている。

  • 都市規模に関しては、ネット調査では東京都区部や政令指定都市の割合が高く、小都市や町村の割合が低くなっている。

得られた調査結果がどう違ったのか

では、こうした違いがある2つの調査で、それぞれ得られた調査結果にはどのような違いが出たのだろうか。

端的に結論を言うと、「かなり違っていた」である。コストの安さや手軽さから、ネットリサーチやモバイルリサーチで行われた調査のデータがあらゆるところに流布している今日この頃ではあるが、やはり訪問面接調査で得られるデータとは差異があることが改めて明らかになっているのだ。

とはいえ、今さら「やっぱりネットリサーチはダメだね」という結論はあり得ないだろうし、逆に、訪問面接調査や郵送調査よりもネットリサーチが適している部分というものもあるだろう。内閣府の調査でも、得られた差異について、次のような4つの観点から分析している。

  1. インターネット調査結果も含め、インターネット利用頻度にかかわらず回答傾向の差異が小さい項目のキーワード:
    「悩みや不安」「時間のゆとり」「友人や知人」

  2. 訪問面接調査ではインターネット利用頻度にかかわらず回答傾向の差異が小さいものの、インターネット調査結果との間に大きな差異が見られる項目のキーワード:
    「資産・貯蓄」「所得・収入」

  3. インターネット調査結果と訪問面接調査におけるインターネット利用頻度が高い回答傾向との差異が小さいものの、インターネット利用頻度の変化につれて回答傾向が変化する項目のキーワード:
    「趣味やスポーツ」「勉強や教養」「運動やスポーツ」「知識」「レジャー」

  4. 訪問面接調査ではインターネット利用頻度の変化につれて回答傾向が変化し、かつ、インターネット調査結果との間に大きな差異が見られる項目のキーワード:
    「向上感」「満足度」

そのうえで、「今後、インターネット調査を世論調査に活用していくに当たり、こうした視点もあわせて検討することが有益と考えられる」とまとめている。

こういった傾向は、おそらく時代とともに少しずつ変わっていくものであろうから、継続的に調査が必要だろうし、ネット調査ともユーザー層が異なると思われる「モバイルリサーチ」や、訪問面接調査よりも自発的な回答が増えるだろう「郵送調査」などとも比較したデータがあるとありがたいところだ。

いずれにせよ、ネット調査が当然のように行われ、そのデータを目にする我々も、こういった違いがあることを念頭にデータを読む必要があることを忘れてはいけないことを改めて思い出さされた調査だった。今年度版が楽しみだ。

この記事は、メールマガジン「Web担ウィークリー」やINTERNET Watchの「週刊 Web担当者フォーラム通信」に掲載されたコラムをWeb担サイト上に再掲したものです。

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